ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集(アルテミス四重奏団)

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番 ト長調 作品18-2(*)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調 作品59-3 「ラズモフスキー第3番」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 作品131(*)
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番 イ短調 作品132
Klaus von Bismarck-Saal, Koln, 20-26.VII.1998
Studio Stolbergerstrasse, Koln, 10-12.VI.2002, 2-4.VII.2002(*)
50999 607102 0 8 (P)2000-2002 (C)2010 EMI Records Ltd/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 作品59-1 「ラズモフスキー第1番」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 作品95 「セリオーソ」
Jesus Christus Kirche, Berlin (Dahlem), 23-26.VI & 2-3.VII.2005
TOCE-55777 (P)(C)2005 EMI Records Ltd/Virgin Classics (国内盤)
好録音度:★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 作品18-4
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 作品59-2「ラズモフスキー第2番」
Teldex Studio, Berlin 13-15.II & 5-7.V.2008
00946 380268 2 2 (P)(C)2008 EMI Records Ltd/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考:HMV OnlineAmazon.co.jp

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調 作品18-6
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130,大フーガ 作品133
Teldex Studio, Finckensteinallee 36, Berlin 8-13.XI.2009 & 16-18.XII.2009
50999 694584 0 8 (P)(C)2010 EMI Records Ltd/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 作品18-1
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 作品130,大フーガ 作品133
Teldex Studio, Berlin 19-20.V, 29-30.VI & 1.VII.2010
50999 628659 0 6 (P)(C)2010 EMI Records Ltd/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 作品18-3
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番 イ長調 作品18-5
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 作品135
Teldex Studio, Berlin, Germany, 21-22.XII.2010(Op.18-5), 27-28.I.2011(Op.18-3), 9-11.II.2011(Op.135)
50999 0708342 6 (P)(C)2011 EMI Records Ltd/Virgin Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

アルテミス四重奏団(Artemis Quartet)

最近の若い弦楽四重奏団は,総じて現代的な感性を持ち,技術力にも表現力にも優れ,元気がありますね。このアルテミス四重奏団もその一つではないかと。

このベートーヴェンも非常に研ぎ澄まされた先鋭で引き締まった演奏で,ときに優しく,ときに激しく,豊かな感情をほとばしらせながら,しかしどの表現をとっても完璧に絶妙にコントロールされているのです。しかも奇を衒うようなところは全くなく,王道的な路線の中でこれをやってのけているのでもう見事と言うしかありません。全集の完成が楽しみです。

録音ですが,ラズモフスキー第1番とセリオーソはやや残響が多めで曇りがち,あまり良い印象ではありませんが,それ以外は残響を少し伴っているものの直接音主体に明瞭に,解像感高く捉えていて良好です。不満がないわけではありませんが,これなら納得できます。

なお,途中で第2ヴァイオリンとヴィオラが交代しています。最初の録音から10年以上経っていますし,最初の方のストレートな演奏に比べてやはり最近の方が表現力を増した演奏になっているので,新メンバーで全部録音して欲しいところですが,やっぱり無理ですかね?

(記2010/12/04)


第3番,第5番,第16番のディスクを追加しました。演奏,録音とも期待通りでした。HMV Onlineによると,「全集シリーズの最後を飾る」とあるのですが,まだ第10番が出ていないように思います。私が見逃しているのでしょうか?

(記2011/06/19)

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(アンドレアス・シュタイアー)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
アンドレアス・シュタイアー Andreas Staier (Harpsichord)
2009年7月 Teldex Studio Berlin
HMC 902058 (P)2010 harmonia mundi s.a. (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

チェンバロによる演奏。おぉっと目を惹くところはありませんが,端正でスタンダードな表現の中に豊かで充実した音楽が詰まっています。結局最終的にはこういう演奏に戻って来たくなる,そんな演奏です。チェンバロの音色がまたゴージャスですねぇ... なお,繰り返しは聴いた限りでは全てやっているように思いました。演奏時間は80分46秒でCD 1枚に入るぎりぎりの長さです。

さて録音ですが,これはちょっと微妙な感じです。オーディオクオリティは申し分なし。緻密で空気感も素晴らしい。しかし,この空気感は楽器そのものの響きよりもスタジオの響きが勝っているためではないかと。ヌケが悪いわけではありませんが,音色のバランスが大きく崩れてクリアーではありません。中途半端な大きさの会場の響きを取り入れると会場の雰囲気は出るかもしれませんが,肝心の音色は曇らせ煩く感じさせるだけで音楽に対するメリットを生みません。チェンバロは楽器そのものが良く響きます。会場の響きで曇らせる必要がどこにあるのかまったく理解できません。

