ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲,ロマンス第1番,第2番(フランク・ペーター・ツィンマーマン/ジェフリー・テイト指揮/イギリス室内管弦楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ベートーヴェン:ロマンス第1番作品40,第2番作品50
フランク・ペーター・ツィンマーマン (Violin)
ジェフリー・テイト指揮/イギリス室内管弦楽団
1987年11月
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
今や中堅ヴァイオリニストとして確固たる地位を築いていているツィンマーマンのデビュー間もない22歳の時の録音。この人らしい堅実な演奏で,自己主張は控えめですが,要所をきちんと押さえ,この曲の魅力をストレートにダイナミックに表現した佳演だと思います。技術も完璧で安心・安定の演奏ですね。これがつまらないと思われる方もおられるかもしれませんが,スタンダード路線の聴き飽きない良さを持っていると思います。

録音ですが,残響感はそれほど強くないものの,音が硬くまたソロの音色も若干ヌケの悪さが感じられます。ソロとオーケストラの分離も悪く,ソロの質感が埋もれがちでもどかしい場面が散見されます。この録音も残念ながらEMIの録音の悪さが出てしまっています。これはとても残念です。

何度か復刻されつつも現役盤がなかったようですが,この8月にWarnerから国内盤が再発売されるようです。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲,ブルッフ:同第1番(アンネ=ゾフィー・ムター/ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲,ブルッフ:同第1番
アンネ=ゾフィー・ムター(Violin)/ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1979年9月,1980年9月 ベルリン
POCG-50050 (P)1980,1981 Polydor International (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
ベートーヴェンが16歳,ブルッフが17歳の録音とは本当に驚きます。艶やかな濃い音色で奏でられる堂々とした演奏からは想像できません。技術の冴えと閃きにも目を見張ります。一流オーケストラと対等に渡り合うところも大器の素質を見せてます。そしてカラヤン/ベルリン・フィルも凄いですね。キッチリとソロを立てながらここぞというところでは洪水のような大迫力のサウンドで圧倒する。これが協奏曲の伴奏か?と。協奏曲の醍醐味を堪能できる名盤だと思います。

録音ですが,やや残響が多めで,ソロは少し距離感があるために音色の艶が失われています。オーケストラも残響の影響はあるものの,こちらはタイトなサウンドが維持されていてソロに比べると良好です。このオーケストラのサウンドの上にフォーカスのピシッと合ったソロが前に来るともっと良かったのですが。まあホールで聴く音響のバランスには近いと言えるかもしれません。

なお,元々はベートーヴェンが単売,ブルッフはメンデルスゾーンとのカップリングだったようで,本盤のようなカップリングはSUPER BEST 101という企画のために特別に組み合わされたと思われます。

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番,第3番,第4番,第5番,第6番,第10番(庄司紗矢香/ジャンルカ・カシオーリ)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番,第3番,第4番
庄司紗矢香 Sayaka Shoji (Violin)
ジャンルカ・カシオーリ Gianluca Cascioli (Piano)
2011年9月 ハンブルク
UCCG-1585 (P)(C)2012 Universal Classics & Jazz (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
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ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」,第6番,第10番
庄司紗矢香 Sayaka Shoji (Violin)
ジャンルカ・カシオーリ Gianluca Cascioli (Piano)
2011年9月(No. 5),2014年7月(Nos. 6 & 10)
UCCG-1700 (P)(C)2105 Universal Classics & Jazz (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
この5月に第5番,第6番,第10番が発売され,計4枚の全集が完結しました。そのうちの2枚。

変な言い方ですが,この演奏を聴いて庄司さんは生粋のクラシック音楽家なんだと実感します。リズムの感じ方がクラシックそのもの。このようなリズム感の演奏は乗れないので好きになれないことが多いのですが,この演奏は例外。音の彫り深さ,多彩な表情や思い切りのよい表現が印象的で惹き付けられます。さすがです。これはベートーヴェンをというより庄司さんの芸を楽しむディスクかなと思います。

録音ですが,やや残響が多めで楽器音に被って音色を損なっています。空間性の表現よりも音色への影響が大きくこの点ではあまり良い印象ではありません。音色のバランスが崩れて高域も変に刺激的ですし,音像も奥まっていてもどかしさがあります。とはいえ音の曇りは最小限に抑えられているので何とか我慢できる範囲です。残響が許せる方は問題ないかもしれません。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽五重奏版)(松原勝也(Vn),山崎貴子(Vn),柳瀬省太(Va),菊池知也(Vc),吉田秀(Cb))

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽五重奏版 松原勝也編)
松原勝也(Vn),山崎貴子(Vn),柳瀬省太(Va),菊池知也(Vc),吉田秀(Cb)
2012年10月15日 品川区民文化センター(セッション録音)
LIVE NOTES WWCC-7724 ナミ・レコード (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
解説書には礒山雅氏による次のような文が書かれています。「(前略)3声ではカバーできない音ももれなく拾い,重なり合う音型を多彩に配分し,コントラバスの参与によって通奏低音に基づく合奏の効果を再現するなど,種々の工夫が盛り込まれた新機軸の編曲である。」そして,「リズムを優先することの多いピアノによる《ゴルトベルク》に対し,本CDに聴かれる演奏は,弦楽器の美感を生かしながら作品の旋律性をていねいに引き立てている点で,異彩を放っている。(後略)」。

