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マーラー:交響曲第4番(インバル/フランクフルト放送交響楽団)

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マーラー:交響曲第4番
エリアフ・インバル指揮(Eliahu Inbal)(Conductor)
フランクフルト放送交響楽団(Frankfurt Radio Symphony Orchestra)
1985年10月10,11日 フランクフルト,アルテ・オーパー
COCO-73123 (P)2010 Columbia Music Entertainment (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: HMV Online

B&K社の無指向性マイクを用いたワンポイント録音で一躍有名になったインバル/フランクフルト放送交響楽団のマーラー交響曲全集の中でもこの第4番は補助マイクなしの完全なワンポイント録音として特出しされることの多いディスクです。ワンポイント録音として理想的な録音の出来るマイク位置はホールの中で一カ所しかなく,そのマイク位置が録音の本番直前に奇跡的に見つかり,この録音が実現したということです。

また別エントリを起こして触れたいと思いますが,発売当時に聴いた印象があまり良くなかったので(確か第1番)ずっとこのマーラー録音は避けてきました(というよりもマーラーそのものを聴かなかったのですが)。レコード芸術2010年10月号の特集記事で何度も出てくるので改めて聴き直してみようとこれを入手しました。

なるほど,ワンポイント録音の自然さというのはこういうものなのかと,確かにマルチマイク録音と思われる多くの録音と決定的な差があることを再認識しました。しかし,もっと印象に残ったのは,直接音と響きとの絶妙なバランス,楽器の質感の良さ,締まった低域,ヌケの良い高域,フラットな帯域感,あらゆる要素がピンポイントを狙ったような素晴らしいバランスで収められているということです。裏を返せば極めて危ういバランスの上に成り立っていて,少しでも外れると崖を転がり落ちるようにバランスが崩れていくような不安定さも感じます。当時のDENONの録音技術陣がそのピンポイントをどれだけ真剣に探したか,その苦労を感じます。

なお,私がこの録音を認めるのはワンポイント録音の自然さも多少はあるのですが,それよりも直接音と響きのバランスがぎりぎりではあるものの直接音の方が支配的であり,明瞭感,音色の自然さ,ヌケの良さを保ち,また楽器の質感をしっかりと残しているからです。やや響きが多めで私の好みからすると少し外れますが,その響きがほとんどマイナス方向に働いていません。響きを取り入れるならこういう風に取り入れて欲しい,という一つの好例です。ただ一点だけ難点を言えば,ダイナミックレンジがやや広すぎて再生しづらいことでしょうか(最も音量の大きいところではわずかにクリップしていますし...)。

結局,私の好録音の観点ではワンポイントなのかマルチマイクなのかは重要な要素ではないということがこの録音ではっきりしました。

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