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全てひとりで~無伴奏ヴァイオリンのためのバロック作品集(レイチェル・ポッジャー)

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Tutta Sola
全てひとりで~無伴奏ヴァイオリンのためのバロック作品集
レイチェル・ポッジャー Rachel Podger (Violin)
2022年3月 英国南東部ケント州フォークストーン,セント・メアリー&セント・アーンスワイト教区教会
CCSSA44422 (P)(C)2022 Channel Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ポッジャーは様々な無伴奏ヴァイオリンの作品の録音があり,2013年にも「守護天使」と題された無伴奏ヴァイオリン作品集をリリースしています。今回のディスクの収録曲は次の通りです。

バッハ(チャド・ケリー編):トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565(イ短調に移調)
フィルスマイア:パルティータ第6番~無伴奏ヴァイオリンのための「室内向けの技巧豊かなる協和」より
マッテイス2世:ファンタジア ハ短調 控えめに
ノゲイラ:「ノゲイラ写本」より
作曲者不詳:「クラーゲンフルト写本」より
ヴェストホフ:伴奏のないヴァイオリン独奏のための組曲イ長調
ウォルシュ編:無伴奏ヴァイオリンのためのプレリュードとヴォランタリー選集より
タルティーニ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第17番ニ長調 B.D2~30のソナタより

それにしてもこの天上的なヴァイオリンの響きの美しさは格別です。無限に広がる宇宙のような音の空間,素晴らしいです。バッハを除いてほぼ知らない作品ばかりですが,もうずっと聴いていたいと思ってしまいます。

録音は,残響が少し多めですが,楽器音へのかぶりが少なく,空間の広がりを演出するのに一役買っています。とはいえ音色への影響は少しあるので,もう少しかぶりを減らし透明感をもって録ってくれていたらと思いました。残響が気にならない方には優秀録音と言えるかもしれません。

ということで演奏も録音も良かったです。2013年の録音は未聴なのでまたちょっと聴いてみようかなと思います。

ブラームス:弦楽四重奏曲全集,弦楽五重奏曲第2番(アムステルダム・デュドック四重奏団)

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ブラームス:弦楽四重奏曲全集,弦楽五重奏曲第2番
アムステルダム・デュドック四重奏団 Dudok Quartet Amsterdam
リリ・マイヤラ Lilli Maijala (Viola)
2–4 November 2020, 19–21 April 2021 Muziekcentrum van de Omroep, Hilversum
RCD1077 (P)(C)2021 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

精緻なアンサンブル,パート間の絶妙な絡み,美しいハーモニー,個々の奏者の奏でる音もニュアンス豊かで魅力的です。オーソドックスな演奏だと思いますが,完成度が高い素晴らしい演奏だと思いました。

そして録音ですが,残響は少しあってわずかに音色に影響していますが,直接音が主体で楽器の質感もそこそこ感じられ,高域のヌケ,音色の自然さもまずまずです。少し低域がリッチなので低域の量感が出る再生装置では少し低域のかぶりが気になるかもしれません。この点を除けばほぼ問題なく音楽を楽しめると思います。

ブラームスの弦楽四重奏曲ではベルチャ四重奏団の素晴らしい全集がありました。それとは少し方向性が異なるように思いますが,これも出来の良い全集だと思います。

[Note]
Producer and Engineer: Jared Sacks

ベートーヴェン:チェロとピアノのための作品全集(ジェニファー・クレッツェル/ロバート・ケーニッヒ)

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ベートーヴェン:チェロとピアノのための作品全集
ジェニファー・クレッツェル Jennifer Kloetzel (Cello)
ロバート・ケーニッヒ Robert Koenig(Piano)
26–28 August 2019, 16–18 December 2019, 8, 9, 11 September 2020
Skywalker Sound, a Lucasfilm Ltd company, Marin County, California
AV2450 (P)(C)2022 Avie (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music,AVIE

ジェニファー・クレッツェルは米国のチェリストで,ジュリアード音楽院出身,現在はカリフォルニア大学サンタバーバラ校でチェロの教授,また弦楽部門・演奏部門の責任者を務めておられるようです。

