Jethro Tull - The String Quartets

jethro_tull_the_string_quartets.jpg
Jethro Tull - The String Quartets
ジェスロ・タル Jethro Tull
ADA 5053.825747 (P)(C)2017 BMG (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

ジェスロ・タルは1967年に結成され,2011年頃まで活動していたイギリスのロックバンド。その中心メンバーであったイアン・アンダーソン(Ian Anderson)と2007年から参加しているジョン・オハラ(John O'Hara)がバンドの楽曲を弦楽四重奏に編曲して制作されたアルバム。弦楽四重奏はアイルランドのカルドゥッチ四重奏団が担当,イアン・アンダーソンはヴォーカル,フルート,マンドリン,ジョン・オハラはピアノ,チェレスタで参加,編曲(オーケストレーションと記載されている)はジョン・オハラが担当したとのこと。

イアン・アンダーソンはバンドでもフルートを担当,ロックでフルートとは珍しいと思うのですが,イギリスのトラッドをルーツとしているのか,不思議と違和感がありません。プログレッシブ・ロックのジャンルに入るらしいのですが,私の印象はトラッドのロック版で,パトリック・ストリートを想起させるような楽曲もあり,親しみを持ちました。私は全くこのバンドの存在を知りませんでしたが,イギリスでは結構有名なバンドのようですね。

ロックの弦楽四重奏曲への編曲ですが,編曲はどちらかといえばクラシカルなのですが,素直でありトラッドに回帰していったというような趣もあり,また,ケイト・ブッシュ的な不思議な雰囲気もあって面白いと思いました。下手にロック・テイストを出そうとしていないところも良いですね。

録音は教会で行われたようですが,直接音が主体で響きは適度に抑えられており,明瞭で聴きやすく仕上がっています。ポピュラー音楽の録音のやり方が持ち込まれているのだと思います。でもこの音作りなら教会ではなくスタジオで録っても良いんじゃないかなとは思いますけどね。

ショパン:練習曲集作品10,25,他(ヴァレンティーナ・リシッツァ)

valentina_lisitsa_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25
シューマン:交響的練習曲作品13
ヴァレンティーナ・リシッツァ Valentina Lisitsa (Piano)
Reitstadel, Neumarkt, Germany, 18-21 June 2014
478 7697 (P)(C)2014 Decca Music Group (輸入盤)
好録音度:★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyoApple Music

ショパンの練習曲のみのコメントです。

このアグレッシブな演奏は圧巻。特に作品10。尋常ではないスピードで突っ走りながらも細かく表情を付ける余裕を見せているのは立派です。作品25はやや抑え気味でより豊かな表現に注力されていますが,作品10を聴いたあとだと少し拍子抜けします。ただはやり全体として攻めすぎている感じがあるので好き嫌いははっきり出そうです。曲間がやや短めで次々と次の曲に進みライヴを聴いているような感覚に陥るのも面白いと思いました。

録音ですが,少し残響が多めで音像も少し遠いため,明瞭感も良くありませんし,音色もかなり濁っています。細かい音がくっきりと聞こえてこないのでイライラします。こういう演奏は細部までキッチリ聞こえてこないと面白くありません。録音で相当損していると思います。残念です。

なおこのディスク,収録時間が約85分で,持っているディスクの中でおそらく最長です。最後まできちんと再生できるのか心配でしたが,大丈夫でした。

最後に,作品10-4の動画が公開されていましたので載せておきます。録音はこの動画の方がはるかに良く,この録音でディスクを作ってくれていたら良かったのに!と残念でなりませんね。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

ベートーヴェンの交響曲全集ピアノ編曲版を2セット聴いてみました

cyprien_katsaris_beethoven_liszt_symphonies_piano.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集(リスト編曲版をもとにしたカツァリス版)
シプリアン・カツァリス Cyprien Katsaris (Piano)
録音 1981-89年年
2564608652 (P)1982 Teldec Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆(第1番~第5番),★★★★(第6番~第9番)
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

konstantin_scherbakov_beethoven_liszt_symphonies_piano.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集(リスト編曲版)
コンスタンティン・シチェルバコフ Konstantin Scherbakov (Piano)
8505219 (P)2006 Naxos (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

