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21世紀の精神正常者たち(モルゴーア・クァルテット)

cover picture
21世紀の精神正常者たち
モルゴーア・クァルテット Morgaua Quartet
録音:2012/2/23,3/12,4/10 ワンダーステーションスタジオ
COCQ-84964 (P)2012 NIPPON COLUMBIA (国内盤)
好録音度:★★★☆
参考: HMV Online,Amazon.co.jp,Tower Records
この気色の悪いジャケット写真は,キング・クリムゾンの有名なアルバム「クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)」(→HMV Online)のパロディですな。このアルバムの内容を象徴しているようにも思います。

収録曲の中で良かったのは,悪の教典#9 第一印象・パート1(エマーソン・レイク&パーマー)くらいでした。もともとプログレッシヴ・ロックは私の守備範囲外なので...

松山晋也氏が書いた解説書の記事を少し引用します。

クラシック専門の演奏家がポップ・ミュージック,とりわけロックの楽曲を演奏したものを耳にする機会は珍しくないが,本当に感心させられることは,残念ながらほとんどない。その最大の理由は,クラシックとロックではリズム感というかビートの感覚がまるで異なり,いわゆるロックのノリ,躍動感やスピード感がさっぱり出ないことにある。(後略)

これは私が1966カルテットのアルバムで述べたこととほぼ一致します。ポピュラー音楽をクラシックの土俵に持ってきて演奏する,ターゲットとする聴衆もクラシック愛好家,という以上,この野暮ったさから抜け出ることは出来ない。そしてこのアルバムもかなり良い線をいっているとはいえ,やはり例外ではなかった,というのが私の感想です。まあ,プログレッシヴ・ロックは現代音楽的な要素もあり,そういう意味では現代音楽的に演奏されるのはそれはそれで合っているのかもしれませんが。

で,このアルバムで最も腹立たしかったのが,音がとにかくつぶれて汚いことです。テンションを高くしようとするあまり弓圧が高くなりすぎているためでしょう。とにかく不快です。ロックではギターの音をわざと歪ませて,いわゆるディストーション・サウンドを作り出すことも多いですが,それを模してそうしているのかもしれません。でも,それはちょっと違うんじゃないかと思うのです。ロックのディストーション・サウンドは音楽表現上,それが音楽を格好良く演出するための音作りとして使われます。人によるとは思いますが,不快な音ではありません。擦弦楽器の音のつぶれは生理的に受け付けない不快さを持っています。根本的に違うのです。そしてテンション高く演奏すること自体が目的になっているような... 何か違う方向に行ってしまっている気がしてならないのですが。

と,また辛口コメントになってしまいました...

私がよく聴くブルーグラスのフィドラーに比べれば,この四重奏団の技術レベルは100倍も1000倍も高い。でも彼ら(フィドラー達)の音楽がすごく面白く楽しいのは,その音楽が彼ら自身の自然な言葉で話しかけてくるようなものだからだろうと思うのです。

結局はクラシック演奏家によるクラシック愛好家のための音楽であり,そこに本物のロックを求めた私が間違っていた,馬鹿だった,ということでしょう。このディスクがCDショップのクラシックの棚に並ぶことはあってもロックの棚に並ぶことはまずないし,モルゴーア・クァルテットがロックバンドとして一般に認知されることもない。間違った期待をしてどうも申し訳ございませんでした。

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