ベートーヴェンのチェロとピアノのための作品全集で,収録曲は下記の通りです。

チェロ・ソナタ第1番へ長調作品5-1
チェロ・ソナタ第2番ト短調作品5-2
チェロ・ソナタ第3番イ長調作品69
チェロ・ソナタ第4番ハ長調作品102-1
チェロ・ソナタ第5番ニ長調作品102-2
ホルン・ソナタ ヘ長調作品17(チェロとピアノ版)
ヘンデルの「ユダス・マカベウス」の「見よ,勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 WoO45
モーツァルトの「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲変ホ長調 WoO46
モーツァルトの「魔笛」の「恋人か女房か」の主題による12の変奏曲作品66

演奏は堅実ですがツボをきちんと押さえていて実に上手く聴かせるなぁと思いました。そして何より音色に雑味がなく倍音が綺麗にそろっていて美しいですし,低域の深々とした響きも素晴らしいですね。上質で品格のあるとても良い演奏だと思いました。

そして録音なのですが,残響を抑えて直接音を適度な距離感で捉えていて,明瞭感も良好,音色も自然で癖がありません。ルーカスフィルムのスカイウォーカーサウンドというスタジオ?で録音されているようで,それが功を奏しているのではないでしょうか。チェロの録音はなかなか良いなぁと思うものに巡り逢わないのですが,これはかなり良いと思いました。

演奏も録音も良かったです。

[Note]
Produced, Recorded and Mixed by Leslie Ann Jones
Assistant Engineer: Dann Thompson
Associate Session Producer: Justin Ouellet
Mastering: Mark S. Willsher
Music Editing: Robert Gatley
Additional editing: Heidi Trefethen

シューベルト:交響曲第8番「未完成」,第9番「グレート」(トーマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団)

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シューベルト:交響曲第8番「未完成」,第9番「グレート」
トーマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
Oct. 2006, Dec. 2007 the Örebro Concert Hall, Sweden
BIS-SACD-1656 (P)2009 (C)2010 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

快速の演奏です。未完成で快速というのはあまりないと思いますがとにかく快速です。特に未完成の第一楽章は違う曲かと思ってしまいます。アクセントの効いた躍動する演奏なのにサラサラっと駆け抜けていく感じがします。この曲の持つ深みが感じられる演奏ではありませんが,これはこれで面白いと思いました。グレートの方がこの演奏との親和性はありますね。こちらは素直に楽しめました。特徴のはっきりした面白い演奏です。

録音ですが,残響は少なめで楽器の響きも美しくシャリーンというような軽快なサウンドが特徴です。ですが,中低域は薄く下支えが弱いのと,楽器の質感が弱めなので手が届きそうで届かないもどかしさもあります。悪くはなくけっこう好きな感じの録音ではあるものの,好録音というには少し物足りないと思いましたので四つ星としました。もう少し楽器に寄って録ってくれたらと思いました。

ダウスゴーのシューベルトは全集が完成していて,今年全集のセットが発売になっていました。他の曲も聴いてみたいと思います。

[Note]
Producer: Marion Schwebel
Sound engineers: Martin Nagorni (Unfinished), Andreas Ruge (Great C major)

全集は下記を参照いただければと思います。

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シューベルト:交響曲全集
トーマス・ダウスゴー指揮/スウェーデン室内管弦楽団
2006-2013 the Örebro Concert Hall, Sweden
BIS-2514 (P)2009—2014 (C)2022 BIS Records (輸入盤)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

タグ: [交響曲] 

シベリウス:交響曲第3番,第5番,他(サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮/エーテボリ交響楽団)

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シベリウス:交響曲第3番,第5番,交響詩「ポヒョラの娘」
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮/エーテボリ交響楽団
2018年5月,2019年6月,2022年6月 スウェーデン,エーテボリ,コンサート・ホール
ALPHA 645 (P)(C)2022 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ロウヴァリ指揮エーテボリ交響楽団のシベリウスは第1番,第2番に続く第三弾。交響曲の録音は第1番,第2番と同時期です。シベリウスらしさが顔を出すこれらの作品ですが,ダイナミックで濃厚な演奏が展開され,特に第3番はオーケストラを存分に鳴らし大きなスケールで仕上げているのが面白いと思いました。

録音ですが,第1番,第2番と同傾向で,密度の高い濃い録音です。少し暑苦しい感じはしますが音色の癖は少なく,またダイナミックレンジが少し圧縮されているのか平均音圧が高めで全体に聴き取りやすいのも良い点だと思いました。もちろん個人的にはもっとスッキリと見通し良く録ってほしいので不満はありますが,大きな欠点はなくまずまずの出来ではないかと思います。

