バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ヨゼフ・スーク)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ヨゼフ・スーク Josef Suk (Violin)
Recorded: 1970, Abbey Road Studios, London.
5 73644 2 (P)1971 EMI Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jp
CD試聴記」からの転載記事です。2回目のレビューです。

正統派の真摯で堅実な演奏です。 芯が太く力強い引き締まった音色が印象的です。 勢いがありながらも細部まで落ち着きを持って丁寧に弾き込んでいます。 個性を主張することなく,この曲の本来の素晴らしさを見事に表現していると思います。

録音ですが,残響はあまりありませんが,少しオフ気味でスタジオの響きが被って音色を曇らせています。 EMIらしいといえばEMIらしい,高域のヌケの悪いすっきりしない録音です。 それでもまあ何とか我慢の範囲です。 1970年の録音としてはクオリティはあまりよくないように思います。

このディスクは2012年現在すでに廃盤になっていて手に入りにくい状況のようです。 素晴らしい演奏なのでもったいないことです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番,ソナタ第3番(ヒラリー・ハーン)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番,第3番
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番
ヒラリー・ハーン Hilary Hahn (Violin)
Recorded at the Troy Savings Bank Music Hall, Troy, New York, June 17-18, December 23, March 23-24, 1997.
SK 62793 (C)(P)1997 Sony Music Entertainment Inc. (輸入盤)
 愛聴盤  好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。CD試聴記のWebページを作成して一番最初にレビューしたのがこのディスクでした。聴き比べを始めるきっかけともなったディスクで,私としては特別な思い入れがあります。

パルティータ第3番は若々しく溌剌と躍動感のある演奏です。 パルティータ第2番は一転してゆったりしたテンポでじっくり弾いています。 シャコンヌなど17:47もありますが,一つ一つの音に込められた思いが伝わってくるようで遅さを感じさせません。 中間部の高揚感も特筆ものです。(Allemandeはちょっと間延びした感がありますが...) ソナタ第3番は静と動がうまくバランスしていると思います。

極めてオーソドックスで伝統的なスタイルを踏襲し,丁寧で細部にまで神経が行き届いた教科書的模範演奏のようであり,かつ, 力強く躍動的であり,明るく張りのある音色も魅力的な素晴らしい音楽に仕上がっています。 そしてこの不自然なほどに完璧なテクニック! 他の追随を全く許しません。 これは本当に圧倒的です。

録音ですが,残響がやや多めで明瞭感,鮮明さが若干損なわれていますが, 比較的近い位置での録音なのか,質感はそこそこ感じられ,音色の劣化も許容範囲です。 私としては不満はありますが,それほど悪くなく良好な部類に入ると思います。

このディスクはヒラリー・ハーンのデビューCDで,17歳の時の録音。何度聴いても感動します。全曲録音でないのが本当に残念でなりません。そろそろ全曲録音を期待したいところですが,その気はあるのでしょうか?(録音してくれそうな気が全くしない...)

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(モニカ・ハジェット)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
モニカ・ハジェット (Monica Huggett) (Violin)
The Warehouse, Theed Street, London, September-December 1995, except Partita No.1: St Paul's Church, Harefield, Middlesex.
ZDCB 54205 (P)(C)1997 Virgin Classics Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineiconTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。CD試聴記では2002年に一度取り上げていました。10年ぶりの再レビューです。

大きく波打つようなテンポの緩急があり,また,三音以上の重音では大きくテンポの落ち込みがあります。 音楽的に緩急を付けているというより,奏法の都合上で緩急が付いてしまっているように聴こえてしまいます。 聴いていて疲れますし,胸が苦しくなってくるところもあります(生理的に受け付けられない→西山まりえさんのゴルトベルク変奏曲と同じような感じです)。 残念ながらちょっと馴染めませんでした。 技術的にはかなり上手いですし,上記以外は不満に思うことのない素晴らしい演奏だと思っています。

録音ですが,残響を抑えてすっきりと適切な距離感で捉えています。 残響は皆無ではありませんが,ほとんど楽器音に影響を与えていません。 明瞭感が高く,高域の伸び感,音色の自然さ,いずれも申し分ありません。 もう少し質感を強めに出しても良いのではないかとは思いますが, それでも私としてはほぼ理想的な録音と言えます。 パルティータ第1番は少し残響が多めですが,十分許容範囲です。

