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ジュリアード弦楽四重奏団 エピック録音全集(1956-1966年)

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ジュリアード弦楽四重奏団 エピック録音全集(1956-1966年)
ジュリアード弦楽四重奏団 Juilliard String Quartet
88985470132 (P)(C)2018 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

このボックスセットは大当たりでした! モーツァルトのハイドンセットはすでに持っていて演奏・録音ともに良かったので期待が大きかったのですが,その期待を裏切られませんでした。

演奏はいずれも勢いがあり躍動感に溢れていてワクワクが止まりません。小細工のないあまりにもストレートすぎる演奏が心にダイレクトに突き刺さります。ハイドンなどのっけから「おぉぉぉーっ,キターーーッ」てな感じです(^^;。普段から音楽には元気をもらっていますが,それを実感できる素晴らしい演奏でした。

そして録音がまた良いのです。すべてスタジオ録音です。スタジオの響きが若干ありますが,直接音が主であり,極めて明瞭で自然な音色であり,タイトに引き締まっていて申し分ありません。音像,音場感は自然さはあまりありませんが大きな問題ではありません。またクオリティは時代相応で古くささがあるのは確かで現代の録音にはかないませんが,これも鑑賞上問題のないレベルです。音楽の楽しさを余すところなくストレートに伝えてくれるスタジオ録音の素晴らしさを教えてくれる好例です。現代の録音はクオリティは高くてもちっとも面白くないものが多いのはなぜなんだろうと思いますね。こんな良い手本が50年以上も前から存在するのに。

ということでこのような好演奏がこれ以上望めないくらい良い録音で残されたことに感謝したいと思います。これらはApple Musicでも聴けますので,ご興味をもたれましたら是非聴いてみていただきたいと思います。

※ジュリアード弦楽四重奏団といえば,リヴィング・ステレオの素晴らしい録音もありましたね(→こちら)。

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The Juilliard String Quartet with Leon Fleisher, March 1963


[収録曲]
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[CD 1]
ベンジャミン・リース:弦楽四重奏曲第1番
ウィリアム・デニー:弦楽四重奏曲第2番
1956年4月,5月 ニューヨーク、コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music
※モノラル録音(本ディスクの音質ややや落ちます)

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[CD 2-4]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番~第19番「ハイドンセット」
1962年5月 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music

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[CD 5]
シューベルト:弦楽四重奏曲第15番ト長調D887
1962年12月 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music

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[CD 6]
ブラームス:ピアノ五重奏曲ヘ短調作品34
レオン・フライシャー Leon Fleisher (Piano)
1963年3月 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music

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[CD 7]
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番イ短調作品13
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第3番ニ長調作品44-1
1963年12月 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music

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[CD 8-9]
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品59「ラズモフスキー四重奏曲」
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番変ホ長調作品74「ハープ」
録音:1964年5月,1965年10月 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music

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[CD 10]
シューベルト:弦楽四重奏曲第13番イ短調D804「ロザムンデ」
シューベルト:弦楽四重奏曲第9番ト短調D173
1965年10月 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music

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[CD 11]
ハイドン:弦楽四重奏曲集作品54
1966年4月 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
参考: Apple Music

BIRD'S EYE VIEW (タートル・アイランド・カルテット)

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BIRD'S EYE VIEW
タートル・アイランド・カルテット Turtle Island Quartet
(P)2018 Azica Records
参考: Amazon.co.jpApple Music

ジャズの弦楽四重奏団,タートル・アイランド・カルテットの2月の新譜。同カルテットのオリジナル・メンバーであったチェロのマーク・サマーが抜け,オリジナル・メンバーはデヴィッド・バラクリシュナンだけになってしまったことに加え,楽曲がジャズに偏っているため最近だいぶ興味が薄れてしまっているのですが,やはりこれは聴いておかなければと思い,これもまずはApple Musicで試聴しました。

ジャズは守備範囲外で全く詳しくなく,これがどういう類に音楽と言えばよいのかよくわからないのですが,コンテンポラリージャズとでも言うのでしょうか?(違ったらごめんなさい),ジャズ8割,現代音楽2割という感じでちょっと苦手でした。ラストの1曲だけはブルーグラスの趣が残っていて,これだけは良いなと思いましたが。古くからのファンとしてはこういう曲を集めたアルバムも作って欲しいと思う次第です。