演奏を聴いてみて,実際その通りでした。良くも悪くもユル~イ演奏ですねぇ。確かに全曲を通してリズミカルに演奏される変奏はただの一つもありませんでした。酔っぱらいがヨロヨロよたっているように崩して演奏される変奏もあります(もちろん意図的な崩しだと思いますが)。また,リピートや前半から後半に移行するときに,必ず休止が入って「うっ!」となります。身体でリズムを感じようとしたり,呼吸を合わせて聴こうというのは困難で,そんな風に聴こうとすると呼吸が乱されて息苦しく胸が痛くなり,苦痛でとても音楽を楽しむどころではありません(→自分)。私には<生理的に>受け付けられませんでした。とても残念です。

なお,アリアは全てリピート実行,変奏は前半のみリピートあり,で統一されていました。

録音ですが,ホールでのセッション録音のようですが,残響はあまりなく,演出色のない生録的な素朴で素直な音作りでこの点は好感が持てます。録音会場の空間を意識させるような閉空間の響き(残響ではない)がわずかにあってこれが音色を少し濁しているのが残念です。ドライで潤いがないと思われる方もおられると思いますが,私はどちらかといえば好ましく思っています。

演奏時間 約76分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○× Var.02 ○× Var.03 ○×
Var.04 ○× Var.05 ○× Var.06 ○×
Var.07 ○× Var.08 ○× Var.09 ○×
Var.10 ○× Var.11 ○× Var.12 ○×
Var.13 ○× Var.14 ○× Var.15 ○×
Var.16 ○× Var.17 ○× Var.18 ○×
Var.19 ○× Var.20 ○× Var.21 ○×
Var.22 ○× Var.23 ○× Var.24 ○×
Var.25 ○× Var.26 ○× Var.27 ○×
Var.28 ○× Var.29 ○× Var.30 ○×
Aria da capo ○○

タグ: [室内楽曲] 

ケルビーニ:弦楽四重奏曲集(メロス四重奏団)

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ケルビーニ:弦楽四重奏曲集
メロス四重奏団 Melos Quartet
1973(Nos. 1 & 2), 1974(Nos. 3 & 5), 1975(Nos. 4 & 6) Liederhalle, Mozartsaal, Stuttgart
Brilliant Classics 93891 (P)1976 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
マイナーな弦楽四重奏曲を聴くシリーズ第6弾です(^^;。ルイジ・ケルビーニ(1960-1842)はイタリア出身のフランスの作曲家。弦楽四重奏曲はこのディスクに収録されている6曲を作曲しています。作曲時期は,第1番(1814),第2番(1829),第3番(1834),第4番/第5番(1835),第6番(1837)で,ベートーヴェンでいうと後期から没後の時期になります(ちなみにベートーヴェンより早く生まれ,遅く亡くなっていますね)。曲は何というか,かなり大げさに言うとクァルテット漫才というか吉本新喜劇のコテコテ感というか,それちょっとあんたウケを狙ってるでしょう!というようなところが満載です(あくまで個人の感想です(^^;)。もちろん真っ当で良くできた曲ばかりなのですが,ノリが軽くて... マイナーな理由が何となくわかります。

そして,このメロス四重奏団の大真面目でめっちゃハイテンションな演奏がこの楽しい音楽を大いに盛り上げてくれます。どの曲も終楽章はニヤニヤしっぱなしになってしまいます(^^。ちょっとクセになりそう...

録音ですが,数年にわたって録音されているせいか少しばらつきはありますが,やや残響感が気になるものの,メロス四重奏団のドイツ・グラモフォンらしい明瞭感のある録音で基本的には好きなパターンなのですが,やや音質が痩せているというか,すこし音色のバランスが崩れている気がします。悪くはないのですが,惜しい録音です。

ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲集作品10(ミカラ・ペトリ/アイオナ・ブラウン指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)

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ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲集作品10
ミカラ・ペトリ Michala Petri (Recorder)/アイオナ・ブラウン指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
1980年7月9-13日 ロンドン,セントジョーンズ・チャーチ
PHCP-3632 (P)1981 Philips Classics (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Amazon.co.jp
ミカラ・ペトリ22歳のときの録音。この15年後にRCAレーベルに再録音していますが,若々しくはじける,小鳥のさえずりのように歌う,純粋無垢なこの演奏の方が私は気に入っています。この作品10の6曲はフルートのための曲集で,第1番「海の嵐」や第3番「ごしきひわ」といった曲が有名のようですが,ソプラニーノ・リコーダーで演奏される第4番や第6番などもチャーミングです。

そしてこの当時のフィリップス録音らしく美しいリコーダーの音色を余すところなく捉えており,また,バックの弦楽も明瞭で気持ちの良いサウンドで録られていて本当に素晴らしい。この頃に録音された一連のペトリの協奏曲はどれも録音が良いですね。好録音で残されたことに感謝です。

