ショパン:練習曲集作品10,25(伊藤恵)

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ショパン:練習曲集作品10,25
伊藤恵 Kei Itoh (Piano)
14-16 Sep. 1990, YAMAHA Test Saal, Hamamatsu
FOCD3125 fontec (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

この人のテクニックは本当に凄いですねぇ。積極果敢に攻める演奏でここまで淀みなく,一点の曇りもなく弾き切っているのは本当に立派です。表現はストレートで男性的であり,情緒的なところはあまりなく力で強引に突き進んでいく感はありますが,それがこの演奏の良いところでもあり,逆に物足りなく感じるところでもあるかもしれません。私はこういうのは大好きです。

さて録音ですが,残響は控え目で楽器自体の響きをダイレクトに捉えた好録音と言えると思います。少し高域の音色,響きに癖があり,きらびやかすぎるような気もしますが,まあ悪くはありません。不満はゼロではありませんが,フォンテックとしては良い方ではないでしょうか。

録音場所が「ヤマハ・テスト・ザール」とあり,楽器もヤマハ CF-IIIが使われていると書かれています。それにしてもテスト・ザールって...

ハイドン:弦楽四重奏曲集作品64「第3トスト四重奏曲集」(ドーリック弦楽四重奏団)

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ハイドン:弦楽四重奏曲集作品64「第3トスト四重奏曲集」
ドーリック弦楽四重奏団 Doric String Quartet
2017年5月5-7日,10月23-25日 ポットン・ホール(サフォーク)
CHAN 10971 (P)(C)2018 Chandos Records Ltd. (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

エルデーディ四重奏曲が良かったドーリック弦楽四重奏団のハイドン・シリーズのVol.3。語り口の巧さはこの曲集でも最大限発揮されてます。技術的にも申し分なくモダン楽器の表現力を活かして自在に演奏していますね。リピートも行っているようでこの点でも○です。

一方録音なのですが,音質の傾向としてはエルデーディ四重奏曲に近いものの,若干遠めであり,音像に立体感がなく平板に聴こえるため,今ひとつ冴えません。前の録音が地味ながら良かっただけにこの録音は少々残念です。

演奏は良かったので今後の録音にも期待したいです。録音は改善して欲しいところです。

ベートーヴェン:交響曲全集(ペーター・シュタンゲル指揮/タッシェン・フィルハーモニー)

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ベートーヴェン:交響曲全集
ペーター・シュタンゲル指揮/タッシェン・フィルハーモニー
2012年~2017年 Munich/Pullach/Germany
ETP010 (P)(C)2017 Edition Taschenphilharmonie (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconApple Music

タッシェン・フィルハーモニーは12名から20名で構成され「史上最少のオーケストラ」とも呼ばれているとのことです。今までにベートーヴェンの交響曲を含めすでに何枚かリリースされていて,その一部を以前取り上げていました(→こちら)。このときのコメントで「弦楽器の構成はヴァイオリン3名,ヴィオラ2名,チェロ2名,コントラバス2名」と書いていますが,下の写真を見るともう少し少ないのかもしれません。

それで演奏なのですが,やはり基本的には前のレビューの感想と変わりません。室内楽の弦楽器にオーケストラの管楽器が組み合わさるわけですから,このバランスの悪さどうにもなりません。管楽器が鳴り出した途端に弦楽器は辛うじてエッジが聴こえるだけでボディの鳴りは全く聴こえず,もどかしさしか感じられませんでした。この中では管楽器の編成が比較的薄い第6番「田園」,次いで第1番が何とかギリギリ聴けるかなとは思いましたが,それとて不満がなくなるわけではありません。小気味よいキレのある演奏は大変魅力的だと思うんですけどね...