全集に向けてはあと第4番,第6番,第7番が残っています。これらも楽しみに待ちたいと思います。

チャイコフスキー:交響曲第5番,リムスキー・コルサコフ:「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲(ジャナンドレア・ノセダ指揮/ロンドン交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64
リムスキー=コルサコフ:「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲
ジャナンドレア・ノセダ指揮/ロンドン交響楽団
2019年11月3, 28日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO Live LSO0858 (P)(C)2022 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

チャイコフスキーの交響曲第4番の録音が良かったのでこの第5番の録音にも期待していました。結論から申し上げると,残念ながら第4番ほど良くはなかったです。残響が控えめでタイトに締まっているところや,生録的な質感があるのは良かったのですが,音色に精彩がなく曇っています。またサウンドにメリハリがなく平板な感じがします。楽器の分離感もあまりなく見通しも良くありません。

とまあ不満をいろいろと述べさせていただきました。そんなに悪くはないかもしれませんが,録音としては第4番のような魅力が感じられませんでした。第6番の収録ももう終わっているかもしれませんが,第4番のような録音であることを期待します。

[Note]
Nicholas Parker producer & editor * Classic Sound Ltd recording, editing and mastering facilities
Neil Hutchinson for Classic Sound Ltd balance engineer, editing & mixing
Jonathan Stokes for Classic Sound Ltd recording engineer, editing, mixing & mastering

タグ: [交響曲] 

シューベルト:交響曲第8番「未完成」,第9番「グレート」(ジョルディ・サヴァール指揮/ル・コンセール・デ・ナシオン)

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シューベルト:交響曲第8番「未完成」,第9番「グレート」
ジョルディ・サヴァール指揮/ル・コンセール・デ・ナシオン
2021年9月26-29日 カタルーニャ
AVSA9950 (P)(C)2022 Alia Vox (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

サヴァールの最近の録音ではモーツァルトの後期交響曲集やベートーヴェンの交響曲全集を取り上げていました。モーツァルトのあまりにもアバウトなティンパニーはベートーヴェンではやや陰を潜めましたがそれでも演奏を特徴付ける重要な役割を果たしていました。このシューベルトでもティンパニーの活躍は変わりませんが,きちんと節度をわきまえていてホッとすると同時にちょっと残念だったりもします。キレのいいダイナミックな演奏は本当に聴き応えがあります。これは良かったです。

そして録音なのですが,残響はそれなりにあるのですが,直接音主体でシャキッとしています。フォルテでも弦楽器がかき消されることもなくしっかり聴こえます。分離感も良好です。また,中低域の締まったサウンドもスケール感を演出しています。左右の広がり,音場感,ステージ感もしっかり出ています。高域の伸び感も申し分ありません。これは私にとってほぼ欠点がない好録音です。

キレの良い演奏にキレのある録音,胸のすく素晴らしい演奏・録音でした。

ベートーヴェン:交響曲第1番,第2番,第7番(アントネッロ・マナコルダ指揮/カンマーアカデミー・ポツダム)

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ベートーヴェン:交響曲第1番,第2番,第7番
アントネッロ・マナコルダ指揮/カンマーアカデミー・ポツダム
2021年12月2,3日 ベルリン、ピエール・ブーレーズ・ザール
2020年12月6,7日 2020年10月31日~11月2日 テルデックス・スタジオ
19658740072 (P)(C)2022 Sony Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

指揮者のアントネッロ・マナコルダはイタリア出身,ヴァイオリニストとしてマーラー室内管やルツェルン祝祭管のコンサートマスターとして活躍したあと指揮者に転向し,2011年からカンマーアカデミー・ポツダムの首席指揮者としてこの室内管弦楽団を育ててきたということです。このベートーヴェンは全集の第一弾です。

弦楽器はピリオド奏法,管楽器はピリオド楽器を使用しているとのことで,スピード感とキレのある躍動的な演奏が特徴です。最近耳が慣れてきているせいかもしれませんがピリオド奏法の独特の感じはあまりなく,このスタイルとしては奇をてらわない直球の演奏と思いました。

録音ですが,残響が少し多めですが響きが締まっていてこの点は良いと思います。ただ弦楽器の捉え方が今ひとつ弱く,フォルテでは少しやかましくなるため細部やニュアンスが聴き取りづらく見通しも今ひとつです。悪くはないと思いますが,室内管弦楽団の良さを活かす録音になっていないと思いました。惜しいと思います。