録音が素晴らしいので,この生理的に合わない演奏はとても残念に思います。緩急の激しさはあってもウィスペルウェイ氏の3回目の録音のように奏法の都合ではなく純粋に自然な表現によるものであれば受け入れられるのですが。

ベートーヴェン:交響曲全集,ピアノ協奏曲全集(オットー・クレンペラー指揮/フィルハーモニア管弦楽団,ニュー・フィルハーモニア管弦楽団/ダニエル・バレンボイム(Piano))

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ベートーヴェン:交響曲全集
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集(*)
オットー・クレンペラー指揮
フィルハーモニア管弦楽団
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(*)
ダニエル・バレンボイム (Piano)(*)
録音:1955~1959年(交響曲),1967~1968年(協奏曲)
5 73895 2 (P)(C)2000 EMI Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★☆(交響曲),★★★★(協奏曲)
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records

ゆっくりしたテンポで壮大に演奏されるベートーヴェン。私はクレンペラーの演奏を意識して聴いたことはなかったのですが,こんなに丁寧で真面目な演奏をする指揮者だとは知りませんでした。ちょっと私が勝手にイメージしていたのとはだいぶ違っていました。それにしても,今の時代には合わないかもしれませんが,往年のこういう演奏もなかなか良いものですね。

録音ですが,交響曲は1950年代後半のステレオ録音で,やはり時期が時期だけにオーディオ的にはかなり劣ってしまうのは仕方ありません。ただ,弦楽器を主体にした録音は思ったよりも聴きやすく,音楽は楽しむことができました。ピアノ協奏曲の方は,約10年後の録音だけあって,録音の傾向は同じものの,クオリティは改善され,もう少し聴きやすいです。しかし,その分,EMIのなぜかすっきりしない硬さのある録音であることが目立ってくるのが残念なところです。

このボックスセットそのものはすでに廃盤になって手に入りにくいようですが,それに代わるセットは比較的容易に入手できるようですね。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他(スザンナ・ヨーコ・ヘンケル)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番,他
スザンナ・ヨーコ・ヘンケル Susanna Yoko Henkel (Violin)
September 19-23, 2000 at the church in Berge, Germany
288698 (C)2000 (P)2012 The Spot Records (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jp(MP3)Tower Records
CD試聴記」からの転載記事です。カップリング曲は,イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番,バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ,ユン・イサン:ヴァイオリン独奏のための「王の主題」です。

ヴィブラートを強めにかけ,速めのテンポで躍動的に音楽が進行していくのが気持ちの良い演奏です。 モダン楽器らしい洗練された美しさがあります。 技術的にもキレがあります。 上手いです。

録音ですが,教会での録音でやや残響のまとわりつきが気になります。 マイク位置は比較的近いので楽器の質感はそこそこ感じられますが, 残響のために明瞭感が落ち,音色もすっきりしないのが残念です。

なお,ヘンケル氏はこの4年後の2004年に全集を録音しています(→CD試聴記)。

カッコイイ"Julie-o"が聴きたい!

“Julie-o”はTurtle Island Quartetのチェリスト,マーク・サマー(Mark Summer)作曲のチェロ独奏の名曲で,アルバム“メトロポリス(Metropolis)”に収録されています。YouTubeで“Julie-o”をキーワードに検索すると,本人以外の演奏がものすごくたくさんリストアップされます。クラシックを含めチェリストの間に広く認知され,アンコールピースとして定着してきていることをうかがわせます。ファンとしてはうれしい限りです。

しかし...残念なことに...すべての演奏を観たわけではありませんが,いくつか観た限りではカッコイイ演奏がただの一つもないのです。この曲は格好良くセンス良く(しかも完璧に)演奏してなんぼです。チェリストの皆さん,お願いです。この曲を取り上げるなら颯爽と格好良く完璧に弾ききってください。

最後に本人による演奏を。動画の品質が良くないのが残念です。本人でも中間部のピチカートは難しいみたいですね(ちなみにアルバムの演奏は完璧です!)。でもやっぱり本人の演奏が一番です。本人の高品質な動画を残しておいてほしいものです。

