チャイコフスキー:交響曲第五番(インバル/東京都交響楽団)

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チャイコフスキー:交響曲第五番ホ短調作品64
エリアフ・インバル指揮(Eliahu Inbal)(Conductor)
東京都交響楽団(Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra)
2009年3月29日 東京・サントリーホールにてライヴ収録
EXTON OVCL-00407 (P)(C)2009 Octavia Records Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考url: HMV Onlineicon

コンサートのライヴ収録です。このディスクは優秀録音としていくつかの雑誌で見かけました。チャイコフスキーの交響曲第五番は好きな曲なので,これは是非聴いてみなければということで手に入れました。ここでは録音についてのみ触れます。

それで聴いてみた第一印象は「なんだかさえない,つまらない録音だなぁ...全然面白くない...」という感じであまり良い印象ではありませんでした。気を取り直して何度も聴いているうちに,多分大型の立派な高級システムで聴けば,収録されたホールのような音場が再現するのかもしれない,と思い始めました。

収録されている音自体のクオリティもそんなに悪くありませんし,オーケストラが発する音と共にホール音響も含めて余さず密度高く詰め込まれているという感じは確かにします。そしてそれを立派な高級大型オーディオシステムで再生すると,いかにもホールで聴いているかのような錯覚に陥ることが出来る。こういう点が評価されたのではないかと思います。

しかし,私からすると,これは優秀録音かもしれませんが,好録音ではありません。私が普段使っているいわゆるゼネラルオーディオ機器で聴くと,なんだかごちゃごちゃしていて肝心な音楽がちっとも聴こえてこないのです。こう聴こえてしまうのは,音楽的に重要な音から重要でない音まで取捨選択することなく全部詰め込まれているからではないかと思うのです。

好録音について考える(1) ~ 録音」のエントリにも書きましたが,私の考える好録音は,メディアという限られた大きさの器に音楽のエッセンスだけが目一杯詰め込まれているというイメージです。そのためには単にその場の音場を捉えるのではなく,音楽的に重要な音をピックアップして録っていくという姿勢が必要になってきます。ライヴ録音であっても音楽のエッセンスを抽出してメディアに詰め込む努力を惜しまないで欲しい,と思います。

というか,そもそも録音する側がそういうゼネラルオーディオを相手にしないポリシーなら何を言っても無駄ですが...クラシック業界を支えている音楽ファンの多くはゼネラルオーディオだと思うんですけどね。

P.S. “ゼネラルオーディオ”っていう言葉はもはや死語でしたっけ?

タグ: [交響曲] 

■ この記事へのコメント

天ぬき
こんにちは、天ぬきと申します
いつも興味深く拝見させていただいております。

録音評というのは難しいですね。極端に言うと自分の装置で自分好みの音で鳴ってくれればいいのですが。。。

往々にして高評価のものでも上手く鳴ってくれないものに出くわします。ちょっと凹みますね。
2010.02.24 at 10:12 #U6bnLAn6 URL [Edit]
T.S.
こんにちは。コメント有り難うございます。全くもって天ぬきさんのおっしゃるとおりです。

こういう書き方は反感を買うかもしれませんが,演奏家・CD制作者は,私たちのような音楽愛好者から生活の糧を得ているわけですから,その出資者たる私たち皆が幸せになるような録音を提供する努力義務があると思っています。そのためには,自分たちの録音が市場でどう受け止められているのか,市場の声を真摯に聞き,市場の価値観を理解しようとする姿勢が必要です。

昨今の録音を聴くにつけ,ターゲットがあまりに高級オーディオに偏っているように思えてなりません。オーディオ雑誌の批評もしかりです。何も我々大衆に媚びた録音をしてくれと望んでいるわけではなく,プロフェッショナルの技術と見識で,高級オーディオ所持者だけでなく全ての音楽愛好者に幸せをもたらす最適解を追求して欲しいと思うわけです。(それが難しいんですけどね)

私はこのブログを通じてそのお手伝いが少しでも出来ればという思いで感想を書いています。なので,私の聴取環境で私の価値観で素直な感想を述べて制作側にフィードバックすることが大切だと思っています。

なんて偉そうなこと書きましたが,結局は自分ががっかりする回数を少なくしたいだけなんですけどね。
2010.02.25 at 01:59 #- URL [Edit]

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