バッハ:ゴルトベルク変奏曲,フランス組曲第5番,半音階的幻想曲とフーガ(イリーナ・メジューエワ)

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
バッハ:フランス組曲第5番ト長調 BWV816
バッハ:半音階的幻想曲とフーガニ短調 BWV903
イリーナ・メジューエワ Irina Mejoueva (Piano)
2012年9月7日,りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館(ライヴ)
WAKA 4169 (P)(C)2012 若林工房 (国内盤)
好録音度:★★★★
参考: HMV OnlineiconAmazon.co.jpTower Records
リリースされるディスクがほぼ例外なく高評価を得ている※1メジューエワ氏のゴルトベルク変奏曲(これもレコード芸術誌2013年2月号で特選!)とあらばこれはもう聴かざるを得ません。いくつか批評を見てみましたが,好意的なものばかりですね。私はピアノ曲はあまり聴かないので彼女の真価を理解できるに至っていないのですが,端正で控えめで温かく,しかしどこかスケールの大きさを感じさせるところが良いと思いました。

しかし,一通り聴き終えた今,実は非常に落胆しています。なぜか。もうお察しのことと思いますが,リピートがほとんど省略されているのです。しかも総て省略しているわけではなく所どころでリピートされているのですが,前半も後半もリピートされる場合もあれば,前半のリピートだけやって後半はやらなかったりする場合もあり,そのポリシーが私にはよくわからないのです。

基本的に私は作曲家が指定したリピートはやって欲しいと思っています※2。リピートすることでしか現れないあの音楽の流れが私は好きだからです。リピートしないということは私にとっては曲の一部を捨てられているのと同じです。単に1回しかやらない,ということではないと思うのです。頭の中では無意識のうちにリピートしたときに現れるであろう音楽の流れを期待して待ちかまえているところをスッと次にしまう,この度になんとも残念な気分になってしまうのです。しかも,ゴルトベルク変奏曲は1つの変奏曲あたり2度のリピートがあるわけで,全曲を通して聴いていると何十回も残念な瞬間が繰り返し訪れてくるという,もう勘弁して欲しい状態になってしまいます。(じゃあ聴くなよ!ということですかね...※3

録音ですが,ホール音響の癖がやや強めに出ているのですが,残響時間も長くなく,若干甘美な方向に傾くにとどまり,幸いなことに音質を大きく損ねるには至っていません。明瞭感もそれほどは損なわれていないので,許容範囲というところです。私としてはやはり付帯的にまとわりつく響きが邪魔に感じられるので,これらがないもっとピュアな音作りをして欲しいと思っています。



※1 若林工房のWebサイトに掲載されているディスコグラフィを調べてみて驚きました。今までにリリースされている総組数が38,そのうちレコード芸術誌の特選が30(!!),準特選が3,準推薦が1,で,何も付いていない4組はライヴや記念限定盤という驚くべき実績でした。実質的にほぼ総てが選出されていると言って良いです。

※2 リピートの省略についてはいろいろな考え方があるようですし,ここを議論しても水掛け論にしかならないと思いますのでやめておきますが,私の場合,建前的には「作曲家が意図を持って楽譜に記したリピートを何でそういとも簡単に無視できるんだ?」ですが,結局のところは上述したように,リピートによってしか形成されないあの音楽の流れを聴くのが好きだ,ということに尽きます。

※3 にも書きましたが,音楽といえど結局はディスクという器に入った製品であるわけで,リピートというのはその製品の基本的かつ重要な仕様であるにもかかわらず,購入前にその仕様を正しく知ることができないというのはちょっと納得いかないですね。

タグ: [器楽曲]  [ピアノ] 

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