タグ: [YouTube] 

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(ピーター・ウィスペルウェイ 3回目)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
ピーター・ウィスペルウェイ Pieter Wispelwey (Cello)
Recorded at the Serendipitous Studio in Mechelen (Belgium), June 2012
EPRC 0012 (P)2012 Evil Penguin Classic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。

ウィスペルウェイ氏3回目の全曲録音。

バロック・チェロでの演奏。 A=392Hzという低いピッチで,絶対音感の全くない私でも,おやっと思ってしまうくらい低いです(もちろんすぐに慣れますが)。 「語るバッハ」とは良く言ったもので,この演奏も緩急強弱,抑揚という言葉を超えたフレージングの妙がこの演奏にはあります。 それが自然で嫌みのない形で実現されていることに感心します。

そして,さらに各組曲が一つの物語であり,それぞれの曲や楽節で次々とシーン展開していくかのごとく表情が変わっていく, これが面白いと思いました。 この点では特に第4番が今まで聴いたことのないような感じで良かったです。

ただ,なぜこれをバロック・チェロで演奏されたのかがよくわかりませんでした。 バロック・チェロらしい弾き方をされている感じがあまりなく, これならモダン・チェロの方がもっと多彩な表情を楽器から引き出せるのではないかと。

録音ですが,指板を叩く音がはっきりと聞こえるくらい近いマイクポジションで,濃厚に質感高く捉えています。 残響もそれなりに多めに取り込まれていますが,上記の理由で大きな影響は受けていません。 ただ,この音の捉え方にしては若干ヌケが悪くすっきりしないところがあり,この点は惜しく思います。 録音レベルが高いのは好感が持てます。

ライアーハープによる「主よ,人の望みの喜びよ」

少し前に紹介したことのある愛らしい楽器,ライアーハープによるバッハの「主よ,人の望みの喜びよ」。



いやー,この人の演奏がなぜか好きなんですよね。音の美しさといい,たどたどしさといい(ごめんなさい!)... 終わりの音を止めるところはもう少し余韻を残してから丁寧にやって欲しかったですね(もうちょっと端で押さえた方がよくないですか?)。

今後も楽しみにしていますよ。

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ブリュッヘン指揮/18世紀オーケストラのベートーヴェン交響曲全集を少しでもマシな音で聴く方法

先日,録音について酷評してしまったブリュッヘン指揮/18世紀オーケストラのベートーヴェン交響曲全集,演奏自体は良かったので何とか少しでもマシな音で聴けないかと思いいくつかトライしてみました。といってもお薦め出来るような方法ではありませんが,参考にということで。

(1)オープンタイプのインナーイヤホンで聴く
これは特に特別な手段を使ったわけではありませんが,音を悪化させている要因の一つが過剰でブーミーな低域の響きなので,低域の再生能力の低いオープンタイプのイヤホンを使えば少しでもマシに聴けるのではないかということです。使ったのはゼンハイザーのMX500ですが,これはまずまず良い結果が得られました。低域が出る再生装置に比べて低域の被りが緩和されるので中高域の楽器音の明瞭感が向上します。

(2)音量を上げて聴く
これはどういうことかというと,低域の量感が多いために中高域の楽器音が相対的にレベルが低くなるので,ただでさえ低域の被りで聴き取りにくくなっているのに,音量レベルの低さがそれに輪をかけています。そうなのであれば,ブーミーな低域を無視して,聴きたい中高域の楽器音が適正なレベルになるまで音量を上げてやろうという荒技です(^^;。これもまずまずの結果でした。

低域と中高域が相対的には同じ関係が保たれるはずですが,明らかに中高域が聴き取りやすくなり,明瞭感が上がった感じがします。もちろん低域の量感も増えているのですが,意外に気になりませんでした。聴きたい音がちゃんと聞こえることがやはり大事ということでしょう。とはいえ,やっぱり全体の音量が相当上がるので,それなりの覚悟で聴く必要があります(^^;。耳にも負担がかかりますので自己責任で。

