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シューベルト:交響曲第8番「未完成」,第9番「グレート」(マレク・ヤノフスキ指揮/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団)

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シューベルト:交響曲第8番ロ短調「未完成」
シューベルト:交響曲第9番ハ長調「グレート」
マレク・ヤノフスキ指揮/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
2020年11月 ドレスデン,クルトゥーアパラスト(文化宮殿)
PTC 5187065 (P)(C)2023 Pentatone (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

未完成は深く柔らかく陰影に富み,グレートは速めのテンポで若々しく溌剌としています。特にグレートの終楽章は胸が熱くなりますね。スタンダードな路線ですが極めていると思います。良かったです。

録音ですが,残響は少しあるものの,楽器音への被りは少なく,明瞭感,分離感,そして音色もまずまず良好だと思います。突出した特徴はないものの,平均的に良く出来ていて欠点の少ない好録音です。

バッハ:ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ全集(エイドリアン・バターフィールド/サイラス・ウォルストン)

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バッハ:ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ全集
エイドリアン・バターフィールド Adrian Butterfield (Violin)
サイラス・ウォルストン Silas Wollston (Harpsichord)
20-22 & 28-29 April, 2022 St John the Baptist Church, Loughton, Essex
SOMMCD 0664-2 (P)(C)2023 SOMM RECORDINGS
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

エイドリアン・バターフィールドは英国のヴァイオリニスト。ピリオド楽器での演奏と思われますが,特に楽器の特徴を強調するようなことはなく,ノーマルで素直な演奏だと思います。自己主張が強くないので物足りないところはあるかもしれませんが,耳に心地よくなじみすっと受け入れられるので好感を持ちました。

録音は,わずかに残響を伴っていますが,楽器音に被ることはなく,明瞭で伸びのある音で録られています。ハープシコードはやや後方で控えめに鳴っていて,明らかにヴァイオリンが主,ハープシコードが従,というバランスとなっています。この曲であればこのバランスでちょうど良いと思います。あまりに録り方がストレートすぎてかえって不自然さが出てしまっているようにも思いますが,音楽を楽しむという点では全く問題ありません。

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲,夜想曲,交響詩「海」(ピエール・ブーレーズ指揮/クリーヴランド管弦楽団)

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ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲,夜想曲,交響詩「海」
ピエール・ブーレーズ指揮/クリーヴランド管弦楽団
1991, 1993年 クリーヴランド
UCCS-50251 ユニバーサルミュージック (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon

ドビュッシーの管弦楽曲は普段ほとんど聴かないのですが,ちょっと聴いてみようと思い新時代の名曲名盤500+100 ONTOMO MOOKを参考に評判の良い本盤を選びました。ブーレーズの演奏はストイックで明晰というイメージがあり,ここで聴けるドビュッシーもそうなのかなと思いなが聴いています。

録音は1990年代のドイツグラモフォンらしいそつのない録音です。残響は控えめで明瞭感はありますが,やや楽器の質感や分離感は弱めです。そのため少しモヤッとしたところがあります。昨今の録音のようにもう少し高域の伸びやシャキッとしたクリアさは欲しいところです。中低域のレンジ感や締まりも適度にあり良いと思います。全体に今一歩というところもありますが,上手くまとめられていて好録音といっても良いと思います。

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第3稿 コーストヴェット版)(レミ・バロー指揮/ザンクト・フローリアン・アルトモンテ管弦楽団)

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ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1888年 第3稿 コーストヴェット版)
レミ・バロー指揮/ザンクト・フローリアン・アルトモンテ管弦楽団
2021年8月21日 オーストリア北部オーバーエスターライヒ地方ザンクトフローリアン,聖フローリアン修道院教会
Gramola 99261 (P)(C)2022 Gramola (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」の第3稿 コーストヴェット版をもう一つ。レミ・バローはこれまでに第2番,第3番,第5番,第6番,第7番,第8番,第9番とすでにけっこう多くの録音を残されてきています。第4番は第3稿を採用されましたが,輸入元情報によると,「この第3稿こそブルックナーの成熟の証しであり,修正点はすべて工夫が凝らされており,磨きのかかった作品はよりニュアンスに富み,さらに聴きやすくなっている。」と指揮者自身が解説で語っているということです。