[Note]
レコーディング・プロデューサー:クリストフ・フランケ
レコーディング・エンジニア:ユリアン・シュヴェンクナー,ルネ・メラー

タグ: [交響曲] 

ベートーヴェン,ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲(ヴィルデ・フラング/ペッカ・クーシスト指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品8
ヴィルデ・フラング Vilde Frang (Violin)
ペッカ・クーシスト指揮/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
2022年1月26,27日, 7月9-11日 ブレーメン,カンマーフィルハーモニー
Warner Classics 9029667740 (P)(C)2022 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

ヴァイオリンの音色が伸びやかで,透明感のある澄んだ高域がとても美しいです。繊細でコントロールが行き届いたニュアンス豊かなフレージングも薫り高く爽やかです。

そしてこの録音がまた良いですね。ソロはわずかに残響が被って音色に影響はあるものの,気になるほどではなく,透明感のある美しい音色を質感良く聴かせてくれます。また,オーケストラより少し前に張り出すようにフォーカスされており,そのバランスも絶妙です。これ以上フォーカスするとあざとくなるギリギリのところでしょうか。実際のバランスからすると多少不自然さはあるかもしれませんが,録音としてはこれくらいが聴きやすいと思います。オーケストラはわずかにモゴモゴしていますが気になるほどではありません。

素晴らしい演奏が良い録音で届けられたことに感謝します。

エクリプス(ヒラリー・ハーン)

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ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲イ短調作品53
ヒナステラ:ヴァイオリン協奏曲作品30(*)
サラサーテ:カルメン幻想曲作品25(*)
ヒラリー・ハーン Hilary Hahn (Violin)
アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮/フランクフルト放送交響楽団
2021年4月22-27日 フランクフルト,ヘッセン放送ゼンデザール, 6月17,18日 アルテオーパー(*)
4862383 (P)(C)2022 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

これは凄い!凄すぎる!アニメやドラマで良く登場する,圧倒的な能力でライバル達に絶望感を与えてしまうヒロイン,なんかそんなことを思い浮かべてしまいました。寸分の狂いもない左手の技術,鋭く切り込む右手の技術,正確な音程・澄んだ和音,もう次元が違うとしか言いようがありません。なんの迷いもなく全力でビシビシと決めてくる痛快さ,圧巻の演奏,本当に素晴らしいです。

録音ですが,この鋭敏な演奏をキレのある音で捉えていると思います。オーケストラのダイナミックレンジ感も十分にあります。特にセッション録音のドヴォルザークが良いですね。個人的な好みでいうとヴァイオリンが少し遠めで細く質感が弱めなので,もう一歩寄って生々しさを出してくれていたら申し分なかったと思います。ライヴ録音のヒナステラとサラサーテは少しソロの音色に癖があり,ドヴォルザークに比べると少し落ちる気がしました。

ブルックナー:交響曲第0番,第3番,第4番,第6番,第8番(マルクス・ポシュナー指揮/リンツ・ブルックナー管弦楽団/ウィーン放送交響楽団)

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ブルックナー:交響曲第0番(ノヴァーク版)
マルクス・ポシュナー指揮/リンツ・ブルックナー管弦楽団
2021年2月22-24日 オーストリア,リンツ・ミュージックシアター,リハーサル・ホール
C8082 (P)(C)2022 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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ブルックナー:交響曲第3番(初稿)
マルクス・ポシュナー指揮/ウィーン放送交響楽団
2022年1月23-25日 ウィーン,放送文化会館,コンツェルトハウス
C8086 (P)(C)2022 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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ブルックナー:交響曲第4番(第2稿 コーストヴェット版),1878年稿フィナーレ「民衆の祭り」(*)
マルクス・ポシュナー指揮
リンツ・ブルックナー管弦楽団/ウィーン放送交響楽団(*)

2021年2月16-19日 リンツ,ムジークテアター・リハーサルホール
2021年11月29日 ウィーン,放送文化会館(*)
C8083 (P)(C)2022 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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ブルックナー:交響曲第6番
マルクス・ポシュナー指揮/リンツ・ブルックナー管弦楽団
2021年1月19-22日 オーストリア,リンツ・ミュージックシアター,リハーサル・ホール
C8080 (P)(C)2021 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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ブルックナー:交響曲第8番(1890年 ノーヴァク版)
マルクス・ポシュナー指揮/リンツ・ブルックナー管弦楽団
2018年2月5,7-9日 オーストリア,リンツ・ミュージックシアター,リハーサル・ホール
C8081 (P)(C)2021 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

