2019/11/24

新倉瞳 Hitomi Niikura (Cello)
飯森範親指揮/山形交響楽団
2015年5月8-10日 山形テルサ,テルサホール
MECO-1032 (P)2015 ART INFINI (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Apple Musicでの試聴。フォルテでも決して荒れない美音が素晴らしい,気品のあるエルガー。良かったです。
録音ですが,ソロがキッチリとフォーカスされオーケストラに埋もれることなくきちんと聴き取れるところは良いのですが,ソロに少し残響が多めに乗って音色がわずかにくすみ,まとわりつく感じがやや鬱陶しいです。とはいえ,楽器の質感も豊かでありニュアンスも感じ取れるので悪くはないです。私としては少し不満が残りますが,良い録音だと思う方も多いのではないかと想像します。
2019/11/17

宮田大 Dai Miyata (Cello)
トーマス・ダウスゴー指揮/BBCスコティッシュ交響楽団
2019年8月25, 26日 グラスゴー,シティ・ホール
COCQ85473 (P)2019 BBC/NIPPON CLUMBIA CO., LTD (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Apple Musicでの試聴。宮田氏は第74回日本音楽コンクール第一位,2009年の第9回ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初優勝するなどのコンクール歴を持つ実力者とのこと。今回は録音についてのみコメントします。
で,その録音ですが,チェロの音は適度な距離感で明瞭に捉えられ,オーケストラよりも前に出る形で分離され協奏曲として好ましい録り方となっていますが,特に印象に残ったのはオーケストラの密度感とスケール感です。濃厚なオーケストラサウンドなのですが,暑苦しくならないギリギリのところを狙ったようであり,音色のバランス,自然さもまずまずといいうところです。それでいてチェロが埋もれることなくちゃんと聴こえてくるので,上手く録っていると思います。好みの録音とは少し違うのですが,これは上手くまとめていると思いました。良かったです。
2019/09/29

エルガー:ため息作品70
エルガー:ピアノ五重奏曲イ短調作品84
マリー=エリザベス・ヘッカー Marie-Elisabeth Hecker (Cello)
エド・デ・ワールト指揮/アントワープ交響楽団,他
録音 2016年
ALPHA 283 (P)(C)2017 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
Twitterである方が好録音と紹介されていたのでApple Musicで聴いてみました。聴いたのはチェロ協奏曲のみですが,若干ソロに残響が被って影響を受けているものの,チェロの艶やかな音色をしっかりと捉えていて確かに良かったです。オーケストラとのバランスにおいても,少しチェロにフォーカスされていて,協奏曲の録音として好ましいと思います。ご紹介有り難うございました。
マリー=エリザベス・ヘッカーは1987年ドイツ生まれとのことで,まだまだ若手です。ペーター・ブルンズ,ハインリヒ・シフに学び,2005年の第8回ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールでは第一位と2つの特別賞を得たという実力者とのことです。
このエルガーの協奏曲は演奏も録音も良いので,同曲の愛聴盤となりそうです。音源を購入しようと思ったのですが,e-onkyoにはなく,HDtracksにあったので,これを入手するか,ディスクを買うか,ちょっと悩みます。
(記2019/9/23)
(記2019/9/29)
2016/06/19

ホルスト:祈りH75作品19-2
ウォルトン:チェロ協奏曲
I. ホルスト:無伴奏チェロのための「落ち葉」
スティーヴン・イッサーリス Steven Isserlis (Cello)
パーヴォ・ヤルヴィ指揮/フィルハーモニア管弦楽団
2014年11月14日,2015年4月10日 ヘンリー・ウッド・ホール
CDA 68077 (P)(C)2016 Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考:
主にエルガーのチェロ協奏曲へのコメントです。イッサーリスのチェロは熱く語りかけるような迫力,繊細かつ力強く張りのある音色が素晴らしいですね。イッサーリスらしさが遺憾なく発揮された躍動感と情緒感に溢れる演奏です。パーヴォ・ヤルヴィのバックもソロをしっかりと支えていますし,このロンドンの曇天を想起させる(^^;モノトーンの印象の強い同曲を階調豊かに描き出していると思います。
さて録音ですが,ソロはやや響きが被って高域の伸びが今ひとつであり,音色がくぐもって聴こえます。オーケストラはソロとは異なる残響感がありますが,ソロを浮き立たせるように後方に広がるため,協奏曲のバックの録音としては悪くないと思います。ダイナミックレンジを自然に保つためか,録音レベルがやや低めに設定されていて,その結果として全体に少し精彩のない音になってしまっているような気がします。総合的には決して悪くはないと思うのですが,いまいち冴えないのは本当に惜しいと思います。
なお,最後に収録されている曲の作曲者であるイモージェン・ホルストは,グスタフ・ホルストの娘さんだそうです。
2016/06/18

ドヴォルザーク:ロンド作品94,森の静けさ作品68-5
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲イ長調作品33
ジャン=ギアン・ケラス Jean-Guihen Queyras (Cello)
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮/BBC交響楽団
May 2012, London, BBC Maida Vale Studios
HMC 902148 (P)(C)2013 BBC/harmonia mundi s.a. (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:
考えてみると私はチェロ協奏曲をほとんど聴きません。そんな中で辛うじて聴いているのはハイドンとこのエルガーくらいでしょうか。ケラスの独奏ということでこれは聴かなければ!と買うだけ買って埋もれたままになっていたのをやっと引っ張り出してきて聴きました(^^;。
ケラスの巧さはこのエルガーでも最大限発揮されていますね。技術的な巧さはもちろんのこと,美しい高音域,深々とした低音域,歌心あふれる旋律の美しさ,ほんとに素晴らしいです。エルガーのチェロ協奏曲といえばデュプレだったのですが,それに加わる出来といっていいかもしれません。
そして録音ですが,残響は控え目,チェロのソロは若干距離感がありつつも明瞭に捉えられており,オーケストラもソロを邪魔することなく,しかもそこそこ締まった音響で録られていて好感の持てる録音です。特に優秀録音というわけでもなく,どちらかといえば地味に思える仕上げになっていますが,欠点も少ない良好な録音です。
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