演奏はここぞというところでは高らかに歌い上げていますが,全体的に少しゆったりとしており牧歌的雰囲気もあると思います。演奏時間も1時間18分くらいとかなり長めです。リズム感が希薄で縦の線が曖昧に,ゆるやかに大きくうねる感じで進行していくのが独特です。ある意味ブルックナーらしいのかもしれません。先日取り上げたヴァンスカ指揮ミネソタ響とは対極的な感じがします。

録音は拍手の入るライブ録音です。残響がかなり多めで,この録音の仕方もリズム感を曖昧にしている要員ではないかと思います。この残響が明瞭感や音色にかなり影響していて私としてはあまり好きな録音ではないのですが,ブルックナーの響きを楽しむという点ではありなのかもしれません。こういう録音が好きな方もいらっしゃると思います。私はちょっと苦手です。


このプロモーションビデオに第一楽章47小節目のオクターブ上げ(+レガート奏法)の部分が含まれていますのでよろしければご確認ください。

タグ: [交響曲] 

シューマン:交響曲第3番「ライン」,ブラームス:交響曲第3番,他(アレクサンダー・シェリー指揮/カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団)

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シューマン:交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90,他
アレクサンダー・シェリー指揮
カナダ・ナショナル・アーツ・センター管弦楽団

2020-2022年録音
AN28882 (P)2023 Analekta (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

「クララ,ロベルト,ヨハネス」と題された,クララ・シューマン,ロベルト・シューマン,ヨハネス・ブラームスの三人の個人的・音楽的なつながりを探るシリーズの3巻。全4巻が計画され,2巻までは少し前に取り上げていました。今回はシューマン交響曲第3番「ライン」とブラームス交響曲第3番,そしてクララ・シューマンの作品が取り上げられています(曲目は参考に挙げたサイトをご参照ください)。

交響曲に関しては2巻までと同様で,速めのテンポで締まっておりスッキリと整ったスマートな演奏で変わりありませんでした。強い主張のない癖のない演奏なので印象には残りづらいものの,シリーズとして筋が通っていて好感が持てます。

録音も同様で2巻までと同傾向です。少し残響感があり,演出感があって生々しさには乏しいものの,残響が楽器音に大きくは被っておらず音色の癖も曇りも少なめで許容範囲です。もう少しスッキリと透明感があって,楽器の質感ももう少し出してくれたらとは思いますが,全体に欠点が少なく音楽を楽しむのに支障はありませんでしたので四つ星半の好録音としました。

ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」(ルドルフ・ルッツ指揮/バッハ財団管弦楽団)

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ベートーヴェン;交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
ルドルフ・ルッツ指揮/バッハ財団管弦楽団
2022年8月17日 スイス,Tonhalle St. Gallen
C143CD (P)(C)2023 J. S. Bach Stiftung (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

古楽器オーケストラによる演奏。拍手の入るライブ録音。バッハ財団管弦楽団は2006年にルドルフ・ルッツにより創設された団体で,月1回のバッハのカンタータ全曲演奏を行い,録音を残されているということです。

この英雄は古楽器の演奏としてはオーソドックスだと思いますが,少し速めのテンポで颯爽としており引き締まっていて良いと思います。

一方録音なのですが,かなり残響が多めで私の好きな録音とはだいぶ違います。ただし直接音も感じられ,明瞭感や音色への影響もギリギリ許容範囲と思いますので,残響が許せる方なら問題ないかもしれません。低域の響きが控えめで中高域への被りが少なめなのが良いのかもしれません。私としてはもちろんもっと残響を抑えてクリアに録って欲しかったとは思いますが。

タグ: [交響曲] 

ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」,第2番「ないしょの手紙」,他(エッシャー弦楽四重奏団)

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ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第2番「ないしょの手紙」
ハース:弦楽四重奏曲第2番「猿山より」(打楽器つき版)
エッシャー弦楽四重奏団 Escher String Quartet
2022年2月19-22日 イギリス,サフォーク,ポットン・ホール
BISSA2670 (P)(C)2023 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

エッシャー弦楽四重奏団はアメリカ,ニューヨークを拠点に活動する団体。いままで,メンデルスゾーン弦楽四重奏曲全集,ドヴォルザーク弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」,チャイコフスキー弦楽四重奏曲第1番,ボロディン弦楽四重奏曲第2番を取り上げてきました。いずれも演奏・録音とも素晴らしいディスクでした。

ヤナーチェクは激しく燃え上がる激情を包み隠さず露わにしたような演奏。技術のキレと表現力のある同団体ならではの演奏ですね。

そして録音もわずかに響きの影響はあるものの,直接音主体にシャープに捉えていて,この激しい演奏を余すところなく伝えてくれます。

ということで,演奏も録音も期待通りでした。今後の録音にも期待します。

レスピーギ:ローマ三部作(ジョン・ウィルソン指揮/シンフォニア・オブ・ロンドン)

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レスピーギ:ローマ三部作
ジョン・ウィルソン指揮/シンフォニア・オブ・ロンドン
2019年9月2-7日 ロンドン,キルバ―ン,セント・オーガスティン教会
CHSA 5261 (P)(C)2020 Chandos Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

輸入元情報によると,オーケストラのシンフォニア・オブ・ロンドンは映画音楽やレコーディング・セッションのための専門的オーケストラとして1955年に設立,休眠状態にあったこのオーケストラを2018年にジョン・ウィルソンが再結成した,ということです。

オーケストラの上手さも光りますが,録音がなかなか良いです。少し残響感があり,録音会場の空間を感じさせる分,個々の楽器の明瞭さ,クリアさはわずかに損なわれていますが,それでもそれぞれの楽器の質感はまずまず感じられ,分離感もあり,音場の立体感もありますし,音のキレも良好です。フォルテでも飽和感はなく,ダイナミックレンジが広くスケールの大きなサウンドが魅力です。この曲にふさわしい録音だと思います。

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第3稿 コーストヴェット版)(オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ交響楽団)

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ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(1888年 第3稿 コーストヴェット版)
オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ交響楽団
January 2009 at Orchestra Hall, Minneapolis, Minnesota, USA
BIS-SACD-1746 (P)(C)2010 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

先日取り上げたマルクス・ポシュナー指揮/ウィーン放送交響楽団の同曲のコメントでオスモ・ヴァンスカの演奏が良いと教えていただきましたので聴いてみました(有り難うございます!)。第3稿はポシュナーの記事でも触れましたが,1975年録音のカラヤン/ベルリンフィルのDG盤でも取り入れられていた第一楽章の47小節目の旋律のオクターブ上げ(オクターブのユニゾン)が実際に楽譜にも記載されており,またトレモロではなくレガートということで,この箇所の美しさは格別で,ここだけでもこの第3稿を聴く価値があると思ってしまいます。このヴァンスカの演奏はコントラストのはっきりした表情付けと,ダイナミックで表現が素晴らしいと思いました。第3稿はあまり評判が良くないようですが,版や稿の問題は正直私にはわからないのですが,そういうことを抜きにしてこれはなかなか出色の出来ではないかと思いました。

そして録音も良く,ブルックナーとしてはかなり残響を控え目にし,明瞭かつシャープで締まったサウンドが痛快です。弦楽器の質感,金管の響き,どこをとっても平均以上の出来と思います。

まだ録音の少ない第3稿ですが,優れた演奏,良好な録音で楽しめることに感謝です。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲,他(マリア・ドゥエニャス/マンフレート・ホーネック指揮/ウィーン交響楽団)