輸入元情報によると,一連の録音について,2024年のブルックナーの生誕200年にあたり,これを記念してブルックナーのすべての交響曲のすべての稿(バージョン)を録音する企画「#bruckner2024」と記載されていました。現在この5枚がリリースされています。指揮者はマルクス・ポシュナーで,オーケストラはここまでリンツ・ブルックナー管弦楽団とウィーン放送交響楽団が起用されています。

版と演奏についてはここでは触れませんが,録音が良かったので取り上げました。ブルックナーの録音としては残響を控えめに抑え,楽器そのものの響き,音色を活かした録音となっていて,混濁の少ないクリアーで見通しの良い明瞭な音響が良いと思いました。録音毎に多少のばらつきはあるものの統一感はあります。

この11月には第六弾として第4番「ロマンティック」(第1稿/コーストヴェット版)の発売が予定されています。今後の録音も楽しませてもらおうと思います。

マエストロ・コレッリのヴァイオリン ~ コレッリの弟子達のヴァイオリン協奏曲集(サイモン・スタンデイジ/コレギウム・ムジクム90)

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マエストロ・コレッリのヴァイオリン Maestro Corelli's Violin
コレッリの弟子達のヴァイオリン協奏曲集
サイモン・スタンデイジ Simon Standage (Violin, Director)
コレギウム・ムジクム90 Collegium Musicum 90
2016年8月19-22日 ロンドン,イースト・フィンチリー,オール・セインツ教会
CHAN 0818 (P)(C)2017 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

サイモン・スタンデイジはイングリッシュ・コンサートの創設メンバーとして有名ですね。コレギウム・ムジクム90はスタンデイジがリチャード・ヒコックスと創設したピリオド・アンサンブルとのことです。

本盤はコレッリの3人の弟子が残したヴァイオリン協奏曲を集めたものです。収録曲は以下の通りです。

ヴァレンティーニ:協奏曲イ短調作品7-11
モンタナーリ:協奏曲ホ長調作品1-7
モッシ:協奏曲ホ短調作品4-11
モンタナーリ:協奏曲変ホ長調作品1-6
モンタナーリ:協奏曲ニ短調作品1-2
モッシ:協奏曲ト短調作品4-12

いずれもバロック期のコンチェルト・グロッソという感じで親しみやすくまた内容的にも充実していると思いました。これらの作曲家の音楽をもっと聴いてみたいという気持ちにさせてくれました。

それで実は本盤で特筆したいのは録音です。残響はわずかにあるのですが適度な距離感の直接音が主体で極めて明瞭であり音色も自然で伸びがあります。また特にソロ楽器の質感がしっかりと感じられ実在感があることと,楽器間の分離も良く各楽器の音像もシャープで,左右の広がり,空間の広がり,ステージ感も良好です。何より弦楽器の魅力がダイレクトに伝わってくるところが素晴らしいです。

ちょっと聴いた感じでは何気ない素直な普通の録音なので録音としてのインパクトはありませんが,実はこれが大変良い文句なしの好録音でした。こんなので良いんです。こんなのが良いんです。こんな録音がもっと増えてくれたら良いのに!と思いました。

録音に関してChandos Recordsは昔からあまり良い印象はなかったのですが,最近ではフランチェスカ・デゴのモーツアルト:ヴァイオリン協奏曲集など素晴らしい録音のものもあり,本盤も大変良かったので(プロデューサは同じ人のようでした),私の中でChandos Recordsは赤丸急上昇中です。もっといろいろ聴いてみようと思います。

[Note]
Recording producer Rachel Smith
Sound engineer Jonathan Cooper
Assistant engineer Rosanna Fish
Editor Rachel Smith

シークレット・ラヴ・レターズ(リサ・ヴァティアシュヴィリ)

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シークレット・ラヴ・レターズ Secret Love Letters
リサ・バティアシュヴィリ Lisa Batiashvili (Violin)
ギオルギ・ギガシヴィリ Giorgi Gigashvili (Piano)
ヤニク・ネゼ=セガン指揮/フィラデルフィア管弦楽団
2022年4月 Teldex Studio, Berlin,2022年1月 The Academy Of Music, Philadelphia
4860462 (P)(C)2022 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

このディスクは週刊アスキー 麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第77回 で「録音は極上。ヴァイオリンもピアノもこれほど美しい音では録れないだろう」と麻倉氏が録音を絶賛されていました。

