高音質CDについて考えてみました
2010/10/11
先日取り上げた飯守さんのベートーヴェンの交響曲全集はBlu-spec CDですが,製盤精度が良くないためかCDプレーヤから異音が発生するため,「こんな異音を誘発するBlu-spec CD,何の意味もありません。」と書きました。私は元々SHM-CDやBlu-spec CDなど,盤の素材やピットの成形精度を高めることによって音質が良くなるということに対して懐疑的です。SHM-CDについては「これがSHM-CDだ! クラシックで聴き比べる体験サンプラー(比較用CD付)」(→HMV Online
)を購入して聴き比べてみましたが,全く差がわかりませんでした。
「私にとってのオーディオ,音へのこだわり」というエントリーでも述べましたが,私には私なりの音へのこだわりがありますが,CDの素材やアクセサリー類による音の変化には鈍感ですし,興味も薄いです。興味があまりないから鈍感なのかもしれません。私はエンジニアなので,理論的に説明がつかない,あるいは客観的に信頼できる実験結果が示されていないことについては信用しない質であることも影響していると思います。
これらの高音質CDについて,音が良くなる理由としては,Webをいろいろとみていると定説が固まりつつあるようです。通常のCDの再生においては,読み取りエラーが定常的に発生し,より正しくトラッキングしようとピックアップやスピンドルモーターのサーボが動作するが,この時の駆動力の変化が電源系を通して音声のアナログ信号系に影響を与えて音質を悪化させている。高音質CDでは読み取り精度が向上するためにトラッキングエラーやジッター(揺らぎ)が減少し,サーボへの負担が軽減されるため,音声のアナログ信号系に与える影響も減り,音質の悪化が防げる,というものです。私ももし本当にあるとすれば,確かにこれが一番納得性のある理由かな,と思っています。
しかし,本当にそうなのか? そんなことくらいで音質がそんなに変わるのか? というのが私のエンジニア視点での感覚です。それを物理的に測定したものもなければ,客観的に納得のいく方法(例えば二重盲検法)で試聴比較した結果も見たことがありません。
また,トラッキングエラーはなにも素材やピットの精度だけで発生するわけではありません,盤の中心精度が悪い偏芯や,盤の平坦度など,製盤精度も大きく影響するはずです。私の所有する飯守さんのベートーヴェンの交響曲全集は製盤精度が悪いと思われ,トラッキング状態が大きく悪化し,サーボが激しく動作しているために異音が発生している可能性があります。こうなるともう「これが高音質CDだと?ふざけるな!」状態です。「こんな異音を誘発するBlu-spec CD,何の意味もありません。」と書いた理由がこれです。盤の材質やピット精度ばかり宣伝されていますが,確かな製盤精度があってこそ活きるのです。その製盤精度に関してはなんら触れられているものを見たことがありません。
通常CDとSHM-CDのエラーレートを測定して公開されているサイトもありましたが,そこではSHM-CDの方がエラーレートが高いという結果が示されていました。単にSHM-CDの方が製盤精度が悪かっただけ,という推測も出来ます。または,CDプレーヤやCDドライブは通常CDのポリカーボネートに光学特性を合わせているため,光学特性の異なる素材だとかえってエラーレートが悪化するのかもしれない,という推測も成り立つかもしれません(しかし,さすがに素材を検討する際にその程度のことは検証されているはずですが...)。
ちょっととりとめのない文章になってしまいました。すみません。今回いろいろなWebサイトを見ていて改めてオーディオに関して考えてみたくなりました。また文章を書きながら頭の中を整理していきたいと思っています。
「私にとってのオーディオ,音へのこだわり」というエントリーでも述べましたが,私には私なりの音へのこだわりがありますが,CDの素材やアクセサリー類による音の変化には鈍感ですし,興味も薄いです。興味があまりないから鈍感なのかもしれません。私はエンジニアなので,理論的に説明がつかない,あるいは客観的に信頼できる実験結果が示されていないことについては信用しない質であることも影響していると思います。