しかし他の協奏曲集はその後ボックスで復刻されたりしていますが,この曲集は復刻されていないように思います。配信でも見つかりませんでした。好演奏・好録音盤なので復刻して欲しいですね。(出番ですよタワー・レコードさん!と無駄とは思いつつアピールしておきます(^^;)

ラフ:弦楽四重奏曲第2番,第3番,第4番,第8番(マンハイム弦楽四重奏団)

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ラフ:弦楽四重奏曲第2番,第3番,第4番,第8番
マンハイム弦楽四重奏団 Mannheimer Streichquartett
Hans-Rosbaud-Stdudio Baden-Baden, SWR, June 4-6 2007, Nov. 28-30 2006
777 004-2 (P)2015 cpo (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
マイナーな弦楽四重奏曲を聴くシリーズ第5弾です(^^;。ヨアヒム・ラフ(Joachim Raff 1822-1882)はスイスの作曲家。Wikipedaによると,長い間忘れられた作曲家であったが,近年再評価の機運が高まっているということで,複数のレーベルから交響曲全集(11曲ある)が発売されているとのことです。弦楽四重奏曲は第8番まであるようで,そのうちの4曲を収録しています。ロマン派の作風で,重厚な響きの凝った作品で,私にはブラームスの弦楽四重奏のような取っつきにくさをこれらに感じてしまうのですが(ブラームスほど渋くはありませんが),聴き慣れればそうでもないかもしれません。確かにもう少し聴かれても良い作品だとは思います。再評価でもっといろいろな演奏が出ることを期待したいです。

さて録音ですが,やや残響感は多めですが,直接音がそれなりに感じられるので印象は悪くありませんし,聴きやすくまとまっていると思います。室内楽の録音としては標準的です。ただ,残響にあまり広がりがなく音場感にそれほど寄与していないので,これならない方がマシかなと思います。

少し前の録音ですが,発売は2015年3月ということで最近ですね。知りませんでした。

バッハ:平均率クラヴィーア曲集全曲(フリードリヒ・グルダ)

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バッハ:平均律クラヴィーア曲集全曲
フリードリヒ・グルダ Friedrich Gulda (Piano)
1972年4月,1973年5月 ドイツ
0300650MSW (P)1972/73 MPS Records (C)2015 Edel Germany (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
私は平均率クラヴィーア曲集はグールド盤しか持っておらず,それほどこの曲に関心を持っていたわけではなかったので,これが有名な演奏だとは知りませんでした。勝手な先入観で刺激的な演奏を期待していたのですが,どちらかというと多彩な音色と表情付けで曲毎にくっきりとコントラストを付けて描き分け,しかし揺るぎのない音楽をじっくり聴かせる演奏だなぁとちょっと意外に思いました(個人の感想です(^^;)。

そして何より素晴らしいのがこの録音! 印象としてはグールドのスタジオ録音に近いです(聴き比べると実際にはだいぶ違いますが)。ピアノ以外の響きが皆無,極めてクリアで粒立ちがとても綺麗。超Hi-Fi的な誇張や不自然さもない。ジャズでは良くある録り方かもしれませんが,クラシックではまずこんな録り方しないですね。一般的なクラシックのピアノ録音とはかけ離れているので好き嫌いが分かれると思いますが,私としてはほぼ理想に近い,こんなピアノの音が聴きたかったんだ!という録り方で本当に嬉しい限りです。MPSは西ドイツのジャズ・レーベルだそうで,それでこの録音が実現したのだと思います。感謝! なお,音質は第1巻の方が良く,第2巻は少し癖のある響きが感じられて少し落ちます。

あぁ,こんなピアノの録音でもっと聴けたらいいのに! こんな素晴らしい録音のお手本があるのになんで真似しないんですかね。こんな録音が増えたらもっとピアノが好きになるだろうに。なんでみなさんピアノの音を濁して録音するのか,私には全く理解できません。

リュートのための古風な舞曲とアリア(レスピーギ編の原曲)(ポール・オデット(Lute),他)

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リュートのための古風な舞曲とアリア Ancient Airs and Dances
ポール・オデット Paul O'Dette (Lute)
ロジャー・コーヴィー=クランプ Rogers Covey-Crump (Tenor)
1986年8月28,29日
CDA66228 (P)1987 HYPERION RECORDS (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
レスピーギの有名な「リュートのための古風な舞曲とアリア」の原曲を集めたディスク。曲順もほぼレスピーギの編曲に合わせて第1組曲から順に演奏されます。演奏者は上記の他に,ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン),ナイジェル・ノース(バス・リュート),クリステル・シールマン(バス・ヴィオール)がそれぞれ1曲ずつ参加しています。楽曲はリュート独奏が中心ですが,一部テノールとの共演,その他前記の楽器との共演の曲があります。選曲は特殊かもしれませんが内容は純古楽?です。

こうやってレスピーギ編曲の原曲をまとめて聴くことなど他では恐らくないので,これはある意味貴重なディスクかもしれません。普段リュートは聴かないのですが,レスピーギ編を知っているというだけでとても楽しく聴くことが出来ました。

