ハイドン:交響曲集Vol.1 第6番「朝」,第17番,第35番(飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団)
2017/02/04

飯森範親指揮/日本センチュリー交響楽団
2015年6月5日 いずみホール(大阪)
OVCL-00610 (P)(C)2016 Octavia Records (国内盤)
好録音度:★★★★
参考:
2015年にスタートし,8年間かけて交響曲全104曲を演奏・収録するプロジェクト「ハイドン・マラソン」の第1回演奏会のライヴ録音とのことです(ただし拍手は入っていません)。解説書を見ると,弦楽器の人数は8-9-6-4-3で,管楽器,チェンバロを含めて総勢36名というやや絞り込んだ編成のようです。日本のモダンオーケストラで完成される予定の全集はうれしい企画です。楽しみです。
いずみホールの豊かで美しい響きを活かしたクオリティの高い録音も特筆出来ると思います。ホールのキャラクターが出過ぎず,まるでセッション録音のような録り方で,会場や観客のノイズも不自然なくらい全く感じられません。優秀録音と言って良いのではないかと思います。
しかし私はあえてこの録音に苦情を言いたいと思います(^^;。まずこの現実感の薄い商品化されすぎた作り物のようなサウンド。実際のホールでもこのように響いたのかもしれませんが,パッケージメディアを通して聴くと生の風合いは伝わらず,奏者の存在感のない,奏者の顔が見えてこない,綺麗なパッケージに入れられた作り物の音楽のようになってしまっています。
そしてこの残響の多さによって細かなニュアンスはかき消され,個々人の楽器の質感はほとんど感じられなくなっています。フォルテのあとのピアノなども響きに隠れて聴き取りにくいです。確かに響きの美しい録音だしオーディオクオリティも高いのですが,表面的な心地よさよりも,すっきりと見通しよくそして音楽を克明にニュアンス豊かに描き出す録音であって欲しいです。
一般的にみれば優秀録音でしょうし,収録の途中で録音のポリシーを変えることはないと思うので,この録音で全集が統一されると思うのですが,これは私としては大変残念に思います。
タグ: [交響曲]
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