タグ: [弦楽四重奏] 

Live! At the Ryman (トミー・エマニュエル)

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Live! At the Ryman
トミー・エマニュエル Tommy Emmanuel (Guitar)
088985445622 (P)2017 Sony Music (輸入盤)
参考: Tower RecordsTower RecordsHMV OnlineiconApple Music

オーストラリアのアコースティック・ギタリスト,トミー・エマニュエルのライヴアルバム。昨年発売されていたようなのですが気がつきませんでした。Apple Musicで気がつきまずはこちらで試聴。詳細はわかりませんが,相変わらず楽しいステージのようです。定番のBeatles Medleyから続けて演奏されるClassical Gasはいつも聴いているものより一層キレが増していて熱くなりました。まだ生のステージを体験したことがないので,機会があればコンサートに行ってみたいものです。

タグ: [ギター] 

ブラームス:交響曲第1番,第2番,他(トマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団)

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ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
ブラームス:愛の歌作品52,65より9曲(作曲者編)
ブラームス:ハンガリー舞曲集より第1番,第3番,第10番
トマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
2011年3月 スウェーデン,エレブルー・コンサートホール
BIS-1756 SACD (P)(C)2012 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

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ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲作品56a
ブラームス:ハンガリー舞曲集より第6番,第7番,第5番(ダウスゴー編)
ブラームス:大学祝典序曲作品80
トマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
2016年5月,6月 スウェーデン,エレブルー・コンサートホール
BIS-2253 SACD (P)(C)2017 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

私も小編成の快速演奏は好きな方なのですが...これはそんな私でもちょっとやり過ぎじゃないの?と思ってしまいます(^^;。特に第1番の第1楽章は提示部のリピートありで15:10,第2番の第1楽章もリピートありで17:31という快速,せわしなくて落ち着きません。オーケストラの技術はアンサンブルも含めて優秀でこれだけ速くても乱れることはありませんが,どうしても乱暴に聴こえてしまいます。もちろんこれが好きな人もいると思いますが,ブラームスとしてはあまり好まれないのではないでしょうか。一方ハンガリー舞曲の方はこのスタイルが合っているような気がしました。う~ん,難しいもんですね。第3番,第4番もリリースされると思いますが,果たしてどんな演奏になるやら...気になります。

録音ですが,BISにしては残響が控え目で比較的すっきりとしているのですが...なんだかあまり楽器の質感が感じられず,現実感・実在感が希薄です。嫌いな録音ではないはずなのに,好録音というには何かが決定的に欠けているような気がして,あまり良い印象が残りませんでした。

第1番はディスクを入手しているはずなのですがどこかに埋もれて行方不明になってしまいました(涙)。先日第2番が発売されて入手するかどうか相当迷ったのですが,Apple Musicで公開されているので聴いてから決めようと思って今回どちらもApple Musicで聴いてレビューしました。第3番,第4番がリリースされたら再度Apple Musicで聴いて入手するかどうか決めることにします(^^;。

タグ: [交響曲] 

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品33「ロシア四重奏曲集」(アイブラー四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品33
アイブラー四重奏団 Eybler Quartet
2012年1月,トロント
AN29842 (P)2012 Analekta (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

Apple Musicでの試聴です。

まるで模範演奏のように教科書的に見事に整っています。個性的な表現はほぼないのですが,「標準」を結構いい線で極めているかなという感じがします。ちょっとおっとりしていて独特の雰囲気はあります。私はこういうのも好きですね。

録音ですが,響きが被って少し音色を濁してはいるものの,それでも直接音が多く明瞭感もあり,高域の伸びも感じられてまずまず良好と言えます。これなら弦楽四重奏の録音として十分許容範囲です。少々オマケですが四つ星半です。

ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」,第4番,第5番「運命」(フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団) *Special Edition Wiener Symphoniker Japan Tour 2017

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ベートーヴェン:交響曲第1番,第3番「英雄」,第4番,第5番「運命」
フィリップ・ジョルダン指揮/ウィーン交響楽団
Musikverein Wien, Vienna. 25/26 February and 8/9/10 March 2017
WS019 (P)(C)2017 WIENER SYMPHONIKER, VIENNA (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