リスト編曲のベートーヴェン交響曲ピアノ版といえばカツァリスの全集が有名でお聴きになった方も多いと思います。恥ずかしながら私は今まで全く聴いたことがなく,今回が初めてです。この編曲版の全集がもう一つあることもわかったので,この機会に一緒に聴いてみました。

カツァリスの全集は,リスト編曲からさらにその後のピアノ演奏技術の進歩で可能になったテクニックをつぎ込んだ独自の編曲を行っているということで,とにかく可能な限り音を詰め込んで派手に鳴らしまくり,絢爛なサウンドで躍動感のはじける音楽を作りあげています。彼は本当にエンターテナーですな。

一方シチェルバコフの方は,リスト編曲に忠実に従っているのか,カツァリスのあとに聴くと,ストイックで地味に聴こえてしまうのですが,技術の確かさもあってとてもくっきりと曲の構造が見通しよく浮かび上がってきますし,これはこれでベートーヴェンらしくて良いんじゃないかと思いました。

ピアノ編曲版といってもアプローチが正反対で,それぞれ楽しく聴かせていただきました。

さて録音ですが,カツァリスの方は第1番から第5番は残響が少なく,ピアノの音がダイレクトに届く感じがあって良好なのですが,第6番以降は残響が多く,音色が曇り,明瞭感が良くなく,音の抜けが悪くなってすっきりしません。せっかくのきらびやかな演奏なのにこの録音はそれを損なっていると思います。もったいないです。

シチェルバコフの方は,残響感はあまりないのですが,わずかに被る響きのせいでやはり音色がくぐもって硬くなり伸びを失いすっきりと音が抜けていきません。まあそんなに悪くはないのですが,ちょっと響きの扱いが半端で損をしていると思います。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品18よりNo.1-3(アイブラー四重奏団)

eybler_quartet_beethoven_string_quartet_op18_1-3.jpg
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集作品18よりNo.1-3
アイブラー四重奏団 Eybler Quartet
2015年6月29日-7月1日 グレン・グールド・スタジオ(トロント,カナダ)
COR16164 (P)(C)2018 The Sixteen Productions (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

軽やかで小気味よくスピーディーに曲が進行していく清々しい演奏。巧いですしアンサンブルも優秀です。現代的で洒落てます。初期の作品はこういう演奏が良いですね。

録音ですが,少々残響感はあるもののしつこくはなく,直接音もそれなりに感じられることから悪い印象はありません。せっかくのスタジオ録音なのでもっと残響を抑えてキリッと録って欲しいところですが,これならまあ許せます。

想定外に良かったので(失礼!),今後の録音にも期待したいと思います。

ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲(ボリス・ベレゾフスキー)

boris_berezovsky_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲
ボリス・ベレゾフスキー Boris Berezovsky (Piano)
1991年 ベルリン
WPCS-21077 (P)1991 Teldec Classics (C)2000 Warner Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

技術的には申し分ありませんね。巧いです。技巧の誇示を抑え気味にして表現の追求に傾いているように思います(そうでない曲もありますが)。しかしこれが好きかというとちょっと微妙です。私としては技巧の誇示に走った演奏の方が好きかもしれないと思いながらこれを複雑な思いで聴きました(^^;。

録音ですが,直接音と間接音のバランスはまずまずで,響きで甘くなりすぎることなく,ドライになりすぎることもありません。逆に言うとちょっと半端な感じもあります。もう少しすっきり録って欲しかったと思いますね。ピアノ録音としては普通に入ると思います。一般的には受け入れられる方ではないでしょうか。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(ジョニー・ガンデルスマン)

johnny_grandelsman_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ジョニー・ガンデルスマン Johnny Gandelsman (Violin)
MSR Studios, NYC (January 4th-6th, 2015), Oktaven Studio, Mount Vernon (September 15th, 2017)
ICR010 (C)2017 In A Circle Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Amazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