収録曲は下記の通りです。

フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番作品35
ショーソン:詩曲作品25
ドビュッシー:美しき夕暮れ(ハイフェッツ編)

確かにドイツグラモフォンらしい,そつのないクオリティの高い録音だと思いました。ただ,ホールトーンの取り込みがやや多くヴァイオリンの音に被っていて音色がくすみがちなのが気になりました。いかにも商品としての録音という感じで演出感が強めです。協奏曲の方はこのホールトーンのため少し癖が強めです。もう少し生の質感を強めに持たせて欲しかったというのが正直なところです。ヴァイオリニストの発する音をもっとダイレクトに届けて欲しい,というのが私の希望です。

ホールトーンの影響が気にならない方には優秀録音かもしれません。オーディオ的なクオリティも高いと思いますし麻倉氏が絶賛されるのもわかる気はします。ドイツグラモフォンの録音としても良い部類だろうと思います。ただ私としてはやや不満が残り好録音というには引っかかるところが多かったので四つ星評価としました。

バティアシュヴィリは好きなヴァイオリニストの一人です。個性が前面に出てくることなく卓越した技術力で楽曲そのものを最高に美しく情熱を持って最良の形で聴かせてくれるヴァイオリニスト,と認識しています。この演奏でもその実力・良さがいかんなく発揮されていると思いました。

リコーダー・ソナタ集(ミカラ・ペトリ/ジョージ・マルコム)

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リコーダー・ソナタ集
ミカラ・ペトリ Michala Petri (Recorder)
ジョージ・マルコム George malcolm (Chembalo)
1985年8月16-18日 ロンドン
35CD-514 (416 369-2) (P)1986 Phonogram International (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Amazon.co.jp,Apple Music

ミカラ・ペトリは好きなリコーダー奏者ですが,中でも1980年代のフィリップス録音は録音も良いものが多いので今でもよく聴いています。この頃の録音は集めたつもりだったのですが,まだ未知のものがあり慌てて入手しました。

収録曲は下記の通りです。

バッハ:リコーダー・ソナタ ト短調 BWV 1034
シックハルト:リコーダー・ソナタ ホ長調 作品30-9
テレマン:リコーダーのためのパルティータ 変ホ長調
ヘンデル:リコーダー・ソナタ ト短調 作品1-1
フリードリヒ大王:リコーダー・ソナタ 第111番 ニ長調

特にソプラノ・リコーダーで演奏されていると思われるシックハルトとフリードリヒ大王の曲がたいへんチャーミングで最高ですね。ストリーミングではアップされていますがメディアでは再発売されていないのではないでしょうか。そろそろフィリップス録音全集のボックスセットが発売されても良い時期ではないかと思ってちょっと期待しています(まだですよね... RCAのボックスセットは以前発売されていました)。

以下,過去取り上げたミカラ・ペトリのフィリップス録音の記事です。

ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲集作品10(ミカラ・ペトリ/アイオナ・ブラウン指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)
ミカラ・ペトリのヴィヴァルディ:ソプラニーノ・リコーダー協奏曲ハ長調RV443 4種を聴き比べる
ミカラ・ペトリ:リコーダー協奏曲集

シベリウス:交響曲全集(オーウェイン・アーウェル・ヒューズ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団)

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シベリウス:交響曲第1番,第3番
オーウェイン・アーウェル・ヒューズ指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

2019年8月5-7日 セント・ジョンス・スミス・スクエア(ロンドン)
RCD 1055 (P)(C)2020 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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シベリウス:交響曲第2番,第4番
オーウェイン・アーウェル・ヒューズ指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

2021年6月7-9日 St John's Smith Square, London
RCD 1072 (P)(C)2022 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

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シベリウス:交響曲第5番,第6番,第7番
オーウェイン・アーウェル・ヒューズ指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

2021年11月15-17日 St. John's Smith Square, London
RCD1073 (P)2022 Christopher Wood (C)2022 Rubicon Classics (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ヒューズ指揮/ロイヤル・フィルのシベリウス交響曲サイクル第三弾である第5番,第6番,第7番が発売となり,これで交響曲全集が完成しました。第一弾の第1番,第3番,第二弾の第2番,第4番はすでに取り上げていましたが,ここに再掲します。

第一弾の第1番,第3番>大オーケストラで演奏されるスケールの大きな音楽が良いです。第3番はどちらかというとこぢんまりと演奏されることが多いように思いますが,第1番同様のスケール感で演奏されるのもかえって新鮮に聴こえたりします。どことなく漂うおおらかさもこの演奏の魅力になっていると思いました。

