ショパン:ワルツ(仲道郁代)

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ショパン:ワルツ(17曲) (1842年製プレイエルと2013年製スタインウェイによる演奏)
仲道郁代 Ikuyo Nakamichi (Piano)
2015年5月26日~29日 サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 小ホール
SICC 19006-7 (P)(C)2016 Sony Music Japan (国内盤)
好録音度:★★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

ショパンのワルツ17曲を,Disc 1では1842年製プレイエルで,Disc 2では2013年製スタインウェイで,同じ曲を違う楽器で弾いたものを収録するという贅沢な企画盤です。今日ここで触れたいのはこの録音についてです。

解説書の中で仲道さん自身が「録音方法」の項で次のように述べておられます。

 今回,これらの二つの楽器の特性をいかすべく,録音方法にも心をくだいた。プレイエルの音色の細やかさ,タッチの変化による音のスピード感,音質感の違いをよりリアルにお聴きいただきたく,なるべく響きをつけない“オン”で“ドライ”なマイク設定を試みた。もともと,ショパンの時代には大きなホールの豊かな響きで聴くということはなかったのである。サロンで,ピアノの近くに集まり,親密に聴くのである。

~中略~

 片や,スタインウェイはというと,この楽器が持っている豊かな響き,低音のパワーなどをしっかりと聴いていただくために,プレイエルの録音よりはいわゆるホールの中で聴いているような音場感を目指している。 ~後略~

仲道さん,いいこと書いています(^^)。そう!音楽の楽しみ方はさまざま,ホールで聴くだけが音楽の楽しみ方ではないのです。実際に聴いてみると,まさにこれが実践され,その雰囲気が実現されています。スタインウェイの方は「ホールの中で聴いているような音場感」とありますが,実際にはこちらも十分“オン”で“ドライ”であり,純粋にプレイエルとの音色の差異を比べられる録音になっています。そしてこれらのピアノの音色は美しく澄んでいて一つ一つの音が輝いています。ピアノって実はこんなに美しい音色の楽器だったんだ!と感動します。こんなに胸のすく気持ちの良いピアノの録音に接したのは本当に久しぶりです。

当ブログの読者様ならすでにご承知と思いますが,私はずっと録音における残響のあり方に疑問を呈してきました。音場感と引き替えに肝心の楽器の音色が犠牲になっている録音のなんと多いことか! この録音は,残響がなくともその音楽性は微塵も損なわれることはないし,音楽の価値が落ちることも全くない,録音において残響は必ずしも必要ではない,ということを見事に証明していると私は思います。

制作サイドの方に改めて問いたい。その残響,何のためですか? 楽器の音色を犠牲にしてまで入れる価値のあるものですか? いったいその残響まみれの録音を通じてリスナーに何を伝えたいのですか? ... ということを考えさせられる録音でした。(思わず愚痴ってしまいました...すみません...)

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