(3)SACDマルチCHのフロントCHのみを聴く
マルチチャンネルの場合,残響の総量が変わらないとすれば,響きの成分はサラウンド側の比重が大きくなり,フロント側は直接音の比重が大きくなるはずです。これを利用して残響成分を除こうという魂胆です。さらに,マルチチャンネルではプレーヤでスピーカのコンフィグレーションが出来ますので,ここで,サブウーハあり,フロントCHのスピーカを「小」とします。こうすることで,フロントの低域成分はサブウーハ側に流れ,フロントの低域成分が抑えられることが期待できます。こうやってフロントCHだけを聴くことで,残響成分とブーミーな低域成分を排除しようということです。

それで聴いてみた結果...う~ん,確かに響きが少なくなり被りが軽減されて楽器音の輪郭がよりはっきりとしてきますし,ブーミーな低域も少なくなり聴きやすくはなりましたが...なんかちょっと違う気もするんですよね。何かが抜け落ちているというか,全体のバランスが崩れているというか...

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ということで,(1)はいいとして,(2)(3)はまあ話のネタとしてとりあえずやってみたというくらいの話なのですが,このディスクをいろいろなやり方で聴いてみて,装置や聴き方によって印象がコロコロと変わるということが改めてわかりました。再生環境を選ぶ音源だなぁと。こういう音源も困ったもので,聴く側としては,再生装置や再生環境,状況が変わってもできるだけ印象が変わらず楽しめる方が有り難いと思います。実際にそのように楽しめる音源もあるのです。私が好録音として選んでいるものはだいたいそれに該当します。やはりこういう録音は好録音の観点からも好ましくないと思います。

ベートーヴェン:交響曲全集(フランス・ブリュッヘン指揮/18世紀オーケストラ)

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ベートーヴェン:交響曲全集
フランス・ブリュッヘン指揮/18世紀オーケストラ
2011年10月 デ・ドゥーレン(ロッテルダム)
GBSADV 001(GLOSSA GCDSA 921116) (P)(C)2012 note 1 music (国内盤)
好録音度:★★☆
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラの2回目の全集録音。ロッテルダムでのライヴ。1回目の全集は実は聴いていないのですが,この全集は想像していたより随分と穏やかです。刺々しさは全くありません。古楽器オーケストラによるベートーヴェンもようやくここまで成熟したかという感があります。結局行き着くところはこういう至極真っ当とも思えるところなんだなと妙に納得してしまいます。古楽器の演奏は苦手な私ですが,そんな私でもこれはなかなか良いと思いました。

しかし,この録音はひどい! 残響過多なんてもんではありません。低域の全く締まりのない残響がモワ~ンと全体を覆い尽くして明瞭感が全くありませんし,音色もひどく劣化しています。まるで安っぽいリバーブマシーンを通したような音です。フォルテでの飽和したような音は耐え難いです。18世紀オーケストラってこんな巨大オーケストラだっけ?というくらい重厚になってしまっています。好録音の観点では全く良いところがありません。

演奏が良いだけにこのひどい録音は残念でなりません。録音し直して欲しいです。

タグ: [交響曲] 

バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(リチャード・タニクリフ)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
リチャード・タニクリフ Richard Tunnicliffe (Cello)
2010年10月12-14日,2011年2月14-16日,2011年11月21日 St. George's Church, Chesterton, Cambridge, UK
CKD 396 (P)(C)2012 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
CD試聴記」からの転載記事です。

バロック・チェロでの演奏です。ピッチはA=415Hz。第6番では5弦のチェロ・ピッコロを使用しています。バロック・チェロでの演奏ですが,ことさら楽器を意識させるようなところのない,ごく自然で軽やかな弾きっぷりが心地よい印象を残します。 技術的にもすごぶる上手く,安定感も申し分ありません。 この演奏で一番良いと思ったのがガット弦特有の引っかかりの強い,雑味の多い音色です。 美しくないと思われる方も多いかと思いますが,私がこの演奏で唯一バロック・チェロで良かったと思える点がこの音色です。 誤解を承知で書きますが,ロック・ギターのディストーションにも通じるところがあると思います。

録音ですが,良く響く教会での録音で,明らかに残響過多。 残響時間が長い上に楽器音に大きく被って音色を大きく損なっています。 楽器音を比較的近くで捉えているために,これだけ被ってもそれなりに質感は感じられるのと, オーディオ品質的にはきめの細かい高品質録音と言えると思いますので, 残響を許せる方なら問題なく楽しめるかもしれませんが, 私としては全く良いと思えない録音です。好録音とは言えません。残念です。