う~ん,技術的には結構巧いのですが,弾き方がぶっきらぼうというか愛想がないというか, 細かく表情付けしたりしようという気がないようです。 演奏者がどのような思いでこの曲を演奏しているのか,私には全く伝わってきませんでした。 これがこの演奏者のスタイルであり個性なのだとは思うのですが,ちょっと損していると思います。

録音ですが,スタジオでの録音のようなので残響はあまりありませんが, スタジオ内の反響の影響か,スタジオの響きの癖が音色に被っていて今ひとつ冴えない音になってしまっています。 基本的には好きな録音なのですが,このすっきりしない音色は惜しいところです。

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲(アナ・ゲッケル)

anna_gockel_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
アナ・ゲッケル Anna Göckel (Violin)
Église du Bon Secours, Paris, in May 2017
FF003 (P)(C)2018 NoMadMusic (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsHMV OnlineiconAmazon.frApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

端正で美しい好演奏。 音色も伸びやかで透明感があり,爽やかな響きをもたらしていて印象的です。 表現自体はオーソドックスで強く主張する演奏ではありませんが, 気持ちよく聴ける良い演奏でした。 技術的にも全く問題ありません。

録音ですが,少し残響を伴っていて音色に影響しているものの, 音の抜けや伸びは保たれていますし,楽器の質感やニュアンスも感じ取れるので, 十分良好と言える録音です。

アナ・ゲッケルは1992年生まれ,フランスのヴァイオリニスト。

ディスクはまだ日本では取り扱いがないようですが,Apple Music等のサービスで聴くことが出来ます。

(記2018/02/17)



Tower RecordsHMV Onlineiconでも取り扱いが始まりました(5月20日発売予定)。名前の日本語表記を当初「アンナ・ゴッケル」としていましたが,これらの表記に合わせ「アナ・ゲッケル」に変更しました。

(記2018/04/15)

ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲(若林顕)

akira_wakabayashi_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25,3つの新練習曲
若林顕 Akira Wakabayashi (Piano)
2017年5月22-24日,6月28日,8月28-29日,12月21-22日 埼玉・富士見市民文化会館(キラリふじみ)
TRITON OVCT-00144 (P)(C)2018 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

ピアニストには全く疎い私の中では若林氏は「デュオ職人」というイメージだったので(ごめんなさい),このショパンの練習曲集のリリースはとても意外に思えたのですが,実はソロ作品もたくさんリリースされていたのですね...失礼しました。ということもあって興味津々で聴かせていただきました。

それでこの演奏なのですが,とても丁寧でキッチリと正確に弾かれているように思ったのですが,何というか,とても説明的というか,「ここはじつはこうなっていてね,こう弾くんですよ」という言葉が聞こえてきそうな,曲の構造が見えてきそうな,ネタばらし的演奏のように思えて,そういう点で他の多くの演奏とは随分と違った印象を受けました。こういうのもとても良いと思いました。

それで録音なのですが,少し残響感があり響きのまとわりつきが気になるものの,音色自体は芯があって美しく伸びがあり,これはこれでまあアリかなと思いました。私としてはやはりちょっとウェットな感じがするので,もう少しドライに録ってくれた方が好きなんですけどね。ちょっとオマケですが四つ星半としました。多くの人に受け入れられやすい録音だと思います。

名盤ポリーニのショパン練習曲集のハイレゾ版を聴いてみました

pollini_chopin_etudes_flac.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25
マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini (Piano)
1972年1月,5月 ミュンヘン
ファイルフォーマット FLAC 96kHz/24bit
参考: e-onkyo

ポリーニのショパン練習曲集をこのブログで取り上げるのは3回目です(→1回目2回目)。私がクラシックに興味を持つきっかけになったディスクなので思い入れがあります。ハイレゾ版があることに気が付いたので,古い録音なので意味あるかなとは思いつつも買って聴いてみました。