録音ですが,残響は少なめで締まりがあり,音色への影響も少なく,演出感のない自然な音響で捉えられているのは好感が持てます。弦楽器と管楽器のバランスの悪さは,実際に聴いてもそういうバランスなのだろうなと思うので,それ自体は悪くはないと思います。しかし,音楽として楽しむためには多少のデフォルメを許し,もう少し弦楽器の比率を上げるべきです。意図的にそうしていないのかなとは思いますが。なお,録音自体は悪くはないと思いますので四つ少しオマケですが星半です。

ということで,これはこれで面白く価値ある試みだと思いますし,何かしらの意図は達成されているのだと思います。しかし,純粋に音楽を楽しめるかというと,やっぱり微妙だと言わざるを得ません。

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タッシェン・フィルハーモニー

クレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年)のハイレゾを聴いてみたら...

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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
ギドン・クレーメル Gidon Kremer (Violin)
1980年2月,3月6月 オランダ,ハーレム,ルター教会
ファイルフォーマット FLAC 192kHz/24bit
参考: e-onkyo

e-onkyoの「バッハ生誕333年記念 プライスオフキャンペーン」でクレーメルのバッハ無伴奏ヴァイオリン(1980年録音)が通常3,680円のところ2,070円になっていたので,愛聴盤ということもあり,購入してみました。それで早速聴いてみると,持っているCD(→こちら)とだいぶ印象が違ったため,少し調べてみました。

図1は,WaveSpectraを用い,ハイレゾとCDの音源をそれぞれ再生し,1楽章分のピーク値をホールドしたエンベロープを重ね書きしました。FFTのサイズは,CDは4096サンプル,ハイレゾは192kHzサンプリングであることを考慮して16384サンプルとしました。

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図1 CD vs Hi-Res スペクトルのピークホールド値
パルティータ第2番 Gigue
■Hi-Res ■CD

音が違うはずです。可聴帯域の高域で結構なレベル差があります。この音の差は,ハイレゾというよりはマスタリング時のイコライジングの違いによる可聴帯域内の高域のレベル差が支配的でしょうね。まあCDの方はかなりマスタリングが古そうなので,これくらいの差は別におかしくないかとは思いますが。私としては,高域のヌケが良くなり,よりクリアに聴こえるようになったので,このハイレゾのマスタリングは悪くないと思いました。

なお,ハイレゾの方は約35kHzまで音声の成分が伸びていますが,それ以上はノイズシェーピングによるノイズが顕著になっていますね。時間波形でみると図2のようになっています。

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図2 CD vs Hi-Res 時間波形(上:Hi-Res,下:CD)
パルティータ第2番 Ciaccona冒頭

最初は無音なのですが,上段のハイレゾの方はかなりノイズレベルが高く見えます。44.1kHzにダウンサンプリングするとこのノイズがかなり減るため,これはノイズシェーピングによる超高域ノイズの波形ではないかと思います。この帯域は聴こえないのですが,波形でみるとちょっと気持ち悪いくらい入っているなと思いますね...

バッハ:無伴奏チェロ組曲全š曲(クセニア・ヤンコヴィッチ)

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バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲
クセニア・ヤンコヴィッチ Xenia Janković (Cello)
March 2006 at the Église Évangélique Saint-Marcel, Paris, France
MLS-CD-006/007 (P)(C)2015 Melism (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon MusicApple Music

CD試聴記」からの転載記事です。

少し速めのテンポで淀みなく小気味よく,そして躍動的に弾むリズムが気持ちのよい好演奏。 深い響きの低音から艶やかな高音まで音色も美しいです。 技術も確かで安心して音楽に浸ることが出来ます。 これはちょっとした掘り出し物でした。

録音ですが,少し残響が多めで楽器音へのまとわりつきが気になりますが, ボディ感たっぷりにしっかりと質感をもって捉えているのは良いと思います。 不満はあるものの,チェロの録音としてはまだ良い方ではないかと思います。

ヤンコヴィッチはセルビア出身のチェリストとのことで, 1981年にはガスパル・カ サド国際コンクールに優勝したとのことです。 現在はデトモルト音楽大学の教授とのことです。他にはハイドンのチェロ協奏曲の録音などがあり,以前取り上げていました。

モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」(アウリン四重奏団)