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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61,他
マリア・ドゥエニャス María Dueñas (Violin)
マンフレート・ホーネック指揮/ウィーン交響楽団
2023年1月25-28日 ウィーン,ムジークフェラインザール/Synchron Stage
2022年7月22日 ベルリン,マイスターザール
4863512 (P)(C)2023 Deutsche Grammophon (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

マリア・ドゥエニャスはスペインのヴァイオリニスト。まだ20歳の若手で,これがドイツグラモフォンへのデビューアルバムということです。収録曲は下記の通りです。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(カデンツァ:マリア・ドゥエニャス)
シュポア:ヴァイオリンとハープのためのコンチェルタンテ第1番ト長調より第2楽章アダージョ
イザイ:子守歌作品20
サン=サーンス:ハバネラ作品83
ヴィエニャフスキ:伝説曲 Op.17
クライスラー:愛の悲しみ

協奏曲ではヴァイオリニスト自身の作曲によるカデンツァが演奏されています。ベートーヴェンの協奏曲の他に5人の作曲家(シュポア,イザイ,サン=サーンス,ヴィエニャフスキ,クライスラー)の作品g演奏されていますが,同作曲家によるベートーヴェンの協奏曲のカデンツァの演奏も別ディスクで付属しています。

それにしても若いというのになんというかもの凄く堂々としてます。テンポはどちらかというとゆっくりですが,一つ一つの音を丁寧に,力強く,しっかりとヴィブラートをかけて歌い上げています。巨匠的でありながら若手らしいフレッシュさも持ち合わせています。颯爽としたスマートな演奏をする若手が多い中で異彩を放っていると思います。素晴らしいですね。

録音ですが,ソロは少し残響のまとわりつきが気になりますが,音色への影響は少なめで,音像に立体感があり,ニュアンスも感じられソロを堪能出来ます。オーケストラは少し残響が多めですが,こちらも音色への影響は少なめで,なおかつソロを邪魔していません。私の好みの録音とは少し違いますが,協奏曲の録音として好ましいと思います。好録音です。

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第2稿 ノヴァーク版)(トーマス・ダウスゴー指揮/ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(第2稿 ノヴァーク版)
トーマス・ダウスゴー指揮/ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
2020年1月20-22日 ノルウェー,ベルゲン,グリーグ・ホール
BIS-2534 (P)(C)2023 BIS Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ダウスゴー指揮ベルゲン・フィルのブルックナーは,第3番,第6番がリリースされており,これが3枚目になります(あとスウェーデン室内管弦楽団との第2番があります)。ダウスゴーらしい速めのテンポでキビキビと進行する歯切れの良い演奏で,どちらかというと響きよりもリズム感が際立つので,ブルックナーの演奏としては従来の多くの演奏とはだいぶ異なる趣があるように思います。私はこういう演奏も好きですが,好みが分かれそうです。

録音ですが,残響感は少し多めにありますが,各楽器が比較的明瞭に分離良く質感高く聴こえるので,輪郭がクッキリしているというかコントラストが強めというか,焦点が合っている感じがして良いと思います。録音についてもブルックナー向きかというとちょっと違うかもしれませんが,この点でも私は好きかなと思いました。

第3番,第6番も聴いてみようと思います。また今後の録音にも期待したいです。

ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第3稿 コーストヴェット版)(マルクス・ポシュナー指揮/ウィーン放送交響楽団)

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ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(第3稿 コーストヴェット版)
マルクス・ポシュナー指揮/ウィーン放送交響楽団
2021年11月26-28日 ウィーン放送文化会館
C8085 (P)(C)2023 Capriccio (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

2024年のブルックナーの生誕200年にあたり,これを記念してブルックナーのすべての交響曲のすべての稿(バージョン)を録音する企画「#bruckner2024」の第八弾。第五弾までと第六弾,第七弾は取り上げていました。この企画ではリンツ・ブルックナー管弦楽団とウィーン放送交響楽団が起用されていますが,今回はウィーン放送交響楽団です。