リチャード・タニクリフ氏は,HMV Onlineによるとイギリスの古楽オケ「エイジ・オブ・エンライトメント管」の首席奏者のほか, イングリッシュ・バロック・ソロイスツやロンドン・クラシカル・プレイヤーズ,アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック, イングリッシュ・コンサート,フレットワークなど名だたる古楽器オケやアンサンブルで大活躍してきたチェリスト,とのことです。

タグ: [器楽曲]  [チェロ] 

シベリウス:交響曲第5番,第6番,他(パーヴォ・ベルグルンド指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シベリウス:交響曲第5番,第6番,他
パーヴォ・ベルグルンド指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
Recorded live at Southbank Centre's Royal Festival Hall, London on 31 May 2003(No.5), 6 December 2003(No.6)
LPO-0065 (P)(C)2012 London Philharmonic Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
素晴らしい出来だったヨーロッパ室内管弦楽団とのクールな全集とはまたひと味違い,こちらはずっと情緒豊かで人間味に溢れています(これはライヴ録音ということが影響しているかもしれませんが)。でもやっぱり紛れもないベルグルンドのシベリウス! 違うオーケストラを振って違う味わいを出しながらも一貫した彼の音楽を感じるのは呼吸感が変わらないからなんだろうなと思います。ますますベルグルンド以外のシベリウスが受け入れられなくなっていく気が...(^^;。

そしてこの録音の素晴らしさ! 残響は皆無ではありませんが,無駄な響きは排除され,この演奏の美しい部分のエッセンスをうまくすくい取り,より実在感のある音,芯のしっかりした力強い音で収録しています。高域のヌケの良さ,音色の自然さにおいても優れていると思いますし,個々の楽器の質感も良く輪郭もはっきりし,見通しも良好です。何より演出感が薄く,生録的な風合い,リアルさが残っているのが気に入りました。人によっては平凡な録音に聴こえるかもしれませんし,そこは否定しませんが,この録音には私の心をグッと掴むものがあるのです。

このシリーズでは,これ以前に第2番と第7番のディスクがリリースされています。そちらも聴きたくなってきました。他の曲も録音されているならぜひリリースして欲しいですね。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(ヤッシャ・ハイフェッツ/フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団)

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チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
ヤッシャ・ハイフェッツ (Violin)
フリッツ・ライナー指揮/シカゴ交響楽団
録音:1957年4月19日 シカゴ,オーケストラ・ホール
JMCXR-0009 (P)2001 日本ビクター株式会社 (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
日本ビクターのXRCD2によるハイフェッツの超有名な歴史的録音の復刻CD。今更ながらですが取り上げます。それにしても圧倒的な演奏ですねぇ。「技術力」を超越した凄さに何度聴いても感銘を受けます。しかし,好き勝手やってますね。かつてこういうことが許される時代もあったのだということも改めて思います。

本題は録音の方です。1957年の録音とは思えないですね。そして,録音の鮮明さもさることながら,ソロの音の捉え方の良さ,オーケストラの音の捉え方の良さ,いずれも本当に素晴らしいです。現代における音場再現性・自然さを追求する録音とは全く方向性の異なる音作りで,そういう録音からするとかなり誇張した感はありますが,しかし,そういうことを超えた圧倒的な楽しさがこの録音にはあります。

音楽が楽しめる録音とは一体どういう録音なのか。これは聴く人の価値観にもよるので唯一のものがあるわけではないことを承知で,それでもやっぱりこういう録音の素晴らしさをきちんと評価し,現代の録音においてもこういう「誇張」をうまく使って欲しいと思うのです。極論を言うと,ホールの音響をいかに再現するかなど私にとっては重要ではなく,いかに楽しい音楽を再現してくれるかの方がはるかに重要である,ということです。

そういう観点で,この録音は本当に素晴らしく,文句なしの好録音,五つ星と言えます。もちろん1957年のクオリティであることはご承知おきください(といっても音楽を楽しむ上での障害にならないクオリティは十分にありますよね)。