この2枚組の1枚目は昨年取り上げていました(→こちら)。2枚目の第4番,第5番はレギュラー盤は半年後に発売されるそうなのですが,2017年の日本ツアーのスペシャル・エディションとして1枚目とともに日本向けに製造されたとのことです。1枚目の出来が素晴らしかったので,半年を待ちきれずに購入してしまいましたが,こういう発売の仕方は正直あまり有り難くないですね... 勿体ぶらずにさっさとレギュラー盤で発売して欲しいものです。

第4番,第5番についても感想は1枚目と変わらず,演奏も期待通り,録音も良好でした。全集に向けての今後のリリースがますます楽しみになりました。

第1番,第3番についてはe-onkyoでも96kHz/24bit(FLAC or WAV)の音源が発売されていました。

日本向けということで,ジャケ写に漢字(しかも明朝体)で収録曲が記載されているのが新鮮です(^^;。解説書はありませんが,曲名や演奏者も日本語の記載があります。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(川田知子)

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番,第2番,パルティータ第1番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 30th & 31th March 2017
MM-4013 (P)(C)2017 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番,パルティータ第2番,第3番
川田知子 Tomoko Kawada (Violin)
Nanso Bunka Hall, Chiba, 27th & 28th June 2017
MM-4026 (P)(C)2018 MEISTER MUSIC (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

CD試聴記」からの転載記事です。2枚目が発売され全集となりましたので追記して再掲しました。

日本人の謙虚でストイックな真面目さ,技術力の高さを象徴するかのような演奏。 感情移入することなく厳しく作品と向き合っています。 恣意的な「ため」や頭拍に過剰に重きを置くこともなく淡々としたリズムで進行していくのも好感が持てます。 声部の描き出しも丁寧で音楽の構造が良く浮かび上がってきます。 この品格のある古風な佇まいが良いですね。

録音ですが,残響感はあまりなく直接音が主体のため基本的には好感が持てるのですが, 録音会場の反射音が強めで音色の濁りが気になります。 好ましい響きの取り入れ方ではなく,これならない方がずっとマシです。 演奏が良いだけにこの録音は本当に惜しいと思います。

2017年秋に1枚目が,そして2018年初めに2枚目が発売となり全集となりました。 録音時期は3ヶ月空いていますが全体として演奏・録音とも統一されています。

藤井郷子ソロ

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藤井郷子ソロ
藤井聡子 Satoko Fujii (Piano)
2017年7月9日 八幡浜ゆめみかん(愛媛県)
201-046 (P)(C)2018 LIBRA RECORDS (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ジャズのピアノソロ。録音が良いというブログ記事を見かけて聴いてみたくなり購入。多少のホールトーンは含まれていますが,基本的には直接音主体に極めてクリアに録っていて録音に関してはほぼ不満はありません。音像が少し不自然な感じはしますが,問題ありません。ジャズでは特に特殊な録り方ではないと思います。クラシックではこんな録り方はまずしてくれないですよね。クラシックでもこんな風に録ってくれたら良いのにと思います。

さて音楽はというと...私の苦手なタイプの現代音楽風即興ジャズでした...なので最後まで聴き通せませんでした。ごめんなさい。

ブラームス:チェロ・ソナタ第1番,第2番,ハンガリー舞曲集より5曲(ジャン=ギアン・ケラスVc/アレクサンドル・タローP)

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ブラームス:チェロ・ソナタ第1番,第2番,ハンガリー舞曲集より5曲
ジャン=ギアン・ケラス Jean-Guihen Queyras (Cello)
アレクサンドル・タロー Alexandre Tharaud (Piano)
14-18 IV 2017. ARSONIC / Mars - Mons arts de La scène, 138 rue de Nimy, 7000 Mons, Belgique.
ERATO 0190295723934 (P)(C)2017 Parlophone Recoreds Lts. (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

クールでサラッとした演奏を想像していたのですが,全く違いました。深々とした呼吸感の感じられる熱くダイナミックな演奏でした。フォルテでも決して荒れず,深い響きの低域äと中高域の同鳴りを伴う音色の美しさはさすがです。