録音もいたって普通で,残響が多すぎることもなく,極端に楽器の質感が強調されることもなく,明瞭で自然な感じの印象の良い録音です。特に優れているということはないですが,マイナス要素,欠点が少ないという点で好ましい録音だと思います。

かなり昔に発売されたディスクですでに廃盤になっていますが,これもヘリオスレーベルで復刻されています。

タグ: [器楽曲] 

ベートーヴェン:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲,他(ネヴィル・マリナー指揮/アイオナ・ブラウン(Vn)/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)

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ベートーヴェン:交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲,他
ネヴィル・マリナー指揮/アイオナ・ブラウン(Vn)/
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

録音 1970~1989年 ロンドン
PROC-1694/700 Tower Records (国内盤)
好録音度:★★★☆~★★★★☆
参考: Tower Records Vintage Collection +plus Vol.20
タワーレコードの企画盤。交響曲全集,ヴァイオリン協奏曲の他に,大フーガop.133(弦楽合奏版),「献堂式」序曲op.124,12のメヌエットWoO.7,12のドイツ舞曲WoO.8,12のコントルダンスWoO.14,戦争交響曲「ウェリントンの勝利またはヴィットリアの戦い」op.91が収録されています。交響曲は1970年から1989年と完結するまで約19年かかっています。今まで全集としてまとまってリリースされたことはなかったということですので,このタワーレコードの企画は貴重ですね。

1970年に第1番,第2番の録音から始まりましたが,当時としては室内管弦楽団のベートーヴェンはまだまだ少なかったと思います。このような小気味よい演奏は鮮烈な印象を与えたのではないかと想像します。今やこのような演奏は珍しくなくなり,また,新しい校訂版の楽譜が使われるようになってきましたが,今聴いても古びた感じはなく,今なお新鮮さを失っていないところが凄いと思います。

またアイオナ・ブラウンのヴァイオリン協奏曲ですが,正統派の引き締まった立派な演奏で,これだけの演奏が聴けるとは思っていなかったので,思わぬ掘り出し物に出会った気分です。

さて録音ですが,19年かけたものですのでだいぶばらつきがあります。78年に録音された12のメヌエット,ドイツ舞曲,コントルダンスが飛び抜けて良く,次いで80年に録音されたヴァイオリン協奏曲。交響曲は似たようなものですが,年代が後になるほど残響が増え音に締まりがなくなり,第9番が最も良くありません。小編成の小気味良さを活かす録り方になっていないのは少々残念です。12のメヌエット他のようにすっきりと分離良く録ってくれていると良かったのですが。ヴァイオリン協奏曲は特にソロが明瞭で協奏曲の録音としてまずまず良好で救われました。

フィリップスの録音にしては少し期待から外れるところはありましたが,時代の先端であったであろう貴重で立派な演奏が全集として復活したことを喜びたいと思います。

イタリア・バロック・リコーダーソナタ集(ミカラ・ペトリ/ジョージ・マルコム)

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イタリア・バロック・リコーダーソナタ集
ミカラ・ペトリ Michala Petri (Recorder)
ジョージ・マルコム George Malcolm (Harpsichord)
1984年6月16-18日 ロンドン,ヘンリーウッドホール
PHCP-3633 (C)Philips Classics (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
イタリアのバロック作曲家の作品を演奏しています。収録曲は以下の通りです。

ヴィヴァルディ:「忠実な羊飼い」作品13より ソナタ第6番 ト長調 RV58
コレッリ:ソナタ ハ長調 作品5-9
ビガグリア:ソナタ イ短調
ボノンチーニ:室内ディベルティメント第6番 ハ短調
G. サンマルティーニ:ソナタ ト長調 作品13-4
マルチェッロ:ソナタ ヘ長調 作品2-1

G. サンマルティーニとコレッリの作品が特に好きですね。ミカラ・ペトリの澄んだリコーダーの音色,溌剌と活き活きとした若々しい音楽がとても素敵です。

今まであまり意識していなかったのですが,私の認識ではペトリのリコーダーは「モダン」です。ペトリの録音では特に1980年代前半にアカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズと残した多くのバロック・リコーダー協奏曲が,モダンの感性で新たな生命を吹き込んだものとして私の中で特別な存在となっています。このソナタ集もそれに加わるものとして長年愛聴しています。

そしてこのフィリップスの録音がまたペトリのリコーダーの長所を良く捉えていて秀逸ですね。残響を抑え適切な距離感で透明感ある音色で質感豊に録っています。ペトリの素晴らしいリコーダーがこのような良好な録音で残されたことを本当に嬉しく思います。

これらのフィリップス録音はオリジナルのものはすでに廃盤になっていますが,ボックスセット等で何とか生き残っていますね。

ペトリは現在も新譜をリリースしており,まだまだ現役で活躍されているのは嬉しい限りですが,録音に関して言うと,彼女の澄んだ音色をクリアに捉えているとは言えず,欲求不満が残るものが多くて残念でなりません。