これを優秀録音とみる人も多いと思います。現にいろいろなところで優秀録音である旨の記述を見かけます。確かに優秀録音かもしれませんが,好録音ではありません。抗議の意味を込めて三つ星です。演奏が良いだけに残念です。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集(ミドリ・ザイラー)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ集
ミドリ・ザイラー Midori Seiler (Violin)
09-12.11.2009, Johann-Sebastian-Bach-Saal im Schloss Kothen
Berlin Classics 0016722BC (P)(C)2011 Edel Germany GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

CD試聴記」からの転載記事です。

バロックヴァイオリンでの演奏。緩急強弱が激しく非常にダイナミックで意欲的です。しかしそれが自然な呼吸感の中で行われているため,不自然さも嫌みも感じることなくすんなりと受け入れられます。この人の音楽性の高さ,センスの良さを示していると思います。

録音ですが,残響は多めに取り入れられていますが,直接音主体で明瞭感と音の伸びがあって好印象です。やや高域がきつめですが,近めで録っているためであって自然さを失うものではなくまったく問題ありません。もちろん私としてはもっと残響を抑えてすっきりと録って欲しかったとは思いますが,十分良好と言えます。

ベートーヴェン:交響曲全集(エマニュエル・クリヴィヌ指揮/ラ・シャンブル・フィルハーモニック)

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ベートーヴェン:交響曲全集
エマニュエル・クリヴィヌ指揮 Emmanuel Krivine (Conductor)
ラ・シャンブル・フィルハーモニック La Chambre Philharmonique
2009年6月~2010年5月
V5258 (P)2010 La Chambre Philharmonique (C)2011 naïve (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(第1番~第8番),★★★★(第9番)
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

昨日の今日で大変申し訳ないのですが,記事を修正します。当初五つ星を付けていましたが四つ星半に訂正します。理由は昨日の記事のあとに記載します。(記2011/06/15)



このベートーヴェンの交響曲全集,Webや雑誌を見る限り,演奏では多少取り上げられているものの,録音について触れているものは皆無と思えるほど見つからないです。私の苦手なピリオド楽器ということで手に入れるか入れまいかさんざん迷ったあげく,聴いてみることにしたのですが...これが大当たりでした!

まず録音。マルチマイクで録ったのでしょうか,各楽器の直接音がくっきりと捉えられています(特に管楽器)。音色も自然でヌケも良く,各楽器の分離も良く,見通しも良く,そして何より全体としての「サウンド」「鳴り」が良いのです。総合点として95点は付けられます。残りの5点は,弦楽器をもう一歩踏み込んで生々しい質感で捉えて欲しかったというところと,わずかな音色のバランスの崩れですが,ほんの少し惜しいというくらいです。オーディオ的には最近の音場の自然さ重視の録音とは方向性が異なりますし,やや高域がきついので,こういった点から評価されていないのかもしれませんが,私としては今まで聴いたベートーヴェンの全集の中で最も好ましいと言えますし,オーケストラの録音としても相当良い部類に入ると思っています。残念ながら第9番だけはかなり落ちて普通の録音でした。

演奏ですが,中規模の室内管弦楽団と思われますが,室内楽的な雰囲気が良く,また全体にスピーディーで推進力があり小気味よいところが気に入っています。唯一の不満はこれがピリオド楽器だということです(^^;。それでも木管楽器の素朴な響きは悪くありませんし,ティンパニーもピリオド臭くなく,弦楽器のノンヴィブラートもそれほど嫌みがなく,ピリオド楽器であることがほとんど気になりません。とはいえ,やっぱりモダン楽器の室内管弦楽団だったらどんなに良かっただろうかと残念に思います。

とまあ100点とは行かないまでも十分に五つ星,久しぶりに演奏・録音とも心躍る大満足のディスクに出会いました。愛聴盤候補です。これからもっと聴き込んで評価を固めていきたいと思います。

(記2011/06/14)



このディスクを聴いていて,他のディスクよりも明らかに録音レベルが数dB高いので,どのような音で入っているのかを波形で見てみました。見てびっくり! フォルテのところが軒並み頭打ちになっているのです。平均音圧を上げる代わりに,オーバーした分をリミッターでクリッピング(?)するというやり方が採られているようです。単純にクリップさせているわけではなさそうなのでノイズにはなっていませんが,音が硬く刺激的になり,音色のバランスもわずかに崩れているのはこれが原因になっている可能性があります。

