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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲(パブロ・カザルス)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
パブロ・カザルス Pablo Casals (Cello)
録音 1936-1939年
OPK 2041/2 (P)2010 オーパス蔵 (国内盤)
好録音度:★★★
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon
「CD試聴記」からの転載記事です。

カザルスの無伴奏チェロ組曲を聴くときに,この組曲をこの世の中に復活させた功績を抜きにして聴くことが難しいのですが, 技術的なレベルがずっと向上し,奏法の研究も進んだ現代の優れた演奏と比較して,時代を感じさせるものであることは否めません。 しかし,決して色あせることなく私たちの心に響いてくるのは,彼のこの曲に対する熱意が音として表れ, それが音楽の本質を突いているからに他ならないと改めて感じる次第です。

録音ですが,SPの時代の録音がどのように行われたのかは知らないのですが,出来るだけ鮮明な音で楽器の音を残そうと努力されたはずです。 録音からもうすぐ80年になろうという現代においてもこれだけのクオリティで鑑賞できるのは,その努力のおかげと言えるでしょう。 もし現代の多くの録音のように残響まみれで録音がされていたなら,こんなに良い音で楽しめなかったことでしょう。

カザルスのバッハ無伴奏チェロ組曲のディスクはものすごく多くのリリースがあって,いったい何種類の復刻があるのかがわからないのですが, 私が聴いた,オーパス蔵盤(2010年リマスター),Warner ClassicsのSACDハイブリッド盤(2011年リマスター),古くからある旧EMI盤,Membran盤,Naxos盤の中では, このオーパス蔵盤が最も良好な音質と思いました。 SP盤のトレース音がそのまま入っているために多少耳障りではありますが,鮮明さも失われず,最も音に伸びがあり,自然に聴こえました。 ノイズとしての低域成分もカットされずに入っているのは善し悪しだとは思いますが。

なお,オーパス蔵盤は,2003年に発売されたものが最初で,2010年に現行のリマスター盤に変わりました。

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2003年に最初に発売された盤

カバーピクチャーには金色が使われていました。2010年リマスター盤は金色の部分が銀色に変更されています。当初のリマスター盤は,ディスクデザインまで一緒でディスクが混じってしまうと区別がつきませんでしたが,最近のものはディスクのレーベル面にリマスター盤であることが明記され,間違えないようになっています。(誤って2010年リマスター盤を,発売当時と最近と2回買ってしまいました...品番が全部同じなので紛らわしいです。)

2010年のリマスターでは,線香花火のようなパチパチ音を一つ一つ丁寧に取り除いていったということです。確かにそのノイズが減っていました。まあ元々のノイズが大きいので正直なところ,あえて買い直すほどのことはないかなと思いました。

以下,他のディスクのコメントです。

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Warner Classics 2011年リマスター盤
WPGS-50110/1 (P)2011 Warner Classics (国内盤)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon,e-onkyo
2011年にリマスターされたSACDハイブリッド盤。 SP盤再生時特有のノイズは多少緩和されていますが,無理に消すようなことはしていないようです。 昔からあるEMI盤に比べると,格段に音色が自然です。 ただ,やはりノイズ低減処理の影響か,オーパス蔵盤に比べるとわずかに音の伸び,鮮明さが失われているように感じられます。 真っ当な音質ですが,少し地味な印象です。

オーパス蔵盤の次に良いと思ったのがこのWarner Classicsの2011年のリマスター盤で,今選ぶならオーパス蔵盤か,このWarnerのリマスター盤のどちらかでしょう。e-onkyoではハイレゾ音源もリリースされています。

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旧EMI盤
TOCE-11567/8 (P)2000 東芝EMI株式会社 (国内盤)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon
昔からある旧EMI盤ですが,SP盤のノイズ低減処理の影響もあるのでしょうが,ずいぶんとクセのある音色です。 中域から高域にかけて盛り上がっているような感じで,ややキンキンしていますし,伸び,自然さに欠けます。 また,復刻の質のばらつきも多いです。 さらに,特に第1番は最近の復刻と比べるとピッチが低めに感じられました。 今,このディスクを選択する理由はあまりないと言えるでしょう。

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Membran盤
232675 Membran (輸入盤)
参考: Tower Records,HMV Onlineicon
SP特有のノイズは私の聴いた中では最も低減されています。 驚くほど少ないです。 しかし,まるで低ビットレートのMP3でエンコードしたときのようなシュルシュルという独特のブリージングがあります。 ノイズ低減処理の影響だと思いますが,残念ながら人工的な処理のにおいが強く,これはあまり良くありません。

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Naxos盤
8.110915-16 (P)2000 HNH International Ltd (輸入盤)
参考: Tower Records,Amazon.co.jp,HMV Onlineicon
復刻の質としては中庸です。 ノイズを取るわけでもなく,さりとてオーパス蔵のような音を目指すわけでもなく, よく言えば素直な復刻ですが,悪く言うとただ単にSPを再生して録っただけ,という感じがしないでもありません。 録音レベルも若干低く,また,録音に積極的な意志が感じられず,残念ながらあまり良い印象ではありませんでした。

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