ビット・トレード・ワンの電流帰還式ポータブルヘッドフォンアンプを測定する

※本記事は「ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果」に掲載した記事の転載です。
ビット・トレード・ワンのブログでも紹介されました。

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■はじめに

ある日,ビット・トレード・ワンの方から「ヘッドホン・アンプを評価して欲しい」というメールをいただきました。 私はヘッドホンの測定はやりますが,ヘッドホン・アンプについては測定ノウハウも見識も持っていないため, 私にはアンプの評価することが出来ないとお断りしました。

その後,「このヘッドホン・アンプを使っていつものヘッドホンの測定をしてくださればいいのです」と再度依頼のメールをいただきました。 ビット・トレード・ワンのWebサイトでそのアンプの解説を見てみると,「適切に電流帰還制御する事でヘッドフォンのインピーダンス変動に影響されず, 低音から高音まで音量を忠実に再現する技術」を使った電流帰還式アンプということで,依頼主の方が私に何を期待されているのかがピンときて, 引き受けることにしました。

そして,手持ちのヘッドホン・アンプも含めて測定することで,電流帰還式アンプの効果がヘッドホンの測定結果として実際に得られましたので, この場でレポートさせていただくこととしました。

対象のヘッドホン・アンプの詳細は,ビット・トレード・ワン商品紹介ページでご確認ください。

■測定内容

測定対象ヘッドホン・アンプ(4機種)
ビット・トレード・ワン 電流帰還式ポータブルヘッドフォンアンプ
AUDIOTRAK Dr.DAC
GRACE DESIGN m902
SONY PHA-2

測定に使用したヘッドホン(7機種)
Sennheiser Amperier 密閉ダイナミック型 18Ω
Sennheiser HD25-1 II 密閉ダイナミック型 70Ω
Sennheiser HD239 開放ダイナミック型 32Ω
Sennheiser HD580 開放ダイナミック型 300Ω
Sennheiser Momentum 密閉ダイナミック型 18Ω
DENON AH-D1100 密閉ダイナミック型 32Ω
audio-technica ATH-CK9 バランスドアーマチュア型 30Ω

測定環境
測定系は「使用機材と構成(2014年1月~)」ですが,測定対象のヘッドホン・アンプを次のように接続しています。
PC ---(USB)--- m902 ---(LINE)--- 電流帰還式ヘッドホンアンプ
PC ---(USB)--- m902 ---(LINE)--- Dr.DAC
PC ---(USB)--- m902
PC ---(USB)--- PHA-2

その他の補足
電流帰還式ヘッドホンアンプは,ヘッドホンのインピーダンスによって調整用の抵抗を変える仕様になっています。 それぞれのヘッドホンの公称インピーダンスで使用する抵抗を選択して測定しました。

[測定結果 Sennheiser Amperier]
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■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.1 Sennheiser Amperier

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(18~20Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 Sennheiser HD25-1 II]
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■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.2 Sennheiser HD25-1 II

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(70~80Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 Sennheiser HD239]
hp-amp_sennheiser_hd239_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.3 Sennheiser HD239

インピーダンスが低域のf0(最低共振周波数)付近で最大約76Ωまで増加するため,この周波数近辺で電流帰還式ヘッドホンアンプの音圧が増大しています。

[測定結果 Sennheiser HD580]
hp-amp_sennheiser_hd580_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.4 Sennheiser HD580

インピーダンスが低域のf0(最低共振周波数)付近で最大約560Ωまで増加するため,この周波数近辺で電流帰還式ヘッドホンアンプの音圧が増大しています。

[測定結果 Sennheiser Momentum]
hp-amp_sennheiser_momentum_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.5 Sennheiser Momentum

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(20~24Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 DENON AH-D1100]
hp-amp_denon_ah-d1100_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.6 DENON AH-D1100

インピーダンスの変動幅が比較的小さい(28~31Ω)ため,4つのアンプの差はほとんどありません。

[測定結果 audio-technica ATH-CK9]
hp-amp_audio_technica_ath-ck9_512.png
■電流帰還式アンプ ■Dr.DAC ■m902 ■PHA-2 ■Impedance
Fig.7 audio-technica ATH-CK9

インピーダンスが増加し始める1.5kHz以上で電流帰還式ヘッドホンアンプの音圧が増大しています。

■おわりに

「ヘッドフォンのインピーダンス変動に影響されず,低音から高音まで音量を忠実に再現する」という電流帰還式ヘッドホンアンプの効果がが, 特にインピーダンス変動の大きなヘッドホンで顕著に顕れることが測定で確認できました。 実際に聴いてもその効果は明らかにわかります。 一方で,インピーダンス変動が小さなヘッドホンについては測定結果でもあまり差はありませんが,実際に聴いてもその差はあまり感じられませんでした。

一般的なヘッドホンでは,低域のf0付近でのインピーダンス変動と,ボイスコイルのインダクタンスによるインピーダンスの増加があるので, この電流帰還式ヘッドホンアンプを使用すると,特にインピーダンス変動の大きなヘッドホンでは低域の増強と高域の伸びにつながることが確認できました。

最後に,このような貴重な測定の機会を与えてくださったビット・トレード・ワンのご担当者に感謝申し上げます。

タグ: [ヘッドホン] 

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