それでもなお好録音であることには変わりありませんし,愛聴盤候補であることも変わりないのですが,こういうやり方はやっぱり賛成出来かねます。普通はピークレベルでノーマライズします。局所的に高いピークがある場合はここだけリミッターをかけるのは賛成ですが,このディスクは少しやり過ぎているように思います。

波形を見るまで気がつきませんでしたので,気にするほどではないかもしれませんし,6/14に書いたように「演奏・録音とも心躍る大満足のディスク」と思ったのも事実でその気持ちはまだ変わりませんが,知ってしまった以上気持ちの上で納得いかないところも残ってしまいます。五つ星より四つ星半に格下げします。申し訳ありませんでした。

(記2011/06/15)

ブラームス:交響曲全集(クラウディオ・アバド/ウィーン・フィル,ベルリン・フィル,ドレスデン国立管弦楽団,ロンドン交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
第1番 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (*1)
第2番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (*2)
第3番 ドレスデン国立管弦楽団 (*3)
第4番 ロンドン交響楽団 (*4)
大学祝典序曲 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (*5)
ハイドンの主題による変奏曲 ドレスデン国立管弦楽団 (*6)

クラウディオ・アバド指揮 Claudio Abbado (Conductor)

(*1) 1972年3月 ウィーン,ムジークフェライン
(*2) 1970年11月 ベルリン,イエス・キリスト教会
(*3) 1972年6月 ドレスデン,聖ルカ教会
(*4) 1972年3月 ロンドン,EMIスタジオ1
(*5) 1967年11月 ベルリン,UFAスタジオ
(*6) 1972年6月 ドレスデン,聖ルカ教会

PROC-1119/21 (P)1973 Deutsche Grammophon GmbH, Hamburg (国内盤)
TOWER RECORDS VINTAGE COLLECTION Vol.12

好録音度:★★★☆(第1番,第3番,第4番),★★★(第2番)
参考: TOWER RECORDS

タワーレコードの企画盤。やってくれますねぇ,タワーレコードさん。タワーレコードのTwitterによると,予約がすごいことになっていたらしいです(^^;(→Twitter)。こういう全集が埋もれていたとは驚きました。4つのオーケストラを振り分けたという全集です。ちょっと聴いた印象では,第2番がベルリン・フィルで,アバドが煽りすぎているのか,少し荒っぽい感じがするのが気になりました。個人的には第1番がベルリン・フィルで第2番がウィーン・フィルの方が合っていたんじゃないかと思えるのですが,まぁこれは言っても仕方ないですね。どれも引き締まった推進力のある演奏に思いました。もう少し聴いてみたいと思います。

録音ですが,残響は抑えめでキレがあるにもかかわらず中高域に癖がありヌケの悪さを感じます。どの曲もコンプレッサーをかけたような感じもありゴチャッと音が詰まっているようにも聴こえます。特に第2番がその傾向が強く,フォルテで混沌としてきます。1970年代でこのクオリティはちょっと淋しいです。

第1番 16:59/9:25/4:55/16:28 計47:47 提示部リピートあり
第2番 21:41/10:16/5:31/9:37 計47:05 提示部リピートあり
第3番 12:48/9:07/6:54/8:49 計37:38 提示部リピートあり
第4番 12:11/12:16/5:57/9:29 計39:43

タグ: [交響曲] 

チャイコフスキー,シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(アイザック・スターン/ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35(*)
アイザック・スターン Isaac Stern (Violin)
ユージン・オーマンディ Eugene Ormandy (Conductor)
フィラデルフィア管弦楽団 Philadelphia Orchestra
February 7, 1969 in Twon Hall, Philadelphia, Pennsylvania
March 23, 1958 at the Broadwood Hotel, Philadelphia, Pennsylvania(*)
SMK 66829 (P)(C)1995 Sony Classical GmbH (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(チャイコフスキー),★★★★(シベリウス)
参考: HMV OnlineAmazon.co.jp

スターンというヴァイオリニスト,日本では?何となくあまり評価されていないような気がするのですが,私の勝手な思いこみでしょうか? 武骨で不器用なところはあると思いますが,このチャイコフスキーは脂が乗りきっていてキレもよく絶好調という感じで素晴らしいです。好き嫌いは分かれるかもしれませんが,もう少し評価されても良いのではないかと思います。一方シベリウスの方はちょっと曲のイメージとそぐわない雰囲気で,強引さが前に出てしまっているように思います。