しかし...なんか録音が変です。ピアノはまずまずクリアでキレがあってまあ良いのですが,どう形容したものかと悩みますが,チェロがものすごく窮屈に押し込められ,モゴッとしているのと,左右の位相がおかしいのか,音の芯が感じられず現実感,実在感の薄い音になってしまっています。そのためチェロとピアノのバランスがピアノ優位で崩れたように聴こえてしまいます。このような録音ではケラスの魅力の半分も伝わってきていないのではないでしょうか。これではせっかくの素晴らしい演奏を心から楽しめません。これは残念でなりません。

ワーグナー:管弦楽曲集(若杉弘指揮/シュターツカペレ・ドレスデン)

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ワーグナー:管弦楽曲集
若杉弘指揮/シュターツカペレ・ドレスデン
1984年12月 ドレスデン,ルカ教会
Berlin Classics 0300923BC (C)2017 EDEL GERMANY GMBH (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

これは上質というか品格のあるワーグナーですね。引き締まった造形で響きも美しく,誇張のない誠実な表現がとても良いと思います。

録音ですが,ルカ教会での録音としては残響がかなり控え目に抑えられ,直接音主体にシャープかつ透明感のある音で録られているのが好印象です。中低域は昨今のワイドレンジな録音と比較するとかなり薄く,下支えが少々足りない感じはありますが,帯域バランスを崩しているということはないので問題はありません。

[収録曲]
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
歌劇「タンホイザー」序曲
歌劇「リエンツィ」序曲
歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲
歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲

ブラームス:交響曲全集(ギュンター・ヘルビヒ指揮/ベルリン交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ギュンター・ヘルビヒ指揮/ベルリン交響楽団
1978-79年
Berlin Classics 0300911BC (C)2017 EDEL GERMANY GMBH (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

録音のせいもあるかもしれませんが,フォルテはとにかくハイテンションであり,旋律は朗々と歌い,聴くも相当の緊張を強いられる演奏で,聴き通すとかなり疲れます。油絵の具でダイナミックに描かれた絵画を鑑賞している気分です。もちろん悪くはないのですが私の好みからすると少し違うかなと思います。なお,第1番から第3番の第1楽章の提示部のリピートはすべて省略されています。

録音ですが,かなり濃厚な音作りとなっており,また中域から高域にかけて少し癖のある響きがあるために緊張感の高い演奏と相まってヒステリックに聴こえるときがあります。疲れるのはこの録音も影響してると思います。カップリングとして悲劇的序曲とハイドンの主題による変奏曲が収録されていますが,録音としてはこちらの方が若干落ち着いた音作りとなっていて聴きやすかったです。

タグ: [交響曲] 

バッハ:ゴルトベルク変奏曲(ヴァージニア・ルケ)(ギター編曲版)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(ギター編曲版)
ヴァージニア・ルケ Virginia Luque (Guitar)
Recorded at Kaleidoscope Sound
IPCD007 beria productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: CD Baby演奏者Webサイト

私はギターについて技術的限界がどのあたりにあるのかよくわかっていないのですが,多重録音することなくギター1本だけで演奏しているなら大健闘で,1本で弾いているとは信じがたいところがしばしば現れます。正直なところやはりギター1本ではかなり無理があり,技術的困難が発音やリズムの崩れを引き起こしスムーズな演奏とは言い難いのは確かなのですが,それでもここまでやれるというのが私には驚異的に思えます。なので,CD 2枚組で演奏時間約98分に及ぶ演奏であっても全く退屈しませんでした。この困難な挑戦に拍手! ギターに興味のない方には全くお勧めしませんが,好きな方はサンプルを聴いてみて欲しいと思いました。

ギターによるゴルトベルク変奏曲は,カート・ラダーマーの特別仕様ギター多重録音による演奏は別格として,マルコ・サルチートのギター1本による演奏がありました。サルチートの方が安定感があり崩れの少ない演奏でしたが,原曲に対する忠実度はこちらの方が上のような気がしました。(もちろんかなり変更されていますが,相対的な印象としてということです)

録音ですが,スタジオでギターの前にマイクを1本だけ立てて録音したような誇張・演出感のない生録的な自然さが良いです。クラシック・ギターの録音としてほぼ不満はありません。結局こういう何もしていない録音が一番音楽を素直に伝えてくれますし,楽しめます。

最後にリピート表です。すべてのリピートが実行されています。完璧です。

演奏時間 約98分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○
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