第4番は第1稿と第2稿が発売済みで,今回は第3稿です。第3稿といえば少し前に第1稿,第2稿,第3稿を録音したフルシャ指揮バンベルク交響楽団の演奏を取り上げていました。他にはヴァンスカ指揮ミネソタ交響楽団のディスクがあるようですが,他の稿に比べて録音が少ないようです(ブルックナー好きの方からは評判が良くないようですが)。私はブルックナーはあまり聴かないので稿の違いでどう変わるのかあまりわからないのですが,もう少し聴き込んでみようかと思います。

で,一カ所だけわかったことがあります。第一楽章の47小節目,時間でいうと1:40付近の練習番号[A]に向かう下降音型のところが第1稿,第2稿と異なり1オクターブ高い音とのユニゾンで,しかもトレモロではなくスラーになっていました。稿は異なりますがカラヤン指揮ベルリンフィルの演奏が1オクターブ高い音で演奏されていて,なんでこの演奏だけ違うんだろうと不思議に思っていましたが,もしかしたら部分的に第3稿を取り入れていたのかも,と思いました(勝手な想像です。違ったらすみません)。

録音ですが,この第3稿は第1稿に続いて録音されたようです。録音の音質も変わらないのでコメントを引用します。「ブルックナーの録音としては残響を控えめに抑え,楽器そのものの響き,音色を活かした録音となっていて,混濁の少ないクリアーで見通しの良い明瞭な音響が良いと思いました。」

ホルスト:組曲「惑星」(ダニエル・ハーディング指揮/バイエルン放送交響楽団)

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ホルスト:組曲「惑星」作品32
ダニエル・ハーディング指揮/バイエルン放送交響楽団
2022年2月24,25日 ミュンヘン,ヘルクレスザール
900208 (P)(C)2023 BR Klassik (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

輸入元情報にもありますが,全曲の演奏時間が約57分で,普通50分くらいの演奏が多い中では遅めの演奏ですが,聴いていて特に遅めという感じはなく緻密に丁寧に克明にこの曲の世界観,神秘性を描き出しているように思いました。もう少しダイナミックな演奏の方が好きなので期待していた演奏とは少し違うのですが,この曲の異なる魅力を発見できたような気はしています。

録音ですが,残響はそれほど多いという感じではありませんが,少し離れた位置から全体をバランスよく捉えるような録り方で,個々の楽器の質感や分離感は抑え気味で空間性や響きの溶け合いを重視しているように思いました。オーケストラ録音としては標準的で良い部類には入ると思いましたので四つ星半の好録音評価にしました。ですが,個人的にはもう少し個々の楽器に寄って質感高く分離良くシャキッとシャープに録って欲しかったと思います。この曲としては演奏効果を強調しないやや控えめの録り方と思いました。

チャイコフスキー:交響曲第5番,他(ズービン・メータ指揮/バイエルン放送交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64
リスト:交響詩第6番「マゼッパ」
ズービン・メータ指揮/バイエルン放送交響楽団
2013年2月25日-3月1日 ミュンヘン,フィルハーモニー・イン・ガスタイク
900207 (P)(C)2023 BR Klassik (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,amazon music,HMV Onlineicon,Apple Music

メータのチャイコフスキー第5番の録音は1977年のロサンゼルス・フィル以来とのことで少し驚きました(ロサンゼルス・フィルとの録音は以前取り上げていました→こちら)。

チャイコフスキーの第5番は基本的にはオーソドックスですが,落ち着いたテンポで堂々としておりここぞというところはダイナミックに鳴らしメリハリのある音楽を聴かせてくれますね。オーケストラの上手さ,安定感はさすがですね。良いと思います。

録音はライブ収録で,残響・間接音が直接音よりも多めなので少し明瞭感と音色に影響がありますが,ライブらしい雰囲気と音場の立体感は感じられるのでまずまずかなと思います。オーディオ品質的には特に良いという感じではありませんし,残響の影響が少し多めなのでその点は不満に思うところですが,全体には欠点は少なく音楽を楽しむという点ではそろほど問題ないと思いました。

「CD試聴記」Webサイト開設21周年!