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(アンドレイ・ガヴリーロフ)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ピアノ)
アンドレイ・ガヴリーロフ (Piano)
1992年9月 ヴィースバーデン
UCCG-5074(435 4362) (P)1993 Deutsche Grammophone (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
言わずと知れた名盤なので今更なのですが...とにかくものすごい勢いに圧倒されますね。しかもものすごい速さで弾いているにも関わらず,一音たりともおろそかにすることなく全ての音を正確無比に弾ききっているのが痛快です。しかもリピートをAria da capoも含めて全て行うという完璧さ! Var.13が一般的な演奏の倍速くらい速かったり,Var.25を11分以上かけたり,Var.29は頭拍を見失うほどの勢いだったり,いろいろと面食らうところもありますが,いろんな意味で楽しめる演奏だと思います。

録音ですが,やや残響を多めに取り入れているためにピアノの音色がくすみ,ぼやけていますが,まあ普通のピアノ録音の部類に入ると思います。ただ,やはりこれだけのキレの良い演奏なので,残響なしで超クリアに録ってくれていたらもっと良かったのにと思いますね。

演奏時間 約75分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(初期バージョン/現行版)(佐藤まどか(Vn)/フォルケ・グラスベック(P))

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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(初期バージョン/現行版)
『シベリウス・エディション VOL.6 ~ヴァイオリンとピアノのための作品全集~』より
佐藤まどか(Violin) フォルケ・グラスベック(Piano)
Recorded in June 2008 at the Kuusankoski Concert Hall, Finland
BIS-CD-1915/17 (P)1991-2008 (C)2008 BIS REcords AB (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(ヴァイオリン協奏曲のみ)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store

『シベリウス・エディション VOL.6 ~ヴァイオリンとピアノのための作品全集~』というBISレーベルの企画BOXセットに収録されているものです。このディスクは以前一度レビューしていました(→こちら)。少し前に新田ユリさんの『ポホヨラの調べ 指揮者がいざなう北欧音楽の森』のヴァイオリン協奏曲の章を読んで,初期バージョンを聴きたくなって取り出してきました。初期バージョンと現行版との違いについてはこの本に記載がありますのでご参照いただければと思います。(この本には2015年6月にマキシム・ヴェンゲーロフ氏のヴァイオリン,東京フィルハーモニー交響楽団との共演で初期バージョンに取り組む,と記載されていました。6月1日に演奏されたようですね。)

佐藤まどかさんのこのピアノ伴奏版の演奏は,このシベリウス・エディションのために録音されたもののようです。このピアノ版は作曲者自身の手によるもの(第1楽章はKalevi Ahoが2007年に補筆完成)のようで,それでこの「ヴァイオリンとピアノのための作品全集」に収録されたのだと思います。そしてこの佐藤まどかさんの演奏が大変素晴らしくて感動ものなのです。技術的な巧さはもちろんのこと,個性よりもこの曲の普遍的な魅力を純粋に表現することを優先して力を注いだこの姿勢が,資料的な価値と芸術的な価値の両立を達成することに成功していると思います。

そしてこの録音がまた良いのです。残響を抑え,ヴァイオリンの音色を明瞭に,質感豊かに捉えているのです。この演奏の資料的・芸術的価値を高めることに貢献しています。

初期バージョンが収録されたディスクは,レオニダス・カヴァコスのヴァイオリン,オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団のものがありますが,残念なことに録音が全く良くなく,とてももったいなく残念な思いをしましたが,こちらは期待に応えてくれる素晴らしいものでした。オーケストラ版も録音してくれたら良いのに,と心底思います(もちろん好録音で!)。

なお,この5枚組のセットには普段あまり接する機会の少ないヴァイオリンとピアノのための作品が網羅されていますが,あまり録音が良くなく楽しめないのが残念です。BISの録音は私にはどうも合わないようです。

Henry Purcell: Ayres for the Theatre (Peter Holman / The Parley of Instruments)

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Henry Purcell: Ayres for the Theatre
Peter Holman / The Parley of Instruments
6, 7 January 1986
CDA66212 (P)(C)Hyperion Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV Onlineicon
今週のツィッターのタイムラインに「パーセル」がたくさん出てきたので久しぶりに聴きたくなって引っ張り出してきたディスク。恐らく私が持っている唯一のパーセルのディスク。最初に収録されているSuite from the play Abdelazar Z570(組曲「アブデラザール,もしくはムーア人の復讐」)は,だいぶ昔に弦楽合奏で演奏したことがあって,そのときによく聴いていた思い出深いディスクでもあります。Abdelazarは2曲目のロンドの主題がブリテンの青少年のための管弦楽入門に使われているのでご存じの方も多いと思います。

これは小編成のピリオド楽器での演奏で(1パート1楽器?),透明で輝きのある弦の響き,快活な楽しげな演奏が印象に残ります。この室内楽的な響きが気に入っています。私にとって古楽の雰囲気にどっぷり浸かりたいときに好適なディスクです。最近はあんまりそんな気分になるときは少ないですが(^^;。