結論から言いますと,微妙です。CDと交互に聴き比べてみて,う~ん,違う気もするなぁ,という程度であり,ブラインドテストしたらまずわからないと思いました。あくまでも私の耳と装置では,ということです。

だからといって買って損した!とは思っていないところが自分のバカなところだなと正直思います(^^;。

最後に...クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリンと同じようにCDと周波数成分を比較してみました。「微妙...」というのがこの図からもわかると思います(^^;。ビット数の差に関しても,差があったとしても元々微妙ですので...この図を出すこと自体ほとんど意味がないとは思いましたが,せっかく作ったので載せました(^^;。

pollini.png
図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
Chopin: Etude Op. 10 No. 1 in C major
■Hi-Res ■CD

この図の測定はWaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1曲分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは96kHzサンプリングであることを考慮して8192サンプルとしました。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

バッハ:ソナタとパルティータ(ディッタ・ローマン Vc/ファッサン・ラスロ Organ)

ditta_rohmann_bach_sonatas_and_partitas.jpg
バッハ:ソナタとパルティータ
ディッタ・ローマン Ditta Rohmann (Cello Piccolo)
ファッサン・ラスロ Laszlo Fassang (Organ)
23-26 August, 2016 Cegléd Lutheran Church
Hungaroton HCD 32796 (P)(C)2017 Fotexnet Kit (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ディッタ・ローマンはバッハの無伴奏チェロ組曲が大変良かったので注目しているチェリストの一人です。

ディスクのタイトルが"Johann Sebastian Bach Sonatas & Partitas"なのですが,収録曲は下記のようになっています。

ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調 BWV 1016
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番ホ長調 BWV 1006
無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV 1013
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 BWV 1015

これらの曲を5弦のチェロ・ピッコロで弾いています。演奏なのですが,これは録音のせいもあるとは思うのですが,全体に発音が柔らかいために音の立ち上がりが若干遅めなのと,頭拍に少し重めの溜めが置かれるため,リズム感が希薄になり,加えて,やはり音の立ち上がりが遅いオルガンの伴奏によって混沌とした感じになるところもあり,聴いていて少し息苦しく感じてしまうところがありました。この人のチェロの音色は滑らかで透明感のある美しい響きなのが好きなので,この演奏はとても惜しいと思いました。

録音ですが,伴奏に教会のオルガンが使用されているためか,チェロも含めて教会の響きを活かすような録り方となっているために,直接音がそこそこあるにも関わらず付帯音のために明瞭感が良くなく,音色もくすんでしまっていて,もどかしさが募ります。発音が不明瞭に聴こえてしまう一因になっていると思います。

フンガロトンの録音は比較的好きな方なのですが,これはらしくないと思いました。ホントに演奏も録音も惜しいと思います。

蛇足ですが...なして二人してローラースルーGOGOなん?

ショパン:練習曲集作品10,25(伊藤恵)

kei_itoh_chopin_etudes.jpg
ショパン:練習曲集作品10,25
伊藤恵 Kei Itoh (Piano)
14-16 Sep. 1990, YAMAHA Test Saal, Hamamatsu
FOCD3125 fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

この人のテクニックは本当に凄いですねぇ。積極果敢に攻める演奏でここまで淀みなく,一点の曇りもなく弾き切っているのは本当に立派です。表現はストレートで男性的であり,情緒的なところはあまりなく力で強引に突き進んでいく感はありますが,それがこの演奏の良いところでもあり,逆に物足りなく感じるところでもあるかもしれません。私はこういうのは大好きです。

さて録音ですが,残響は控え目で楽器自体の響きをダイレクトに捉えた好録音と言えると思います。少し高域の音色,響きに癖があり,きらびやかすぎるような気もしますが,まあ悪くはありません。不満はゼロではありませんが,フォンテックとしては良い方ではないでしょうか。

録音場所が「ヤマハ・テスト・ザール」とあり,楽器もヤマハ CF-IIIが使われていると書かれています。それにしてもテスト・ザールって...