第二弾の第2番,第4番>演奏の傾向は第一弾と同じです。第2番はスケールが大きくおおらかに奏でられます。第4番はモノトーンの寒色系の音楽ですが,ほのかに温かな暖色を感じます。これがこの指揮者の長所なのでしょうね。

そして今回リリースされた第三弾の第5番,第6番,第7番ですが,演奏は第一弾,第二弾と共通しており,全集としての統一感があります。シベリウスの演奏として至極オーソドックスな印象でしたが,おおらかで温かさを感じる音楽はこの指揮者,オーケストラの美質が反映されていると思いました。

録音ですが,これも第一弾,第二弾と共通しています。録音会場の響きが多めに取り入れられ全体の響きのまとまりが重視されたような音作りです。そのため,個々の楽器の質感はやや希薄で感じ取りにくく分離感もあまりないため少しもどかしさがあります。また音のヌケ感も今ひとつ良くなくスッキリしません。

ということで,インパクトはあまりないかもしれませんが,全集として期待を裏切らない良い出来だったと思います。録音がいまいち冴えなかったのが惜しかったです。

タグ: [交響曲] 

バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV 988(ジャン・ロンドー)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV 988
ジャン・ロンドー Jean Rondeau (Harpsichord)
2021年4月17-24日 パリ,ノートルダム・ド・ボンスクール教会
Warner Classics/Erato 9029650811 (P)(C)2021 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

ブログ読者の方からご紹介いただいたディスクです(有り難うございました)。レコード芸術誌2022年3月号で特選盤に選定されていました。108分にもおよぶ長大な演奏で,輸入元情報やレコ芸でも触れられていますが,一音一音を練りに練って全ての音符にそれぞれ意味を持たせようと丁寧に丹念に演奏されている印象を受けました。またほぼ全体にわたって常にテンポに大きく「揺れ」や「崩し」が入るので,ここが受け入れられるかどうかで評価が大きく変わる気がしました。

私自身はフレーズの途中で微妙に音符が遅らせられる部分がどうしても呼吸や身体で感じるリズムを演奏に合わせることが出来ず,ほぼ常に「ウッ」となり続けてしまい,胸が苦しく軽い痛みを感じながら聴くことになってしまうので,好きかどうか以前に生理的に合わない演奏でした。

録音ですが,録音会場の響きがかなり多めに取り込まれています。直接音もしっかりと捉えられているのでシャープであり,オーディオ的にもかなりクオリティが高く,Hi-Fi調の優秀録音のように思いました。ただ,音数が少ないところは良いのですが,音数が多いところでかなり響きが多く混濁し,ややうるさく感じると同時に響きがやや閉空間で鳴っているような圧迫感があるので,私としてはもっと残響を抑えてスッキリと録ってくれていたらともっと良かったのにと思いました。

最後にリピートですが,全て実行されていました。108分もかけている演奏なので当然といえば当然なのですが。

演奏時間 約108分
リピート表
Aria ○○
Var.01 ○○ Var.02 ○○ Var.03 ○○
Var.04 ○○ Var.05 ○○ Var.06 ○○
Var.07 ○○ Var.08 ○○ Var.09 ○○
Var.10 ○○ Var.11 ○○ Var.12 ○○
Var.13 ○○ Var.14 ○○ Var.15 ○○
Var.16 ○○ Var.17 ○○ Var.18 ○○
Var.19 ○○ Var.20 ○○ Var.21 ○○
Var.22 ○○ Var.23 ○○ Var.24 ○○
Var.25 ○○ Var.26 ○○ Var.27 ○○
Var.28 ○○ Var.29 ○○ Var.30 ○○
Aria da capo ○○

グレン・グールドのゴルトベルク変奏曲<アナログ・マスター編集版>を聴いてみました

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV 988(アナログ・マスター編集版)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1981年4月22-25日, 5月15,19,29日 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
アナログ・マスター編集版 DSDマスタリング(2002年)
19658765002 (P)1982 (C)2022 Sony Music Entertainment (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV 988(81年デジタル録音版)
グレン・グールド Glenn Gould (Piano)
1981年4月22-25日, 5月15,19,29日 ニューヨーク,コロンビア30丁目スタジオ
デジタル録音 DSDマスタリング
SICC 40052 (P)(C)1982 Sony Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ファン心理につけ込んで同じ演奏を何度も買わせる策略にまんまとはめられている気がしますが...音質の差に興味が湧いたのでデジタル録音版と聴き比べてみました。