録音はやや残響が多めですが,音色はあまり曇っていないためそれほど印象は悪くありません。ただ,少し遠めのマイクセッティングなのか,楽器の質感が感じ取りにくいのが残念に思います。

古いディスクなのですでに廃盤になっているようですが,ヘリオスレーベルで復刻されたようです(しかしこれもだいぶ前?)。

タグ: [管弦楽曲] 

ゴセック:6つの弦楽四重奏曲作品15(Quatuor Ad Fontes)

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ゴセック:6つの弦楽四重奏曲作品15
Quatuor Ad Fontes
enregistre a Paris, chapelle de l'bopital Ntre-Dame de Bon Secours, en Janvier 2002
ALPHA 025 (C)2002 Alpha (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
マイナーな弦楽四重奏曲を聴くシリーズ第4弾です(^^;。ゴセック(1734-1829)はフランスで活躍したベルギー出身の作曲家で,“ガヴォット”だけがやたら有名ですが,30曲近い交響曲を残し「フランス交響曲の父」と呼ばれる存在だそうです。この弦楽四重奏曲は1772年の作曲ということで,ハイドンが弦楽四重奏曲作品20を作曲していた時期の作品になるようです。この6曲はどれも2つの楽章からなり,演奏時間も1曲あたり10分前後と小さな作品ですが,どれも耳あたりの良い爽やかな音楽です。

演奏はピリオド楽器によるもので,ノンヴィブラートの透明な響きが美しく,快活な表現と相まって愛らしい曲調に合った爽やかな音楽を奏でています。ピリオド楽器の良さが活かされています。

録音ですが,残響時間が長い空間での録音で,結構多めに入っているのですが,直接音の背景としてふわっと広がる感じであり,楽器音にあまり影響を与えずに空間表現をしています。直接音が主体なので明瞭感は十分にあり,高域の伸び,透明感も良好です。残響が多い割には上手くまとめていて印象が悪くありません。もちろん私の好きな録り方ではありませんが,優秀録音と言えるかもしれません。ALPHAレーベルらしい良い録音だと思います。

ゴセックの弦楽四重奏曲は,まとめて6曲収録されているのはこのディスクしかないような気がします。良い作品だと思うのですが,あまり演奏されないのはやはり曲の個性が弱いからかなと思いますが,それにしてももう少し演奏されても良いのでは?と思いますね。

MY ROOM side 2 (ウィリアムス浩子)

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MY ROOM side 2
ウィリアムス浩子(Vocal) 馬場孝喜(Guitar)
Aby Studio Japan, Apr. 1-2, May 19 & Dec. 15-28, 2014
BSM007 Berkeley Square Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
『音源の試聴にいつも使わせてもらっている「Hirokoの部屋」と名付けられたオーディオ・ルーム』で録音するMy Room Projectの第二弾。第一弾(side 1)が素晴らしかったので大いに期待して入手。

ウィリアムス浩子さんのヴォーカルは,side 1よりも声色のヴァリエーションを広げて多彩な歌を聴かせてくれます。side 1も良かったのですが,このside 2はまた違う良さがあり素晴らしいですね。

さて,肝心の録音なのですが...微妙です。解説書には『side 1での経験を活かし,さらなる“生音”を目指しました。』と書かれているのですが,私にはside 1の方がはるかに生音に近いように思います。このside 2ではアンビエント成分が増し,より人工的な匂いのする音作りになっています。ギターの音も生音の深みがなくなり,下支えのない薄っぺらい音になってしまいました(あくまでside 1比ですが)。side 1では演奏者と同じ部屋で音楽を共有していたのに,side 2では演奏者は商品としてパッケージ化されたメディアの向こう側に行ってしまいました。

確かに水準の高い優秀録音だとは思います。しかしそれはジャズでは数多くある普通のスタジオで録音された「普通の優秀録音」と同じレベルであり,私がside 1を聴いてMy Room Projectに期待した優秀録音とは違いました。私が単にMy Room Projectを誤解していただけなのでしょうが,そうならMy Room Projectはもはや私には意味がありません(あくまで「録音」に関してです。念のため)。残念です。

辛口コメントになってしまい申し訳ございません。前述の通りこれは録音に対する不満であり,今後への期待を込めてあえて書かせていただきました。音楽そのものは素晴らしく,続編にも期待したい,ということを改めて申し上げておきます。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集(偽作を含む)(藤川真弓(Vn)/ワルター・ヴェラー指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団)

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モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集
藤川真弓 Mayumi Fujikawa (Violin)
ワルター・ヴェラー指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
1979-1980, Kingsway Hall, London, UK
480 5384 (P)(C)1980,1981 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazonHMV OnlineiconiTunes Store
第1番から第5番に加え,ロンド2曲とアダージョ,さらに,偽作とされる第6番,第7番まで含む完璧な全集です。この2曲は初めて聴きます。あまり演奏されませんが,偽作というだけで演奏されないのは少しもったいない気のする曲です。それにしてもこの藤川さんの演奏は少し懐かしい薫りがします。このような豊潤で甘美なヴァイオリンの音色は昨今のモーツァルト演奏ではなかなか聴けなくなったように思います。かえって新鮮に響きますね。生真面目なのに軽やかで爽やかなところも好印象です。楽しく聴くことが出来ました。