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品64「第3トスト四重奏曲集」(ドーリック弦楽四重奏団)

doric_string_quartet_haydn_string_quartets_op64.jpg
ハイドン:弦楽四重奏曲集作品64「第3トスト四重奏曲集」
ドーリック弦楽四重奏団 Doric String Quartet
2017年5月5-7日,10月23-25日 ポットン・ホール(サフォーク)
CHAN 10971 (P)(C)2018 Chandos Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

エルデーディ四重奏曲が良かったドーリック弦楽四重奏団のハイドン・シリーズのVol.3。語り口の巧さはこの曲集でも最大限発揮されてます。技術的にも申し分なくモダン楽器の表現力を活かして自在に演奏していますね。リピートも行っているようでこの点でも○です。

一方録音なのですが,音質の傾向としてはエルデーディ四重奏曲に近いものの,若干遠めであり,音像に立体感がなく平板に聴こえるため,今ひとつ冴えません。前の録音が地味ながら良かっただけにこの録音は少々残念です。

演奏は良かったので今後の録音にも期待したいです。録音は改善して欲しいところです。

ベートーヴェン:交響曲全集(ペーター・シュタンゲル指揮/タッシェン・フィルハーモニー)

taschenphilharmonie_beethoven_revisited.jpg
ベートーヴェン:交響曲全集
ペーター・シュタンゲル指揮/タッシェン・フィルハーモニー
2012年~2017年 Munich/Pullach/Germany
ETP010 (P)(C)2017 Edition Taschenphilharmonie (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

タッシェン・フィルハーモニーは12名から20名で構成され「史上最少のオーケストラ」とも呼ばれているとのことです。今までにベートーヴェンの交響曲を含めすでに何枚かリリースされていて,その一部を以前取り上げていました(→こちら)。このときのコメントで「弦楽器の構成はヴァイオリン3名,ヴィオラ2名,チェロ2名,コントラバス2名」と書いていますが,下の写真を見るともう少し少ないのかもしれません。

それで演奏なのですが,やはり基本的には前のレビューの感想と変わりません。室内楽の弦楽器にオーケストラの管楽器が組み合わさるわけですから,このバランスの悪さどうにもなりません。管楽器が鳴り出した途端に弦楽器は辛うじてエッジが聴こえるだけでボディの鳴りは全く聴こえず,もどかしさしか感じられませんでした。この中では管楽器の編成が比較的薄い第6番「田園」,次いで第1番が何とかギリギリ聴けるかなとは思いましたが,それとて不満がなくなるわけではありません。小気味よいキレのある演奏は大変魅力的だと思うんですけどね...

録音ですが,残響は少なめで締まりがあり,音色への影響も少なく,演出感のない自然な音響で捉えられているのは好感が持てます。弦楽器と管楽器のバランスの悪さは,実際に聴いてもそういうバランスなのだろうなと思うので,それ自体は悪くはないと思います。しかし,音楽として楽しむためには多少のデフォルメを許し,もう少し弦楽器の比率を上げるべきです。意図的にそうしていないのかなとは思いますが。なお,録音自体は悪くはないと思いますので四つ少しオマケですが星半です。

ということで,これはこれで面白く価値ある試みだと思いますし,何かしらの意図は達成されているのだと思います。しかし,純粋に音楽を楽しめるかというと,やっぱり微妙だと言わざるを得ません。

taschenphilharmonie.jpg
タッシェン・フィルハーモニー

クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年)のハイレゾを聴いてみたら...

kremer_bach_decca_cover.jpg
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ギドン・クレーメル Gidon Kremer (Violin)
1980年2月,3月6月 オランダ,ハーレム,ルター教会
ファイルフォーマット FLAC 192kHz/24bit
参考: e-onkyo

e-onkyoの「バッハ生誕333年記念 プライスオフキャンペーン」でクレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年録音)が通常3,680円のところ2,070円になっていたので,愛聴盤ということもあり,購入してみました。それで早速聴いてみると,持っているCD(→こちら)とだいぶ印象が違ったため,少し調べてみました。