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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」
アウリン四重奏団 Auryn Quartet
2017年2月-4月 ドイツ,ヴッパタール,インマヌエル教会
TACET 972 (P)(C)2018 TACET (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

アウリン四重奏団のモーツァルトといえば今井信子さんが加わって録音された弦楽五重奏曲全集がありました。彼らの音楽はたいへん気品があり,格調高くそして情緒豊かなのが特長だと思っていますが,このモーツァルトでは心地よい「緩さ」があるのが良いと思いました。

そしてこの演奏,楽譜で逐一確認したわけではありませんが,おそらくすべてのリピートを実行されているのではないかと思います。終わりかと思ったらリピートされておぉ!とちょっとうれしい瞬間が時々やってきます。リピート省略が一般的になっていて省略していないディスクの方が少数なんだろうなということを改めて認識しました。なので,演奏時間はかなり長く1曲あたり32分~40分弱あります。これを冗長と思われる方もいると思います。そのような方にはこのディスクはあまりお勧めしません。

さて録音なのですが,少し残響が多めであり,音色がくすみ,明瞭感がやや落ちています。このあたりやっぱりTACETだなと思います。あまり私の好みの録音ではありません。ちょっと残念です。

ヘッドホン Sony MDR-1AM2 周波数特性

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ヘッドホン ソニー Sony MDR-1AM2

密閉・ダイナミック型,インピーダンス26Ω,ケーブル片だし(着脱可),1.2m 3.5mm マイク付き4極L字プラグ,1.2m 4.4mm 5極L字バランス対応プラグ付属 2018年発売
参考: メーカーサイトAmazon.co.jp

ヘッドホン・イヤホン 周波数特性 測定結果にも掲載しています。

ソニーの密閉型オーバーヘッドヘッドホンの代表機種のリニューアルモデルです。 品番からするとMDR-1Aの後継の位置づけだと思いますが, 相当変わった印象を受けます。

まず重量も装着感も相当軽くなって数段良くなった印象です。 ただしその代償としてモノとして値段なりの質感という意味で少し微妙な感じです。

そして音質ですが,MDR-1Aは正直ちょっと低音が重い印象があったのが, このモデルでは低音はもちろん出ているのですが,引き締められ,欠点であった重さがなくなりました。 さらに特徴的なのは高域で,かなり出ているのですが,シャリーンというような軽い振動板の独特の響きがあるように思いました。 振動板の存在を意識してしまうような鳴り方なので,ちょっとこれはやり過ぎじゃないの?と思うくらいです。

高域の出方に特徴があるため,やかましい曲では刺激的すぎて耳が痛くなりがちです。 一方,少し曇りがちの録音が多いクラシックでは,そういった音源でも比較的綺麗に気持ちよく聴かせてくれるので, 私としてはこれはクラシック向きだなと思っています。

MDR-1Aの後継機種とは思えない軽量級チューニングで一般ウケするのかなとは思いますが, 迫力を求めず小さめの音量で楽しむならば結構良いのではないかと思いました。


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図1 Sony MDR-1AM2 周波数特性 (Left Channel)
■SPL ■2nd D ■3rd D ■Impedance
測定環境 / Input 0.127Vrms(1mW)


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図2 Sony MDR-1AM2 周波数特性 (Right Channel)
■SPL ■2nd D ■3rd D ■Impedance
測定環境 / Input 0.127Vrms(1mW)

タグ: [ヘッドホン] 

ブラームス:交響曲全集(ロビン・ティチアーティ指揮/スコットランド室内管弦楽団)

Brahms The Symphonies - sleeve
ブラームス:交響曲全集
ロビン・ティチアーティ指揮/スコットランド室内管弦楽団
Usher Hall, Edinburgh, on 15–29 May 2017
CKD 601 (P)(C)2017 Linn Records (輸入盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV OnlineiconLinn Records

ディスクの発売が少しずつ遅れているようで,当初3月の予定が2018年4月1日時点で4月10日の発売に延びています。e-onkyoにもまだ出ていません。私は待ちきれずにLinn Recordsから直接ダウンロード購入しました。こちらから購入するとちゃんとPDFのブックレットも付属しています。供給元からPDFが出ているのですから,e-onkyoもブックレットのダウンロードが出来るように対応してほしいものです。

