シューマン:交響曲第1番「春」,第3番「ライン」(パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン)

cover picture

シューマン:交響曲第1番変ロ長調作品38「春」
シューマン:交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」
パーヴォ・ヤルヴィ指揮(Paavo Järvi)(Conductor)
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン(The Deutsche Kammerphilharmonie Bremen)
2009年12月20-22日(第3番),2010年4月9-11日(第1番),ベルリン,フンクハウス・ケーベニック
SICC 10102 (P)(C)2010 Sony Music Japan International Inc. (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Online,Amazon.co.jp

室内管弦楽団によるシューマン。弦楽器の編成は 10-8-6-6-3 なので中編成というところでしょうか。解説書によれば,このシューマンの演奏ではピリオド楽器は用いていないということですが,「弦楽奏者は,高い方の2線でガット弦を用いている」とあります。

またシューマンのオーケストレーションについては「シューマンのポリフォニーは,中世の教会音楽やバロック音楽に関する該博な知識に基づいたものです。彼のオーケストレーションには難点があるとよく言われますが,それは間違っている。オーケストラの編成規模を作曲当時の40名程度に準拠すれば,何ら問題はない。」と述べています。室内管弦楽団での演奏を選ばれたのもこのような背景に基づくものということです。

国内盤CDの帯には「未曾有の衝撃」などと大げさな宣伝文句が書かれているのですが,実際に聴いてみて,この表現はやっぱり大げさだと思うものの,今まで聴いてきたいくつかのシューマンの交響曲とは一線を画す,ひと味もふた味も違うと思うのも確かです。

端的にはやはりピリオドアプローチの延長線上にあると言えると思います。小さめの編成を活かした精密なアンサンブルで起伏に富んだ演奏を展開しています。しかし決して鮮烈路線ではなく,キリッとした極めて見通しのよいアンサンブルの中に微笑ましさというか素朴な味わいを上手く織り交ぜて新しいシューマンらしさを表現しているといった感じなのです。私としてはピリオド風味なのがちょっとなのですが,全体にはすごく気に入りました。

録音ですが,今時の優秀録音の典型ではないでしょうか。音のなめらかさ透明さ(雑味・歪み感のなさ)は申し分ありません。残響は控えめですが,ややオフマイク気味で全体としての音場の自然さ,まとまりを重視したバランスのいい録音だと思います。

ただ私としては,これが好録音かと問われると,ちょっと違うのです。確かに綺麗な録音なのですが,それぞれの楽器の質感が希薄で個々の奏者の顔が見えてこないのです。綺麗なんだけど遠くで鳴っていて実在感がなく,手が届かない,肌触りが感じられないもどかしさがあるのです。紙一重のところはあるのですが,ベートーヴェンの交響曲と同じくあえて厳しめの三つ星半としました。世評は「優秀録音」かもしれませんし,それを否定するものではありません...が,積極的に肯定したくないという意味を込めて。

タグ: [交響曲] 

■ この記事へのコメント

山崎
はじめまして。こちらのサイトをいつも拝見させていただいている、山崎と申します。

アマチュアながらクラシックに興味があり、楽器(チェロ)を弾いているのですが、長年、購入したCDの音響(こちらの耳を合わせろと言わんばかりに残響過多の)に違和感を抱いてきた一人でしたので、こちらのサイトを見つけたとき、これほど自分と録音の好みの合うかたがおられるのだと、うれしく思いました。
以来、様々な音源を参考にCDを選ばせていただいております。

今回アップされたCDはまだ聴いたことがありませんので、そちらに対する直接的なコメントではありませんが、ご了承ください。

ただ、「ピリオド奏法」があまり好きではない旨書いておられますが、私自身、以前はほとんど受け入れることができなかったのですが最近クイケン四重奏団のエルデーディを聴いて以来見直すようになりました。とてもクリアな音作りがとりわけ印象的でした。
ハイドンの四重奏の紹介に未だ挙がっていなかったと思いますので、甚だ僭越ながら、まだお聴きでなければ一聴願えればと思います。(すでにお聴きになっていれば申し訳ありません)

さて、前置きが長くなりましたが、もうすでにご存知かもしれませんが、以
2010.12.15 at 02:28 #- URL [Edit]
山崎
昨日のコメントが途中で切れていましたので、補足させていただきます。

すでにご存知かもしれませんが、以前DVDで紹介されていた、アバドの「ブランデンブルク協奏曲」が、年明けよりDGからCDとして発売されるようです。
CD化されれば是非購入したいとの旨をお書きになっておられたので、紹介させていただきました。

コメント欄2つに及ぶ長文、失礼いたしました。
2010.12.15 at 12:26 #- URL [Edit]
T.S.
コメント有り難うございます。私のブログが少しでもお役にたてたのならうれしい限りですし,録音に対して同じような不満を持つ方がおられるのがわかって私もうれしく思っております。

アバドのブランデンブルク,もちろん買う予定です。お知らせ有り難うございました。
2010.12.16 at 01:50 #- URL [Edit]
T.S.
クイケン四重奏団のエルデーディ四重奏曲は持っていますので,また機会をみてレビューしますね。
2010.12.16 at 02:02 #- URL [Edit]

■ コメントの投稿

:

:

:

:

:

管理者にだけ表示を許可する