図1は,WaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1楽章分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは192kHzサンプリングであることを考慮して16384サンプルとしました。

kremer.png
図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
パルティータ第2番 Gigue
■Hi-Res ■CD

音が違うはずです。可聴帯域の高域で結構なレベル差があります。この音の差は,ハイレゾというよりはマスタリング時のイコライジングの違いによる可聴帯域内の高域のレベル差が支配的でしょうね。まあCDの方はかなりマスタリングが古そうなので,これくらいの差は別におかしくないかとは思いますが。私としては,高域のヌケが良くなり,よりクリアに聴こえるようになったので,このハイレゾのマスタリングは悪くないと思いました。

なお,ハイレゾの方は約35kHzまで音声の成分が伸びていますが,それ以上はノイズシェーピングによるノイズが顕著になっていますね。時間波形でみると図2のようになっています。

wave_620.png
図2 CD vs Hi-Res 時間波形(上:Hi-Res,下:CD)
パルティータ第2番 Ciaccona冒頭

最初は無音なのですが,上段のハイレゾの方はかなりノイズレベルが高く見えます。44.1kHzにダウンサンプリングするとこのノイズがかなり減るため,これはノイズシェーピングによる超高域ノイズの波形ではないかと思います。この帯域は聴こえないのですが,波形でみるとちょっと気持ち悪いくらい入っているなと思いますね...

バッハ:無伴奏チェロ組曲全š曲(クセニア・ヤンコヴィッチ)

xenia_jankovic_bach_cello_suites.jpg
バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
クセニア・ヤンコヴィッチ Xenia Janković (Cello)
March 2006 at the Église Évangélique Saint-Marcel, Paris, France
MLS-CD-006/007 (P)(C)2015 Melism (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon MusicApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

少し速めのテンポで淀みなく小気味よく,そして躍動的に弾むリズムが気持ちのよい好演奏。 深い響きの低音から艶やかな高音まで音色も美しいです。 技術も確かで安心して音楽に浸ることが出来ます。 これはちょっとした掘り出し物でした。

録音ですが,少し残響が多めで楽器音へのまとわりつきが気になりますが, ボディ感たっぷりにしっかりと質感をもって捉えているのは良いと思います。 不満はあるものの,チェロの録音としてはまだ良い方ではないかと思います。

ヤンコヴィッチはセルビア出身のチェリストとのことで, 1981年にはガスパル・カ サド国際コンクールに優勝したとのことです。 現在はデトモルト音楽大学の教授とのことです。他にはハイドンのチェロ協奏曲の録音などがあり,以前取り上げていました。

モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」(アウリン四重奏団)

auryn_quartet_mozart_haydn_quartets.jpg
モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
アウリン四重奏団 Auryn Quartet
2017年2月-4月 ドイツ,ヴッパタール,インマヌエル教会
TACET 972 (P)(C)2018 TACET (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アウリン四重奏団のモーツァルトといえば今井信子さんが加わって録音された弦楽五重奏曲全集がありました。彼らの音楽はたいへん気品があり,格調高くそして情緒豊かなのが特長だと思っていますが,このモーツァルトでは心地よい「緩さ」があるのが良いと思いました。

そしてこの演奏,楽譜で逐一確認したわけではありませんが,おそらくすべてのリピートを実行されているのではないかと思います。終わりかと思ったらリピートされておぉ!とちょっとうれしい瞬間が時々やってきます。リピート省略が一般的になっていて省略していないディスクの方が少数なんだろうなということを改めて認識しました。なので,演奏時間はかなり長く1曲あたり32分~40分弱あります。これを冗長と思われる方もいると思います。そのような方にはこのディスクはあまりお勧めしません。

さて録音なのですが,少し残響が多めであり,音色がくすみ,明瞭感がやや落ちています。このあたりやっぱりTACETだなと思います。あまり私の好みの録音ではありません。ちょっと残念です。