ティチアーティ/スコットランド室内管弦楽団の演奏はシューマンの交響曲全集を取り上げていましたが,これも同様にいわゆる「キレッキレ」の演奏で,ちょっと極端すぎるきらいはあるものの,このような小編成で小気味の良い,見通しの良い演奏は基本的に好きなので,ワクワクしながら聴きました。ただしこれは嫌いな人も多いだろうなと思います。しかし,あろうことか,第1番,第2番の第1楽章の提示部のリピートがどちらも省略されているのです(第3番はリピートあり)。好きな演奏なのにこれだけでとても残念な気持ちになります。

録音ですが,残響はほどほどであり,低域の締まり,高域の伸びもそこそこあって,見通しも良く,良好な録音です。オーディオ品質も高い点はさすがLinn Recordsです。しかしあえて不満を言うと,これはLinn Recordsに共通の特徴だと思うのですが,音は綺麗なのですが,現実感に乏しく過度に加工された作り物のような感じがします。演奏者の存在が希薄で楽器の質感もあまり感じられないのです。これも惜しい点ですね。

ヘタウマの極致! ジミー・ペイジのギタープレイが堪能できるライヴ・アルバム ~ 伝説のライヴ How The West Was Won(レッド・ツェッペリン)

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伝説のライヴ How The West Was Won
レッド・ツェッペリン Led Zeppelin
1972年 LAフォーラム,ロング・ビーチ・アリーナ
0349.786278 (P)2018 Rhino (輸入盤)
好録音度:★★★★
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicone-onkyo

雑でテキトーでいい加減でハチャメチャでめっちゃカッコいいジミー・ペイジのギタープレイが堪能できるアルバム。ヴァイオリンの弓を使った演奏やテルミンの炸裂する曲もあります。正直言ってファンでなければ聴いていられませんよね(いや私でも何度も聴きたいとは思いませんが(^^;)。3枚組のライヴアルバムです。20分前後の曲が3つも入っていますね... スタジオ録音盤ももちろん良いのですが,ライヴは全く違う楽しみがありますね。いやー良かった!

有名なアルバムだと思いますが,私は聴いたことがありませんでした。2018年リマスター盤とのことで,この機会に聴いてみようと,e-onkyoでハイレゾを購入しました。正直ハイレゾでなくても全く問題なかったのですが。それにしてもPDFでブックレットくらい付けて欲しいですねぇ。

ブラームス:交響曲全集(ラドミル・エリシュカ指揮/札幌交響楽団)

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ブラームス:交響曲全集
ラドミル・エリシュカ指揮/札幌交響楽団
2017年3月10,11日(No.1),2014年11月14,15日(No.2),2013年10月11,12日(No.3),2015年6月19,20日(No.4) 札幌コンサートホールKirara
ALT388/90 (P)2018 Altus Music (国内盤)
好録音度:★★★★☆
参考: Tower RecordsAmazon.co.jpHMV Onlineicon

定期演奏会の拍手の入るライヴ録音。終楽章こそほのかに熱気を帯びて躍動感が出てくるものの,総じて素直で落ち着いた品格のある演奏であり,それがブラームスの交響曲によく合っていると思いました。札幌交響楽団も何カ所か縦の線が混沌とするところがあったものの健闘していると思います。なお,第1番から第3番の第1楽章の提示部のリピートはすべて省略されていて,それだけがとても残念でなりません。

録音ですが,残響は控え目ですがライヴの自然な音響が感じられる演出感の少ない録り方が好ましい好録音です。どちらかとえいば地味であり,これが好録音?と思われるかもしれませんが,音楽を邪魔する要素,欠点が少ないところが良いと思いました。欲を言えばもう少しヌケの良さと細部の見通しの良さがあればなとは思います。少々オマケの感はありますが四つ星半です。オーディオ的には標準的で可不可なしというところでしょうか。