なおチャイコフスキーはソロのない部分で数小節省略?されているのではないか思うところがありました(第1楽章7:00あたり)。

録音ですが,チャイコフスキーが素晴らしい! 1958年の録音なのでややざらざら感はあるものの,ソロは最高の質感で極めて明瞭に捉えています。適度にソロにフォーカスされていて,現実の音量バランスとは異なると思いますが,録音を楽しむという点ではむしろ好ましく,スターンのヴァイオリンを存分に楽しめます。クオリティのハンデをカバーするに十分です。これも協奏曲の好録音の好例と言えます。現代のクオリティで聴けたらどんなに良いだろうと思います。なんでこういう風に録音してくれないんですかね?(と何度でもしつこく言います!)

シベリウスの方の録音はチャイコフスキーに比べると若干残響の被りが気になり,やや落ちる印象です。悪くはないのですが。

シベリウス,ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲(トーマス・ツェートマイヤー/クルト・マズア指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団,他)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲イ短調作品53(*)
ドヴォルザーク:ロマンスヘ短調作品11 - ヴァイオリンと管弦楽のための(*)
トーマス・ツェートマイヤー Thomas Zehetmair (Violin)
クルト・マズア指揮 Kurt Masur (Conductor)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Gewandhausorchester Leipzig
エリアフ・インバル指揮 Eliahu Inbal (Conductor)(*)
フィルハーモニア管弦楽団 Philharmonia Orchestra(*)
1985年(シベリウス), 1989年(ドヴォルザーク)
WPCS-6133(0630-19611-2) (P)1987,91 (C)1997 Teldec Classics International (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: (HMV Online),Amazon.co.jp

この人は本当にくせ者ですねぇ。崩しまくってます。なにか臭ってきそうです(^^;。ヴィブラートも相当深いですし,音がつぶれる寸前まで力をかけたかと思うとスゥッと抜いてくる。変幻自在。ここまで強い個性を放つ演奏もそうないと思います。最初はちょっとついていけないと思いつつ,だんだんこれにはまっていくような気がして恐ろしい...

録音は,少しソロの捉え方が弱い気がしますが,響きもあまりなくすっきりとしています。バランスが取れていて悪くありません。好録音というにはもう一歩踏み込んで欲しかったとは思いますが。

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲,他(ダヴィド・オイストラフ/ニルス・エリク・フーグシュテット指揮/フィンランド放送交響楽団,他)

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
ダヴィド・オイストラフ David Oistrakh(Violin)
ニルス・エリク・フーグシュテット指揮 Nils-Eric Fougstedt(Conductor)
フィンランド放送交響楽団 Finnish Radio Symphony Orchestra

シベリウス:交響詩「タピオラ」作品112(*)
シベリウス:交響曲第7番ハ長調作品105(*)
サー・トーマス・ビーチャム指揮 Sir Thomas Beecham(Conductor)(*)
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 Helsinki Philharmonic Orchestra(*)

Great Hall of Helsinki University by the Finnish Broadcasting Company during the Sibelius Week in June 1954
ODE 809-2 (P)1993 Ondine Inc, Helsinki (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV Online

1954年のシベリウス週間ライヴ。モノラル録音。ヴァイオリン協奏曲の録音のみコメントします。

ソロの音はほとんど残響がなくかなり明瞭に捉えられています。奏者のすぐ近くにマイクを置いたのではないかと思われます。一方オーケストラは音量的にも音質的にもショボショボで,ソロと対比してみるとかなりアンバランスです。しかし協奏曲の録音なので,肝心のソロがくっきりと極めて良好な音質で聴けるため,トータルとしてのバランスの悪さはほとんど気にならず,オイストラフのヴァイオリンを十分に堪能できます。

1954年のモノラル録音なのでもちろん全体としてのクオリティは決して良くありませんが,協奏曲の録音としてほぼ文句ありません。好録音の一つの好例と言えます。こういう録音を聴くと,こと録音に関していえば,残響と音楽性はあまり相関関係がない,そして残響にまみれた雰囲気のある録音より,多少不自然でも明瞭で細部までしっかりと質感の感じられる録音の方が,はるかに気分良く音楽を楽しめると思うのです。

昔は機材やメディアの品質が悪かったので,いかに音楽のエッセンスを密度高く収めるかに腐心されていたのだと思います。今の録音は機材の性能に頼りすぎて音楽をどう収めるかが軽んじられているように思えてなりません。