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好録音について考える(2) ~ 残響

次に残響について考えてみたいと思います。

音というのはご存じの通り1秒間に約340mの距離を進みます。例えば,音が発せられてから1秒後に届く音は約340mの距離を経てきています。音というのは距離減衰によって距離を経れば経るほど音が小さくなりますが,高域減衰という低域に比べて高域が落ちやすい特性によって,元々の音が持つ情報量がどんどん減っていってしまいます。(もちろん壁面反射の特性にも影響されます)

残響というのは,音源から発せられた音が壁面反射を繰り返し,音源からの直接距離の何倍もの経路を経て届く音です。あらゆる経路を経由して届くので,パルス的に発せられた音であっても連続的な残響音として聞こえてきます。残響はこのように長い経路を経てきた音ですので,それ自体には元々豊富に含まれていた音楽的情報はほとんど残っていません。

私は,残響というのは,いわば調味料のように働くものであると考えています。ほんの少量,上手く使ってやると,素材の持つ良さを引き立て,より美味しく味わうことが出来るようになります。しかし,それが過ぎたり使い方を誤ったりすると,素材の良さを損ない,一体何を味わっているのかわからなくなってしまいます。

前回,録音とは音楽のエッセンスをメディアという有限容量の器に収めることであるといった主旨のことを述べましたが,残響というそれ自体音楽的情報をほとんど含まない成分が増えると,その分音楽的情報を豊富に含む直接音の割合が減少してしまいます。私が残響を目の敵にする理由はここにあります。

結局,素材に対してどういう調味料をどういう配分で使うかということにかかっています。これが「優秀録音」と「好録音」を両立するキーポイント(そして難しさ)だと思うのです。私が思うに,多くの録音は調味料が多すぎて,あるいは調味料の使い方が悪くて素材の良さを損なっているものがあまりに多いと思うのです。(もちろん素材自身をどう捉えるかも重要なのですが...)

■参考url: TOA株式会社 - 体育館の音作り-1
http://www.toa.co.jp/products/manabiya/oto/3-4.htm
TOA株式会社は業務用音響機器の会社です。このページの一番下の方に高域減衰についての記述があります。残響と明瞭性の関係についても言及されています。PAの話ですが,参考になります。親ページの「なるほど音の教室」特集のページは,ざっと見た感じ,音響理論に基づいて正しくわかりやすく説明されており,好感を持ちました。

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