録音ですが,協奏曲としては普通に良いと思います。オーケストラは少し遠めで残響を伴っていますが,ソロは残響を抑え一段明瞭で浮き上がるように録られています。このようなコントラストが付けられているのは良いのですが,オーケストラは残響による音色の劣化によって若干うるさく聴こえるところが惜しいと思います。ソロももう一歩寄って,あざとくならないぎりぎりのところまで明瞭度と質感を高めて録ってくれていたらなお良かったと思います。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(タマラ・スミルノヴァ Tamara Smirnova)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
タマラ・スミルノヴァ Tamara Smirnova (Violin)
録音データなし
Croatia Records iTunes Storeダウンロード販売 (1995/5/23リリース)好録音度:★★★
参考: iTunes Store
CD試聴記」からの転載記事です。

モダン楽器による演奏で,力強く自信に満ち推進力があります。弓遣いに迷いなく鋭く切り込んでいくところが良いと思います。技術的にも優れています。

しかし,この全集には重大な欠陥があります。パルティータ第1番のSarabandeのDoubleのところで,こともあろうかCouranteのDoubleがもう一度入っているのです。つまり,SarabandeのDoubleが抜けているのです。これは完全な編集ミス。いつダウンロード公開されたのか知りませんが,こんな状態で放置されていることが信じられません。

録音ですが,とても残響が多く,しかも楽器音に被って音色が大きく損なわれています。明瞭感も悪く,ニュアンスや楽器の質感も失われています。残響を入れれば良いというものではありません。全く良くありません。

ヴァイオリニストについては詳細がよくわかりません。クロアチアのレーベルのようですので,そのあたりの出身のヴァイオリニストだとは思います。

iTunes Storeのダウンロード販売で購入(AAC 256kbps)。ディスクでも販売されていたようですが,現在は入手困難のようです。上記のような欠陥があり,また録音も良くありませんので,演奏は良いと思うのですが,お薦めできません。

MY ROOM side 1 (ウィリアムス浩子)

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MY ROOM side 1
ウィリアムス浩子(Vocal) 馬場孝喜(Guitar)
Aby Studio Japan, Jan. 28-29 & Apr. 1-2, 2014
BSM006 Berkeley Square Music (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon
『音源の試聴にいつも使わせてもらっている「Hirokoの部屋」と名付けられたオーディオ・ルーム』で録音するMy Room Projectの第一弾。一つの部屋で,ヴォーカル用にマイク1本,ギター用にステレオマイク1ペア,部屋の雰囲気を伝えるためのアンビエント用マイク1ペアで録られた音源。

この録音,ヴォーカルの生々しさが素晴らしいですし,ギターの音もニュアンス豊かに捉えています。距離感も適度で,自分のためだけに目の前で歌ってくれているようなリアルさが良いです。アンビエントマイクによると思われる響きがかすかに入っていて多少音色に影響しているものの,まあ十分に許容できますし,確かに雰囲気作りには寄与しています(個人的にはアンビエントなしで聴いてみたい)。CDの能力を最大限に活かす録音レベルの高さもこの好録音に貢献しています。

私は普段ジャズは聴きませんが,ほぼギターの弾き語りに近いこのような音楽は好きです。ジャズでは普通に(ではないかもしれませんが)このような録音がなされるのは本当にうらやましいです。クラシックではまずこんな録り方はしてくれません。家で室内楽を楽しんだりする場合はこんな音響だと思いますし,クラシックだからといってこんな音響下で音楽が楽しめないかというと,決してそんなことはありません。逆にホールでは決して味わえない刺激に満ちた一体感のある音楽が楽しめると思うのです。室内楽や器楽曲でこのような録音をしてくれたらどんなに素晴らしいだろうと思うのですが。

最近,このMy Room Projectの第二弾,“MY ROOM side 2”が発売されています。これも聴いてみたいですね。

加羽沢美濃:24のプレリュード

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加羽沢美濃:24のプレリュード
加羽沢美濃 Mino Kabasawa (作曲, Piano)
2012年10月3-5日 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
COCQ-85003 (P)2013 Nippon Columbia (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconiTunes Store
加羽沢美濃さんを知ったのはご多分に漏れずNHKの「ららら♪クラシック」で,作曲家ということでしたので一度作品を聴いてみたいと思っていました。過去にいろいろとディスクを出されていたようですが,今手に入る中で出来るだけ純クラシック的なのものをと思って選んだのがこのディスクです。

この「24のプレリュード」は,古今の大作曲家が名作を残すジャンル「24の調性全てを網羅した作品集」への挑戦とのことで,イ長調から始まり,全ての調性を巡った後,イ短調で終わる構成となっています。作品の印象は,一世を風靡したニューエイジとクラシックとの中間的な音楽に感じられます。詩情溢れる,優しい気持ちになれる作品です。曲自体のインパクトは強くありませんが,本当に詩集を読んでいるかのような錯覚さえ覚える,情緒的な音楽だと思います。クラシックという分野でこのような作品が評価されるのかどうかは私にはわかりませんが,評価されて欲しい,そして,もっとこんな作品が普通にたくさん生まれてくるクラシック界であって欲しいと思った次第です。そういう意味で(どういう意味だ?(^^;),あえてこのような古典的な形式の上に加羽沢さんの感性に彩られた作品が創られるとうれしいなと思っております。次の作品にも期待! 私は応援していますよ。