これらの高音質CDについて,音が良くなる理由としては,Webをいろいろとみていると定説が固まりつつあるようです。通常のCDの再生においては,読み取りエラーが定常的に発生し,より正しくトラッキングしようとピックアップやスピンドルモーターのサーボが動作するが,この時の駆動力の変化が電源系を通して音声のアナログ信号系に影響を与えて音質を悪化させている。高音質CDでは読み取り精度が向上するためにトラッキングエラーやジッター(揺らぎ)が減少し,サーボへの負担が軽減されるため,音声のアナログ信号系に与える影響も減り,音質の悪化が防げる,というものです。私ももし本当にあるとすれば,確かにこれが一番納得性のある理由かな,と思っています。
しかし,本当にそうなのか? そんなことくらいで音質がそんなに変わるのか? というのが私のエンジニア視点での感覚です。それを物理的に測定したものもなければ,客観的に納得のいく方法(例えば二重盲検法)で試聴比較した結果も見たことがありません。
また,トラッキングエラーはなにも素材やピットの精度だけで発生するわけではありません,盤の中心精度が悪い偏芯や,盤の平坦度など,製盤精度も大きく影響するはずです。私の所有する飯守さんのベートーヴェンの交響曲全集は製盤精度が悪いと思われ,トラッキング状態が大きく悪化し,サーボが激しく動作しているために異音が発生している可能性があります。こうなるともう「これが高音質CDだと?ふざけるな!」状態です。「こんな異音を誘発するBlu-spec CD,何の意味もありません。」と書いた理由がこれです。盤の材質やピット精度ばかり宣伝されていますが,確かな製盤精度があってこそ活きるのです。その製盤精度に関してはなんら触れられているものを見たことがありません。
通常CDとSHM-CDのエラーレートを測定して公開されているサイトもありましたが,そこではSHM-CDの方がエラーレートが高いという結果が示されていました。単にSHM-CDの方が製盤精度が悪かっただけ,という推測も出来ます。または,CDプレーヤやCDドライブは通常CDのポリカーボネートに光学特性を合わせているため,光学特性の異なる素材だとかえってエラーレートが悪化するのかもしれない,という推測も成り立つかもしれません(しかし,さすがに素材を検討する際にその程度のことは検証されているはずですが...)。
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主に音楽とオーディオについて書いています。特に録音にこだわって書いていきます。私の録音に対する考え方を『「好録音」の録音評価のスタンスについて』という記事で表明しました。ご一読いただければ幸いです。
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■ この記事へのコメント
http://homepage1.nifty.com/classicalcd/etcetera/200809.htm#20080903
CDには訂正可能なデジタル情報が記録されているので,バイナリが同じなら音質は同じはずだという考えが根強くあります。
しかし,このサンプラーの二つの番の音質は,少なくとも我が家の再生装置では,ブラインドテストで100%聴き分けられる程度に違います。
一般にこの音質差は,サーボの電流の変化の影響が大きいと考えられているようです。
SHM-CDは透明度が高い素材が売りですが,その分,有害な復屈折や乱反射が多くなってサーボを乱し,音が悪くなっているのかもしれません。
HQCDも同様に通常のCDよりも音が悪いと感じています。例えばラトルのブラームスの交響曲全集やくるみ割り人形は,HQCDの国内盤よりも通常のCDの輸入盤の方がずっと音質良好です。
Blu-spec CD だけは,僅かながら音質向上しているような気がしています。ただし,Sonyが発売するBlu-spec CDは,元の録音がPCMであっても,DSDマスタリングを行った上で,再びPCMに変換してBlu-spec CDで発売しているので,音質向上にはなっていないのですが,これはBlu-spec CDという素材のせいではなくて,マスタリングの問題だと思っています。
いずれにしても,SACDで聴けば次元の異なる高音質で聴くことができるので,各社ともリリースの軸足をSACDに移してほしいものです。
加藤さんもどちらかといえば否定派のようですが,私とは異なるご意見・ご指摘ですね。
SACDはスペック自体が優れていますから次元の異なる高音質で聴くことが出来るという点には全くその通りですね。