バッハ:ゴルトベルク変奏曲(カート・ラダーマー)
2009/07/31


バッハ:ゴルトベルク変奏曲
カート・ラダーマー(Kurt Rodarmer)(Guitar)
Recording: 1994.6-1996.1, Highland Studios, Los Gatos, California
Sony Classical SRCR-2230 (C)(P)1996 Pangaea Production (国内盤)
愛聴盤 リファレンス音源 好録音度:★★★★★
参考url: HMV Online
この曲の演奏のために特注された2本のギター(リチャード・シュナイダー氏製作)を使い,多重録音(最大4重?)で実現された録音。ラダーマー氏は,この編曲のために10年の歳月を費やしたとのことです。
同曲のギターによる演奏は,1本で演奏されたものがいくつかありますが,編曲の点でも演奏の点でもかなり無理があると言わざるをえません(もちろんその挑戦意欲は認めます)。ラダーマー氏はこの問題を解決するために2本の特注ギターと多重録音という,クラシック音楽の録音では邪道とも思える手段を選択されました。しかし,その代わりに編曲と演奏には一切の妥協がありません。私が聴いた限りでは「ここは妥協したな」と思えるところはただの一カ所もありませんでした。ギターでは難しかろうというところでも果敢に鮮やかに弾ききっていますし,多重録音で余力が出来たところを音楽表現に振り向けられていますので,単にギターで弾いたということにとどまらない聴き応えのある音楽になっています。
この難曲をここまで立派な音楽に仕上げられた執念とその成果を素直に讃えたいと思います。
さて本題の録音についてですが,全く残響のない環境で直接音だけ捉えています。多重録音で音質を落とさないための措置ではないかと思いますが,それが功を奏し,極めてクリアで明瞭度・解像度の高い録音になっています。クラシック音楽の録音としては恐らく異端児であり,拒絶反応を示される方もきっとおられると思いますが,私にとっては非常に好録音度の高い素晴らしい録音です。
また,「優秀録音」と言えるかどうかはわかりませんが,オーディオ的なクオリティも十分に満足できるレベルです。
ということで,発売以来の愛聴盤になっています。
タグ: [器楽曲] [ギター] [愛聴盤] [リファレンス音源] [★★★★★]
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編曲物は移調の有無も大事な観点だと思います。