録音ですが,先にも書いたように録音においてもニューエイジ的な響きで演出されたピアノ,といった印象があります。悪くはないのですが,もう少しクリアで演出のない生音を活かした録音で聴かせて欲しいというのが私の希望です。このような演出はかえって作品を安っぽいものにしてしまいかねませんので。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

モニターヘッドホン Sony MDR-CD900ST 周波数特性 & レビュー

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ヘッドホン Sony MDR-CD900ST

密閉ダイナミック型,インピーダンス63Ω,ケーブル2.5m片だし,ステレオ標準プラグ
参考: SonyAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去にも測定データを公開していましたが,今回,新しい治具での再測定しましたので再度掲載し,レビューを追記しました。

プロの現場でも最も使われている有名な定番モニターヘッドホンなので,ご存じの方が多いと思います。 ソニーとソニー・ミュージックエンタテインメントとの共同開発品とのことで,ソニーのWebサイトには製品情報がありません。 「原音(この場合は信号に含まれている音)を出来るだけ忠実に再現する」ことに注力されており, 「録音のノイズや粗を見つけるのに最適であり,音楽鑑賞には向かない」と一般的には言われているようです。

確かに聴いてみると,音が耳のすぐ近くで鳴っているようで,音場は広くありませんし,圧迫感が強く開放感はほとんどありません。 聴感上はフラットで,密閉型にしてはこもった感じもなく,中高域が極めてクリアで音の輪郭がくっきりしています。 低域は,量感はありませんがレンジが広く,空気の振動,圧力変化まで感じ取れるようで,空気感がリアルに感じられます。 こういった音質がスタジオモニターとして好まれる要因なのでしょう。

全体の質感は,良いとは言えませんが,いかにも実用本位という感じです。 イヤーパッドの表面の材質が薄く安っぽい人工皮革?というのが今ひとつです。 また,プラグが標準プラグのみというのもプロ用らしいですね。

イヤーパッドが薄めで,大きさもそれほど大きくないため,耳が少し押さえつけられ, 側圧はそれほど強くないにも関わらず長時間装着していると耳が痛くなります。 私の場合,連続使用は1時間程度が限度です。 位置決めも,しっくりくるポイントがなかなか見つからず苦労します。 装着感は残念ながら少なくとも私にとっては最悪の部類です。

一時期,装着感の悪さを我慢して使っていたのですが,フラット感があるとはいえ, ほんのわずかな中域の癖が気になって次第に使わなくなってしまいました。 私自身はこの音質は音楽鑑賞に向いていないとは思わないのですが...

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図1 Sony MDR-CD900ST 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

タグ: [ヘッドホン] 

ヘッドホン Sennheiser HD239 周波数特性 & レビュー

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ヘッドホン ゼンハイザー Sennheser HD239

オープン・ダイナミック型,インピーダンス32Ω,ケーブル片だし1.4m ストレートプラグ
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。本機については過去に一度レビューしていました(2014年6月8日)。併せてご覧いただければと思います。今回,新しい治具での再測定とレビューの改訂を行いましたので,再度掲載します。
2015年6月時点の実売価格が約9,150円(Amazon.co.jp)。 ゼンハイザーとしては入門クラスの音楽用開放型ヘッドホンです。

小型のオンイヤーで側圧も緩く,耳にあたるスポンジも極めて柔らかく, とても軽くて着けていることを忘れてしまいそうなくらいの快適な装着感が最大の特長ではないでしょうか。 これは本当に魅力的です。

そして音質ですが,とても整ったフラットな音質です。 このサイズでこの低域の量感が出るのは少し驚きました。 高域は少し大人しい感じがするのと,ソースによっては少しモゴモゴ感があるものの,大きな不満はありません。 この小さなオンイヤーで,また,1万円を切る価格帯でこのバランスの良い,破綻のない音作りをするとは,さすがゼンハイザーです。 当然ながらHD650にクオリティは及ばないものの,大きな音質の傾向はHD650の流れを汲んでいるように思います。

オープン型なので音漏れは盛大にありますので,外での使用は注意が必要です。 逆に,外の音もほとんど遮られずに入ってくるため,閉塞感が全くないのも良い点です。 造りは価格相応かと思いますが,ポータブル用途を意識してかだいぶ細く頼りないのは仕方ないところでしょうか。

地味なヘッドホンですが,好きな機種の一つです。

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図1 Sennheiser HD239 周波数特性
■SPL ■SPL[1] ■2nd D ■3rd D ■Impedance ■Impedance[2]
[1]人工耳アダプターなし / [2]非装着状態 / 測定環境

タグ: [ヘッドホン]