姉妹サイトの「CD試聴記」が開設21周年を迎えました。変わらぬご支援に感謝申し上げます。

前回の更新が2018年8月20日ということで,もう本当に長い間更新が滞っていて大変申し訳なく思っております。単にサイトをそのまま維持しているだけの状態になってしまっていますが,なんとかしたいとは思っていますので,気長に再開を待っていただければと思います。今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。(毎年同じ文章で申し訳ございません...)

モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番「不協和音」,チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番(エスメ四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲第19番ハ長調K.465「不協和音」
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番ニ長調作品11
スヨン・リュー:Yessori (Sound From The Past)
エスメ四重奏団 Esmé Quartet
2022年4月 ウィーン,ORF Radiokulturhaus Studio 3
ALPHA 923 (P)(C)2022 ALPHA CLASSICS (輸入盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

エスメ四重奏団は2016年にケルン音楽大学で結成された韓国出身の女性4人組。力強くキレがあり,かつ細部にまで神経の行き届いた細やかな表現力を持っています。モダンで洗練されていて良いと思います。

録音ですが,残響はほとんどなく,各楽器を明瞭に分離良くシャープに捉えています。音色に輝きがあり中低域も引き締まっています。文句なしの好録音です。

ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番,トヴェイト:ハルダンゲル・フィドル協奏曲第2番,他(ラグンヒル・ヘムシング/アイヴィン・オドラン指揮/ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団)

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26
スヴェンセン:ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス
シグル・リー:ヴァイオリンと管弦楽のための演奏会用小品「フルドラトエッラン」
トヴェイト:ハルダンゲル・フィドル協奏曲第2番作品252「3つのフィヨルド」
ラグンヒル・ヘムシング Ragnhild Hemsing (Violin, Hardanger Fiddle)
アイヴィン・オドラン指揮/ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
2022年1月17-21日 ベルゲン,グリーグホール
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好録音度:★★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

ラグンヒル・ヘムシングはノルウェーのヴァイオリニスト。このディスクの注目はやはりノルウェーの民族楽器ハルダンゲル・フィドルを使った協奏曲ですね。これでもか!というくらいフィドル奏法でコテコテに塗りたくられた演奏は圧巻です。曲自体に民族的な色はあまり感じなかったのですが,ヴァイオリンと全く異なる弾き方で染められてます。興味深かったです。ブルッフも濃厚でねちっこい歌い回しが良かったです。あまり知らないヴァイオリニストですが,良いと思いました。

そしてこのディスクは録音も良かったです。少し残響がソロ楽器にまとわりついていますが,協奏曲の録音にふさわしくソロ楽器にフォーカスされており,ニュアンス豊かな演奏をきちんと捉えて聴かせてくれます。オーケストラも明瞭で分離感を持ちながらソロを邪魔しません。私としてはほぼ理想的な協奏強録音かなと思えました。なお輸入元情報によると,BISで高音質を担ってきたマリオン・シュヴェーベルというプロデューサが担当されたということです。

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ハルダンゲル・フィドル

ブラームス:交響曲全集(ミヒャエル・ザンデルリング指揮/ルツェルン交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ミヒャエル・ザンデルリング指揮/ルツェルン交響楽団
2021-2022年 ルツェルン,オーケストラハウス
Warner Classics 5419748237 (P)(C)2023 Parlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,Apple Music

交響曲4曲とシェーンベルク編曲のピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25が収録されています。輸入元情報にも記載されている「少し前までのブラームスの演奏のように重厚なサウンドで濃厚なロマンを描く」という演奏ですね。確かにテンポは中庸で厚みのある響きが特徴の伝統的演奏に近い感じがします。とはいえ昔風かというとそんなことはなく今の時代にも即した明晰さが感じられました。昔の演奏を好まれる方だけでなく,今どきの颯爽とした演奏を好まれる方にも受け入れられるのではないでしょうか。