ヘッドホン Sony MDR-1AM2 周波数特性

pic_sony_mdr-1am2.jpg
ヘッドホン ソニー Sony MDR-1AM2

密閉・ダイナミック型,インピーダンス26Ω,ケーブル片だし(着脱可),1.2m 3.5mm マイク付き4極L字プラグ,1.2m 4.4mm 5極L字バランス対応プラグ付属 2018年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

ソニーの密閉型オーバーヘッドヘッドホンの代表機種のリニューアルモデルです。 品番からするとMDR-1Aの後継の位置づけだと思いますが, 相当変わった印象を受けます。

まず重量も装着感も相当軽くなって数段良くなった印象です。 ただしその代償としてモノとして値段なりの質感という意味で少し微妙な感じです。

そして音質ですが,MDR-1Aは正直ちょっと低音が重い印象があったのが, このモデルでは低音はもちろん出ているのですが,引き締められ,欠点であった重さがなくなりました。 さらに特徴的なのは高域で,かなり出ているのですが,シャリーンというような軽い振動板の独特の響きがあるように思いました。 振動板の存在を意識してしまうような鳴り方なので,ちょっとこれはやり過ぎじゃないの?と思うくらいです。

高域の出方に特徴があるため,やかましい曲では刺激的すぎて耳が痛くなりがちです。 一方,少し曇りがちの録音が多いクラシックでは,そういった音源でも比較的綺麗に気持ちよく聴かせてくれるので, 私としてはこれはクラシック向きだなと思っています。

MDR-1Aの後継機種とは思えない軽量級チューニングで一般ウケするのかなとは思いますが, 迫力を求めず小さめの音量で楽しむならば結構良いのではないかと思いました。


sony_mdr-1am2_frequency_response_lch_20180325.png
図1 Sony MDR-1AM2 周波数特性 (Left Channel)
■SPL ■2nd D ■3rd D ■Impedance
測定環境 / Input 0.127Vrms(1mW)


sony_mdr-1am2_frequency_response_rch_20180325.png
図2 Sony MDR-1AM2 周波数特性 (Right Channel)
■SPL ■2nd D ■3rd D ■Impedance
測定環境 / Input 0.127Vrms(1mW)

タグ: [ヘッドホン] 

ブラームス:交響曲全集(ロビン・ティチアーティ指揮/スコットランド室内管弦楽団)

Brahms The Symphonies - sleeve
ブラームス:交響曲全集
ロビン・ティチアーティ指揮/スコットランド室内管弦楽団
Usher Hall, Edinburgh, on 15–29 May 2017
CKD 601 (P)(C)2017 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconLinn Records

ディスクの発売が少しずつ遅れているようで,当初3月の予定が2018年4月1日時点で4月10日の発売に延びています。e-onkyoにもまだ出ていません。私は待ちきれずにLinn Recordsから直接ダウンロード購入しました。こちらから購入するとちゃんとPDFのブックレットも付属しています。供給元からPDFが出ているのですから,e-onkyoもブックレットのダウンロードが出来るように対応してほしいものです。

ティチアーティ/スコットランド室内管弦楽団の演奏はシューマンの交響曲全集を取り上げていましたが,これも同様にいわゆる「キレッキレ」の演奏で,ちょっと極端すぎるきらいはあるものの,このような小編成で小気味の良い,見通しの良い演奏は基本的に好きなので,ワクワクしながら聴きました。ただしこれは嫌いな人も多いだろうなと思います。しかし,あろうことか,第1番,第2番の第1楽章の提示部のリピートがどちらも省略されているのです(第3番はリピートあり)。好きな演奏なのにこれだけでとても残念な気持ちになります。

録音ですが,残響はほどほどであり,低域の締まり,高域の伸びもそこそこあって,見通しも良く,良好な録音です。オーディオ品質も高い点はさすがLinn Recordsです。しかしあえて不満を言うと,これはLinn Recordsに共通の特徴だと思うのですが,音は綺麗なのですが,現実感に乏しく過度に加工された作り物のような感じがします。演奏者の存在が希薄で楽器の質感もあまり感じられないのです。これも惜しい点ですね。