今まで聴いてきたものはデジタル録音されたものですが,今回聴いた「アナログ・マスター編集版」は,デジタル録音時に並行してバックアップとしてアナログ録音されていた別のマスターを,デジタル録音と同じようにグールドとプロデューサの指示通りに編集したものということです。つまり,演奏は同一で,同じマイクからの信号を分岐してアナログ録音したマスターからの編集ですね。

で,聴いてみたのですが,同一マイクからの信号とはいえマスターが異なるので音質は微妙に異なります。デジタル録音版に比べるとアナログ・マスター編集版は次のような感じです。

・アナログ・マスター編集版の方が音が太く重心が低い
・アナログ・マスター編集版の方がわずかに歪み感が大きいが,艶があり華やかな感じがある
 (デジタル録音版の方が透明感はある)
・アナログ・マスター編集版の方がわずかにレベルが高い


どちらが良いかは好みによると思います。アナログ・マスター編集版の方がインパクトがあるので聴いたときに「おぉ!」と思うのですが,スッキリしたデジタル録音版も捨てがたいです。とはいえ,それほど大きな差があるわけではなく甲乙も付けられるものでもないと思うので,特別なファンでない限り買い直してまで聴くほどのことはないは思いました。

最後にリピート表を再掲しておきます。リピートの省略が多いのは残念でなりません。

演奏時間 約52分
リピート表
Aria ××
Var.01 ×× Var.02 ×× Var.03 ○×
Var.04 ○× Var.05 ×× Var.06 ○×
Var.07 ×× Var.08 ×× Var.09 ○×
Var.10 ○× Var.11 ×× Var.12 ○×
Var.13 ×× Var.14 ×× Var.15 ○×
Var.16 ×× Var.17 ×× Var.18 ○×
Var.19 ×× Var.20 ×× Var.21 ○×
Var.22 ○× Var.23 ×× Var.24 ○×
Var.25 ×× Var.26 ×× Var.27 ○×
Var.28 ×× Var.29 ×× Var.30 ○×
Aria da capo ××

あと参考に今までの記事へのリンクです。
【訂正】グレン・グールドのバッハ:ゴルトベルク変奏曲(1981年録音)のリピートを調べてみた(2021/7/28)
グレン・クールド・プレイズ・バッハ 三部作 (3 DVD)(2020/12/5)
グレン・グールドのバッハ:ゴルトベルク変奏曲(1981年録音)のリピートを調べてみた(2014/11/3)
バッハ:ゴルトベルク変奏曲(グレン・グールド新盤)(2009/7/24)

あと蛇足ですが,ジャケット写真もオリジナルのポジフィルムからスキャンし直したものが使われており,従来のジャケ写では黒に見える服もじつは濃紺だったことがわかったということです。確かに写真の鮮度が格段に上がっていますね。

チャイコフスキー:交響曲第4番,ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ジャナンドレア・ノセダ指揮/ロンドン交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調作品36
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
ジャナンドレア・ノセダ指揮/ロンドン交響楽団
2017年10月29日&11月1日, 2018年6月3日 ロンドン,バービカン・ホール
LSO Live LSO0810 (P)(C)2018 London Symphony Orchestra (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

LSO Liveは残響が少なくドライな録音が多いので比較的好きかなと思うのですが,中には音が硬すぎたりドライ過ぎてカサカサしていたり,音に伸びがなかったり,ステージ感が希薄だったり...ちょっと違うなぁと思うものも多いです。そんな中でこの録音は少しその傾向はあるものの,かなり良い方かなと思いました。楽器音が締まっており,フォルテになっても弦楽器がかき消されるようなこともなく,また,ステージ感,分離感も適度にあります。エネルギーに満ちた迫力のあるサウンドがなかなか良いと思いました。

ノセダ指揮ロンドン交響楽団のチャイコフスキーはもうすぐ交響曲第5番が発売になるのでこれも楽しみです。

[Note]
Nicholas Parker producer & audio editor
Classic Sound Ltd recording, editing and mastering facilities
Jonathan Stokes for Classic Sound Ltd balance engineer, audio editor & mixing (Symphony No 4)
Neil Hutchinson for Classic Sound Ltd balance engineer, audio editor & mixing (Pictures at an Exhibition)
Jonathan Stokes for Classic Sound Ltd mastering
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