録音ですが,残響は少し多めです。マイク位置が少し遠いのか,全体の音の溶け合い,まとまりは良いのですが,個々の楽器の質感は控えめで分離感もそれほどありません。中低域の響きが多く重心の低いバランスになっていますが,このため音の立ち上がりやスピード感が少し失われているように思います。残響が気にならない方や重厚なサウンドが好みの方には良い録音かもしれません。私としてはもう少し中低域を引き締め中高域のヌケの良さや輝きを持たせて欲しかったかなと思います。悪くはないのですが少し物足りない感じはありました。

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ファランク:交響曲全集,序曲集(ロランス・エキルベイ指揮/インスラ・オーケストラ)

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ファランク:交響曲全集,序曲集
ロランス・エキルベイ指揮/インスラ・オーケストラ
2021年3月4-6日, 2022年9月29,30日 パリ,ラ・セーヌ・ミュージカル
Warner Classics/Erato 5419752210 (P)(C)2023 Perlophone Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo,Apple Music

交響曲3曲と序曲2曲が収録されています。ルイーズ・ファランク(ファラン)(1804-1875)はフランスの女性作曲家で,女性で初めてパリ音楽院の教授職に就いた方とのことです。作風はドイツ・ロマン派の流れを汲むということで,確かにブラームスやシューマンをよく聴く耳になじみやすい作品です。長く顧みられなかった作品のようですが,近年の女性作曲家の作品の再発掘で演奏される機会が増えてきているとのことです。ディスクもすでにいくつか発売されてきていますね。初めて聴きますのでじっくりと楽しみたいと思います。

そして録音ですが,残響感は少しありますが,楽器音にあまり影響しておらず,立体感のある音響に一役買っていると思います。明瞭感や分離感も悪くありませんし,楽器の質感もそこそこ感じられます。一般的なオーケストラ録音という感じですが,欠点があまりなく,バランス良くまとめられていると思います。私の好みの録音とは少し違うかもしれませんが,良いと思います。

最後に...第1番,第3番は2021年7月に発売されていたものと同じです。第2番と序曲2曲が追加され全集として改めて発売されました。ブロムシュテットのモーツァルトもそうでしたが,先に発売されていたものを含めて買わないと新しい録音を聴けないような発売の仕方には疑問を呈しておきたいと思います。このようなやり方をせざるを得ない理由があるのかもしれませんが,熱心な音楽ファンの気持ちを逆なでするやり方です。もう少し音楽ファンに寄り添った発売の仕方を考えて欲しいと思いました。

モーツァルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」(ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/バイエルン放送交響楽団)

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モーツァルト:交響曲第39番,第40番,第41番「ジュピター」
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮/バイエルン放送交響楽団
2019年12月17-21日 ミュンヘン,フィルハーモニー・イン・ガイタスク
2013年1月31日-2月1日,2017年12月21,22日 ミュンヘン,ヘルクレスザール
900196 (P)(C)2023 BRmedia Service (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower Records,Apple Music,HMV Onlineicon,Apple Music

第40番と第41番は2018年に発売されており以前取り上げていました(→こちら)。第39番が追加されて改めて発売となりました。

第39番の録音当時92歳前後と思いますが全く年齢を感じさせません。既発売の第40番,第41番と同じく速めのテンポで小気味よく若々しく躍動感があり引き締まった演奏です。モダンオーケストラによる演奏の一つの到達点のような素晴らしさですね。

そして録音ですが,既発売のものと録音年も会場も異なりますが,音作りは統一されていて違和感がありません。残響は少し多めに取り入れられていますが,音色への影響は少なめです。フォルテで少しうるさい感じになるのでもう少しスッキリと録られていたら良かったのですが,編成の大きなオーケストラの録音としてはどうしてもこうなってしまうのかもしれません。あと第39番はやや楽器の分離感がなくステレオ感があまりない感じがして,この点は既発売のものの方が良かったと思います。
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